桃赤、赤桃
どちらでもいける作品となってます🙌🏻
(あまりCPの左右を問われる描写はありません)
初めまして、しらすごはんと申します!初投稿です!(本垢では何作か投稿してます…)こちらの作品は、そんな本垢で投稿した作品を、桃赤にcpを変更し、リメイクしたものです。どうぞご覧下さい!
桃side
……っ、う、
「な、なんだ?ここ。」
俺が目を覚ますと、そこは知らない病室だった。
目を少し開ければ飛び込んでくるのは眩しい光。
顔の横にある棚には、桃色のスターチスの花が花瓶に刺されてあった。
花を見て俺は無意識に、
「綺麗な花…」
と呟いた。
俺、花になんて興味無いのに、何故かその花の名前だけは、しっかりと覚えていた。
この状況に怖がりつつ、病室にいるという自分自身に、強く違和感を感じていた。
俺、なんかしたっけ?
目を覚ませば知らない病室なんだから、当然俺は焦った。
ちらっと見える窓からは、今が夜だということが見受けられた。
しかし、下半身が殆ど動かない。主に腰。痛くて動けないとかじゃなくて、本当脱力した感じで動けない。そんなに長い間眠ってたのか?
看護婦さんは来ないもんで暇ということもあり、きょろきょろと辺りを見渡して
「、え、ぇ〜」
と声を発しては無意識にも戸惑っていた。幸い個室だった為もある。そうでもしなきな気も紛れなかった。ぶっちゃけ暇だった。
またしばらく辺りを見渡していると、俺はベットの上、腰の横あたりに置かれた手紙に気づいた。
「え、なにこれ。」
動きにくいながらも、必死に手を伸ばして、その手紙をつまむ。
手紙の表紙には、〈夜君を見舞いに来る人に渡して〉と書かれてあった。
夜見舞いに来る人…?
俺、そういえば何も覚えてないかも。見舞い…家族が誰かかな、
母親や親戚ぐらいなら覚えてるけど。なんかぼやっとしてる。
…そんなことを考えていると、
こんこん。
とドアが叩かれた。
?「失礼します」
「は、はい、!」
なるべく音を立てないようにか、ゆっくりとノブを押して、ゆっくりと扉を閉めて、
彼は入ってきた。
「どちら様ですか?」
俺が1言目に発したのはそれだった。
赤色で美しい髪、端正という言葉が似合う、無駄の省かれた顔。
小さいと言えてしまう背丈だが、謙虚な姿勢の中、ちらりと品が見えてくる。
ぶっちゃけ好みだった。男だけど。
まぁそんな思いより、当然、不審さが勝ってしまう。
?「え、えーと、うーん…あ、赤…です。」
彼はそう名乗った。
「え、あか?本名ですか?」
赤「う、うーん、そう。笑」
困惑した様子で、嘘だと言わんばかりの名前を言うから、きっと知られたくないんだろうな、と、俺は勝手に悟っていた。
名前隠すって何…悪い人!?
なんて疑問も過ぎたが、
眉を八の字に曲げてにこっと笑う彼を見て、そんなことはもはやどうでもいいって気がした。
「あっ!」
と、思い出したように俺は手紙を出す。
「これ、読んで欲しいそうで。」
俺がそう言うと、彼は困ったように笑いながら、
赤「ありがとう。でもごめんね、受け取れないんだ」
とそう言った。
まるで慣れたかの様に口早に言うもんだから、
少し不安になってしまった。
すると、彼の瞳に薄く氷が張ったように、
つぎのときにははらりと涙が零れたもので、俺は少し困惑していた。
赤「あっ、あはは、いいのいいの、ごめんね、気にしないで」
人差し指の先で涙を掬って、拳でその粒をぎゅっ、と握っていた。
「意味、わかんないよね、ごめんね、笑」
と申し訳なさそうに、少し笑みを交えて、彼は呟いた。
ふわりと高く、それでいてすっと耳に馴染む、そんな声だった。ただ、なにかを我慢したように、震えた声と共に彼は笑顔を見せた。
どこか、嘘だと言わんばかりの、困った笑顔だった。
彼は、少し間を置いてから、気を取り直し、「あ、そうそう」と発し、花瓶に刺されていた桃色のスターチスの花を抜いて、また新しく、桃色のスターチスと見受けられる花を刺した。
新しく購入したものなのか、元に刺されていた花よりも、さらに鮮やかで、なんだろうか、簡単な感想しか言えないが、美しかった。
「あっ、わざわざすみません。」
俺は、本当の名前も知らない人にはなをかえてもらう、という少し申し訳ない状況に頭を下げながらも、
どこか懐かしい彼といる時間に、とてつもない有意義な感情を噛み締めていた。
赤「じゃあ、もう行くね。またね、“さとちゃん。”」
「あ、はい。また、」
彼は帰って行った。
そういえば俺って、「さとちゃん」なんて愛称で呼ばれていた、あれ、それって誰にだ……?
誰に呼ばれていた?おれ、さとちゃんなんて。あれ、「さとみ」って誰だ?
俺、本名違うし。でも、なんだか俺が呼ばれている、と直ぐさま分かる。なんでだ。
異和感が脳にどっと重みを掛けてくる。
頭が痛い。
あぁ、
この手紙どうしようかな。
なんだか頭痛がする。が、
手紙が気になる。
この手紙、誰が書いたんだろう。あの「赤」っていう人に何を伝えたかったんだろうか。
気になる、すごく気になる。
頭を抑えながら、手紙を見つめ、ごくり。と、喉を鳴らす。
……しかしやっぱり、他人の書いた手紙を俺が見るというのも悪い、また、赤さんに失礼だろう。
俺も流石に大人だ、好奇心より理性が勝つ。
やーめた、と、手紙をほいっ、と腰の横辺りに置いた。
はぁ、やっぱ頭いてぇや。
なんか、めっちゃ疲れたし。
あー、しんどい。
眠いな、
痛い……
……っ、う、
「な、なんだ?ここ。」
俺が目を覚ますと、そこは知らない病室だった。
目を少し開ければ飛び込んでくるのは眩しい光。顔の横にある棚には、桃色のスターチスの花が花瓶に刺されてあった。
花を見て俺は無意識に、
「綺麗な花…」
と呟いた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『知らない病室』
END
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ちなみに、スターチスには「不朽不変の愛」という意味があるそうです!素敵な花言葉で、一目惚れしちゃいました( ˶’ᵕ’˶ )
ここまで、読んでいただき、本当にありがとうございました!🙇🏻♂️
コメント
2件
最高かよ、大好きです。