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その後、神殿に報告があると退室したフランツと入れ替わるようにレイが部屋にやってきた。
「何、あんたもいたの?」
チラリとこちらを見た後、サンダルを脱いでベッドに座り込む。少し金属的な光沢を放つ銀髪からは長い耳が生えていた。なるほど、この世界でもエルフの耳は長いのだな。
「何、見てるの?」
「え? ごめん」
「謝るってことは悪いことをしたんだよね? じゃあ、なにかお詫びして貰わないとね」
私が耳を見ていることに気づいたらしいレイは、不敵な笑顔を浮かべて挑発してくる。きれいな顔をしているから余計に冷たい印象を相手に感じさせるのだろう。だが、フランツから『実は一番年下』という情報を得た今となっては反抗期男子の不器用な甘えに感じられてしまう。
「神殿に戻ってくるまで結構歩いたし、足をお揉みしましょうか?」
「は? マジで言ってんの?」
「マジですよ」
レイが驚いたような表情を浮かべる。だが、いたずらっぽい表情を浮かべて足をこちらに投げ出してきた。私はその足を掴んで足裏を優しくマッサージしてやる。
「え? 足の裏!?」
「うん。ふくらはぎとかはあまりマッサージしないほうがいいらしいんだよね」
私の行動に驚きの声を上げるレイだが、私は気にせずに足裏を揉みほぐす。メイジということもあり、あまり運動していないのだろう足裏は柔らかくて触り心地がいい。さらに細く長い足は非常にきれいだった。
「ん……なんか、気持ち良い。足裏なんて他人に触られたの初めてかも」
レイは少し頬を上気させ、小さな声で呟く。プライベートゾーンではないものの、普段人に触られることにない場所を触られることは恥ずかしいのかもしれない。
「ごめん、嫌だった?」
「バカ、気持ち良いって言ってるだろっ」
少し心配になって確認した私の言葉に対し、レイは照れたような表情を浮かべる。これがいわゆるツンデレか。いや、ほとんどツンはなかったような気もするが。
「どこか痛いところはあるかな?」
「別にないけど……あえて言うなら土踏まずの辺り?」
「土踏まずの辺りは胃腸が弱い場合に痛くなるんだけど、食事はちゃんと摂れてる?」
「別に問題ないよ。ってか、単に歩いたから疲れてるだけじゃないの?」
「そうだね。土踏まずの辺りは歩くと疲れが出やすいからね」
私の問いに、少し考えて答えるレイ。少しうんちくを伝えるも、あっさりと否定されてしまう。運動不足の少年が歩くとすぐに足が痛くなるよねと思いつつ、本人に言うと怒りそうなので黙って土踏まずを集中的に揉みほぐしてやる。
「あー、気持ちいい。あんた、マッサージの才能があるんじゃない?」
「そう? じゃあ、これからも足が疲れたらマッサージしてあげるよ」
「変な大人だね。子どもの足をマッサージとか、プライドがないの?」
「ほら、アコライトだから癒すのが好きなんだよ」
褒めた後にすぐに落としてくるレイ。しかし、プライドも何も少年の足裏をマッサージできるのはむしろご褒美なんだよなーということは引かれそうなので黙っておく。それにしても、レイの足裏は本当に細くて華奢で、さらに柔らかくて触り心地がバッチリだった。このままずっと足裏マッサージをし続けたいくらいだった。