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こーんな最低な世界、誰かが変えてくれないかな…
ちっぽけなこの願いは、誰にも届くことはなく消えていった。
「う…頭いっ…」
昨日の仕事で殴られた痛みの出る頭を手で抑えながら、俺、凸もりは起き上がる。
はあ…そういえば最近仕事漬けだった…まともに寝れたのいつぶりだ…?
たまには街とか歩こうかな…この国に来て数年経つのに、全然街のこと知らない…
そもそも興味すら湧いていなかった。
こんな腐りきった世界に…
外に出ると、太陽の光が眩しくて目を閉じる。
目が慣れてきて、歩き始めると焼き立てのパンの匂いがしてきた。
パン屋…そういえばお腹空いてた。
「あ!凸もりくんじゃない!久しぶりね!元気してた?」
パン屋の店員さんが俺に話しかけてくる。
あー…そういえばこんな人いたな…めんどくさい…さっさと買って帰ろ
適当にパンを選んで、お金を払う。
突然、店の扉が勢いよく開けられて、小さい子どもが入ってきた。
俺は驚いた。
その子には、狼の耳と尻尾が生えていたから。
「パン屋のおねーさん!見て!私お花摘んできたの!おねーさんにあげる!」
「あらマルベロスちゃん、ありがとう!大切にするね。」
その子は「バイバイ!」と元気に手を振りながら店を出ていった。
「あの子、孤児院にいる子なの、国に目をつけられたらまずいんだけどね、ああだから。」
俺はさっきの子の狼の耳と尻尾のことを思い出す。
………獣人は価値が高い、だから奴隷にされたり、国同士の取引に使われる。
どうか、あの元気な笑顔のままでいてくれよー…
俺は対して信じてもいない神に祈った。