テラーノベル
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深夜1:00を過ぎてもミィは帰る気配が無い。それどころか俺の腕にしがみつき、意地でも帰らないつもりなのだろう。俺も観念をして歯を磨き始めた所、家のチャイムが鳴った。
こんな深夜に誰かと思い片目をつむり玄関の覗き穴を覗くと、そこには真冬にもかかわらず、汗だくになったアイさんがそわそわとしていた。
歯磨きを咥えながら扉を開けると、アイさんは扉を閉める間もなく俺の襟を両手でつかみ、飛び掛かるように俺の事を壁に抑えつけた。普段の穏やかなアイさんからは考えられないような――その目で人を殺害出来るのではないかと思える程、恐ろしい目で俺の事を睨みつける。今日は女性に良く詰められる日だな……。
時間差で扉がゆっくりと動き、バタンと小さな音を立てて閉まった。
「どうしてミィとセックスすることを私に報告するのよ! 私の事を犯罪者にさせるつもり?」
まずアイさんに連絡をしたのは俺じゃないですし、そもそも、ミィの寝るってセックスという意味では無いですし……ミィのやつ、勘違いされやすいメッセージを送りやがって……。というか今「犯罪者にさせるつもり?」って言った? もしかしてアイさん、俺の事を殺すつもりなのか!?
アイさんの怒鳴り声に気が付いたミィがひょこっと顔を出す。
「アイさんも一緒に寝る?」
俺はアイさんに襟を掴まれながら頭を押さえた。アイさんは俺に顔を近づけて声を荒げる。歯ブラシが無ければキスをしてしまいそうなくらい顔が近い。
「貴方! ミィちゃんに『私も呼んで3Pでもしよう。』とでも言った分け!? 信じられない! 最低!」
俺は首を振る。「そんなことは無い。誤解だ。」と反論したいところだが、口の中が歯磨き粉だらけで反論が出来ない。俺は縋るようにミィの方に目を向ける。ミィはニヤニヤとしながらこちらを見ている――こいつ、この状況を楽しんでいやがるな!
俺がミィの方を向いたことが、アイさんの怒りに対して火に油を注いだようで、俺の頬を掴んで無理やり目を合わさせる。
「私、怒っているんだけれど、どうしてミィちゃんの方を向いているの? しっかりと私と向き合ってくれると思ったのに……もう、貴方を殺して私も死ぬから……。」
今までよりも遥かに低いアイさんの声色に流石のミィも驚いたようで、ミィがとことこと寄って来た。
「アイさん、違うの。さっきのチャットは、私がユウト部屋に泊まって一緒のベッドで眠るという意味。別にエッチな事をする分けじゃないし、ユウトにそんな甲斐性は無いから安心して。」
ミィのやつ、今さらっと俺の事をディスっていなかったか……?
アイさんはミィの方を向くと、一瞬時が止まったように制止をした。そして俺の襟から手を放す。そして、解放した掌を開き口元を隠した。
「え……嘘!? もしかして私、勘違いをしていたの!? ごめんなさい。私の早とちりだったみたい……。でも、大人の男女が一夜を過ごすって……それに、一緒に寝るなんて聞いたら普通は……。」
アイさんは普段の表情に戻っている。まあ、今回の件は全面的にミィが悪い。あんなメッセージを送ったら、普通は勘違いをするだろう。
アイさんは顔を真っ赤にしながら、しどろもどろで”あわあわ”としている。普段冷静なだけに、そんな彼女の姿が可愛らしく感じた。
俺はその隙に、洗面所で口の中の歯磨き粉を捨てて口をゆすぐ。そして少し意地悪気味に、アイさんに話した。
「まあ、俺としてはミィちゃんとエッチな意味で寝るのもやぶさかではないですよ。それどころか、アイさんも交えて3人で楽しめたら、体力の限り頑張っちゃいますけどね。」
ほんの冗談――ただの軽口のつもりだった。しかし、話した瞬間ミィが顔を赤らめ、もじもじしながらこちらを見た。
「え……♡ 本気? 本気で私と……その……シたいの……♡」
何を言っているんだ……? こいつ……。ミィは顔も良いしスタイルも良い。抱き心地なんて最高だろう。しかし、俺とミィはそういう関係じゃない。それに、ミィの過去に受けてきた仕打ちを考えると……冗談でもそういうことを言うべきでは無かった……。
俺はミィの頭を軽くたたく。
「冗談だよ。ミィちゃんの気持ちを考えていなかった。ごめんな。」
ミィは一瞬キョトンとしたかと思うと、頬を膨らませて俺の胸をグーで何度も叩く。
「最低! バカ!」
何!? 何で!? 俺は助けを求めるようにアイさんを見ると、アイさんはあきれるような表情を浮かべながらこちらを見ていた。
「ユウト君、最低……。」
俺は俺の家なのに完全にアウェーのようだ。俺、どこで間違えたんだ? 調子に乗ってアイさんに冗談を言った所か? それよりも、誰かこの状況を何とかしてくれ……。
もう、なるようになれという気持ちで天を仰いだ……。
梨本和広
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桜咲かな
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雲花ヒヨ
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#恋愛
コメント
1件
みぅ🤍🥀です。 第50話、読み終えたよ……。 深夜の訪問、アイさんの豹変、ミィの“一緒に寝る?”発言。 もう、どこから突っ込めばいいのか分からないくらい情報量が多くて笑っちゃった😅 でも、ユウトの軽口にミィが本気で反応したところが、なんか胸に刺さった。 彼女の過去を思うと、冗談でも“そういうこと”を言っちゃダメだって、ユウトが気づいた後の空気が重くて……。 でも、最後の“天を仰ぐ”シーンで全部許せたというか、もうなるようになれって感じが好きだったよ。 尾津さんの作品は、キャラの感情の揺れが細かくて、毎回どきどきしながら読んでる🥀 次も楽しみにしてるね。