「MENって猫っぽいよね」
突如発せられた言葉に思わずは?と言ってしまう。
「いやいやいや、俺がそんな可愛い動物に見えるんすか?」
「可愛いかどうかは置いといてさ、気まぐれな感じ?」
ニコニコ…ではないな、ニヤニヤと笑いかけられる。
俺が猫っぽいなんて一度も思ったことがない。似てない?と言われても似てないとしか言いようがない。
「…ぼんさん、目おかしいんじゃないですか?」
「なんでよww」
絶対似てると思うんだけどなぁ〜と唇を突き出していじける。
俺は可愛いという言葉を浴びせられるのも可愛いものに当てはめられるのも嫌いだ。ぼんさんから可愛いなんて言われたことないけれど、時折こうして可愛いものに例えられる。俺には意図は読めないがぼんさんはいつも本気でそう思ってますって顔をしている。
「あ!ホラ、MENは夜の方もネコだし?」
「…最低っすね」
そんなキラキラの笑顔で言われましても。下ネタは下ネタだ。動揺を顔に出さないように一蹴する。
「MENちゃーん?」
「……なんすか」
「顔赤いよ?」
…表情には出ていなかったはずだ、俺は悪くない。
まるで語尾にハートがついていそうなくらい楽しそうにからかわれる。からかわれるのは居た堪れないが、恋愛経験の差のせいだ。仕方ない。仕方ないが悔しい。
なんとなく目を見れなくてそっと視線を外すと、咎めるように名前を呼ばれる。
視線を戻すと想像の5000倍近くにぼんさんの顔があって、思わず飛び退いた。
「び………っくりした………………」
底が見えない不敵な笑みを浮かべるぼんさんは、本当にかっこいい。かっこいいが、なんで今なんだ。
「MENさぁ」
「はい、」
「そろそろ至近距離にも慣れない?」
「…難しいっすね」
「なんでよぉ〜!」
難しいものは難しいのだ、そう言っても納得されないんだろうな。
真面目な顔でじっと見つめられる。心臓が破裂しそうだ、待って。
耐えきれなくて視線を逸らそうとすると、普段より少し低い声で「MEN」と呼ばれる。視線が外せない。どんどん体温が上がっていってしまう。
「…………ぼんさんが、」
「うん?」
「ぼんさんが!!かっこいいから!!!近くで見ると死にそうになるんすよ!!!!」
なので無理です!と言い残してそそくさと自室へ帰った。
コメント
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やばい…てぇてぇすぎます!