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灰色のキミがいた世界

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灰色のキミがいた世界

1 - 灰色のキミがいた世界

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2024年01月14日

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灰色の雲。


透き通った雨。


そんな空模様の日。


誰も寄り付かないような屋上で、


__俺は灰色のキミに出会った。

























「何、してんの?」


フェンスの外側にいる彼女に恐る恐る問いかける。

彼女はゆっくりと振り向いて、きらきらと光る黒曜石の様な瞳が俺をとらえて、


「キミもタヒにに来たの?」


そう問いかけてきた。問いかけに問いかけて返すのはどうかと思う。しかも、俺はキミと初対面だ。

でも、もしかしたら…


「違う。」


嗚呼、咄嗟に嘘をついてしまった。

此奴になら、話せたかもしれないのに。


「なぁんだ、」

「じゃあ、やーめよ。」


如何にも残念という表情を浮かべた彼女はフェンスを上り、内側に入って俺に近づいてきた。


「君はさ、」

「自分は何色の人間だと思う?」

「は、?」


又もや咄嗟の問いかけに戸惑っていると、


「あ〜、じゃあ」

「自分を表すなら”白”か”黒”か、」

「何方だと思う?」


目を逸らそうとした。だけど逸らせなかった。黒曜石の瞳が俺を逃がしてはくれない。


「、黒。」


暫く考えて答えを出した。

面倒な気持ちもあったけど、之は紛れも無い自分の本音。

そう、俺は黒色の人間だ。

白なんて綺麗な色じゃない。

俺の心は、

憎悪 恐怖 嫉妬 孤独 で溢れてる。

善人か悪人か何方だと聞かれれば、俺は間違いなく悪人だろう。

悪い事もいっぱいした。

でも、仕方がなかった。

全部彼奴らが悪い。

俺は悪くない。

虐めてきた奴ら、暴力を奮う父、泣いてばかりいる母。

全部全部彼奴らが悪い。


「ふ〜ん、そっか。」


聞いてきたのは其方だというのに、まるで興味を見せない。

俺に背を向け、空を見上げている。


「アンタは、何色なんだよ。」


咄嗟に聞いてしまった。


「ん〜とね。」


彼女は少し首を捻って、こう呟いた。


「灰色。」

「灰、色?」


想像もしていなかった色に少し驚いていると、彼女はこう続けた。


「私は、黒でも白でもない。」

「灰色の人間だよ。」

「この世界と同じ。」


小説のように語りだす彼女に狼狽えていると、いきなり俺の手をとって、


「黒瀬 湊都クン。」

「卒業の日、私と一緒にタヒんでくれない?」

「、は?」


白い顔に出た微笑みは、彼女の仮面なのか、本心なのか分からない。

唯彼女は笑った。

楽しい 苦しい そんな感情が微塵も読み取れないロボットのような笑みを、

灰羽 季帆は浮かべた。












































三月 七日



卒業の日


薄暗い屋上で


キミと二人


共にタヒねる日が来るまで


俺は生き続ける







































一次創作

『 灰色のキミがいた世界 』


黒瀬 湊都(クロセ ミナト)

灰羽 季帆 (ハイバ キホ)


読切️✒️

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