この作品はいかがでしたか?
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灰色の雲。
透き通った雨。
そんな空模様の日。
誰も寄り付かないような屋上で、
__俺は灰色のキミに出会った。
「何、してんの?」
フェンスの外側にいる彼女に恐る恐る問いかける。
彼女はゆっくりと振り向いて、きらきらと光る黒曜石の様な瞳が俺をとらえて、
「キミもタヒにに来たの?」
そう問いかけてきた。問いかけに問いかけて返すのはどうかと思う。しかも、俺はキミと初対面だ。
でも、もしかしたら…
「違う。」
嗚呼、咄嗟に嘘をついてしまった。
此奴になら、話せたかもしれないのに。
「なぁんだ、」
「じゃあ、やーめよ。」
如何にも残念という表情を浮かべた彼女はフェンスを上り、内側に入って俺に近づいてきた。
「君はさ、」
「自分は何色の人間だと思う?」
「は、?」
又もや咄嗟の問いかけに戸惑っていると、
「あ〜、じゃあ」
「自分を表すなら”白”か”黒”か、」
「何方だと思う?」
目を逸らそうとした。だけど逸らせなかった。黒曜石の瞳が俺を逃がしてはくれない。
「、黒。」
暫く考えて答えを出した。
面倒な気持ちもあったけど、之は紛れも無い自分の本音。
そう、俺は黒色の人間だ。
白なんて綺麗な色じゃない。
俺の心は、
憎悪 恐怖 嫉妬 孤独 で溢れてる。
善人か悪人か何方だと聞かれれば、俺は間違いなく悪人だろう。
悪い事もいっぱいした。
でも、仕方がなかった。
全部彼奴らが悪い。
俺は悪くない。
虐めてきた奴ら、暴力を奮う父、泣いてばかりいる母。
全部全部彼奴らが悪い。
「ふ〜ん、そっか。」
聞いてきたのは其方だというのに、まるで興味を見せない。
俺に背を向け、空を見上げている。
「アンタは、何色なんだよ。」
咄嗟に聞いてしまった。
「ん〜とね。」
彼女は少し首を捻って、こう呟いた。
「灰色。」
「灰、色?」
想像もしていなかった色に少し驚いていると、彼女はこう続けた。
「私は、黒でも白でもない。」
「灰色の人間だよ。」
「この世界と同じ。」
小説のように語りだす彼女に狼狽えていると、いきなり俺の手をとって、
「黒瀬 湊都クン。」
「卒業の日、私と一緒にタヒんでくれない?」
「、は?」
白い顔に出た微笑みは、彼女の仮面なのか、本心なのか分からない。
唯彼女は笑った。
楽しい 苦しい そんな感情が微塵も読み取れないロボットのような笑みを、
灰羽 季帆は浮かべた。
三月 七日
卒業の日
薄暗い屋上で
キミと二人
共にタヒねる日が来るまで
俺は生き続ける
一次創作
『 灰色のキミがいた世界 』
黒瀬 湊都(クロセ ミナト)
灰羽 季帆 (ハイバ キホ)
読切️✒️
コメント
9件
好き
もう最初からすき 🤭
ん お お お お お ❗ 𝑺 𝑼 𝑲 𝑰 𝑫 𝑨 。 🫶🏻 名 前 が も う 最 高 す ぎ る 😵💫