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まだ悪魔を狩るのに抵抗がある時期だった。悪魔を倒し終わり、緑に囲まれながら長く伸びた草を掻き分け来た方向を逆に進む。すると突然、パキッ、と枝を踏んだかのような音が聞こえた。それに体をビクつかせ、自分が出したものかと地面から足を上げるがあるのは草と土だけ。あの悪魔を倒しきってなかったんじゃないかと、恐怖で咄嗟に武器を構え、辺りを見渡す。すると緑の草木の中、不自然にこっちを向いている金髪が見えた。

「誰ですか…?」

人だと認識し構えてた武器を下げた。こちらを覗かせる目に優しく問いかけると、その金髪の子は怯えながら口を開いた。

『あ、あーさー…』

「アーサーさん……迷子ですか?」

彼は首を横に振った。

どうしたものかと頭を悩ませていたら、アーサーという子は草むらから完全に顔を出した。緑の瞳に、……タトゥーだろうか、目尻には星型の紋章が彫られていた。

『い、一緒に遊んでくれない、か?』

「…」

少しの沈黙の中、私は口を開いた。

「すいません、急いでいるので」

遅れたら殺される身に置かれていた時期の自分だったため彼の誘いを断り逃げるように山を降りた。そこからは何事も無かったものの、山を降りて以降、彼の顔はなぜだか思い出せないままだった。


第一章

チュンチュン___。

「……ん…」

可愛らしい小鳥のさえずりで目が覚める。自然の匂いに包まれた小屋で身を起こした。朝食なんてそんな贅沢なものはなく、刀だけを持って言われた場所へ向かった。

畑を荒らすトマトらしき悪魔をロックオン。その悪魔が後ろを向いた瞬間、走り出しそのまま上から真っ二つに断ち切った。血溜まりに足を付け、酷い臭いに侵されながら目の間でグデェと横たわるそれを見て思った。これで何十万貰えるのかな、と。

「ご苦労さん」

後ろから何百回と聞いた声が耳に入る。後ろを振り返ると、案の定声の主は名前も知らない恩人のヤクザさんだった。

「このサイズだったら……50万だな」

「! ほんとですか!?」

「ああ。そこから借金代と仲介料、修理代やら諸々引くと…」

思ってた倍の値段に胸を高鳴らせたのも束の間、どんどん金額が下がるような小言を呟く彼を見ながら肩を落とした。そのまま悪魔の処理を説明し報酬を受け取る。彼が去ったのを確認し封筒を開くと、中には予想の25万どころか1万しか残っていなかった。それから水道代や食品、日用品の補充も考えると……考えたくもない。

あんなヤクザに恩人なんて名誉な肩書きを事実とさせたのは、借金返済もせず勝手に死んでいった父のせいだ。母は自分を産んでポックリ逝ってしまい、保証人という保証人もいなかったため自分が父の返済役に回ったというわけだ。たまたま押し入れにあった刀1本を武器にデビルハンターとしてこの10年間生きてきた自分を褒めてやりたい。

「……はぁ、もう右目も肝臓も売っちゃいましたし、あと何売ればいいんですか」

おさらばした体の1部を上から撫で、家の扉を開ける。いつものように疲れた体を布団に預けようと目線を向けた時だった。

『……あ、』

思わず体が固まった。それもそのはず。森の奥に佇む、それも小屋同然の私の家に人がいたのだから。年齢は私より少し上。外国人だろうか、派手な金髪にキラリと光る宝石みたいな緑の瞳。それに加え肌も綺麗で身なりもお偉いさんの息子かのようにキッチリ整えられていた。そんな人がどうしてこんな所にいるのかとかよりも先に動揺が勝ってしまう。

「だ、だだ、誰ですかあなた!」

『あーここお前ん家なのか?通りで食パンがあったわけだな』

「え、ま、まさか、その食パン食べたりしてないですよね、!?」

『ん、食べた』

「……はぁ、」

雄一の生きる伝手だった食料をペロリと食べられた挙句、人の布団に土足でくつろいでる態度に普通なら腹が立つが全部に呆れ返った菊はそのまま腰を下ろした。どうせ長くない命なんだと心を広くし、年が近いであろう人と久しぶりの会話をする。

「もういいですよ。それカビ生えかけだったんで、明日新しいの買ってきますし、」

『は、はあぁ!?カビ生えてたのかよあれ!んなもん食ってんじゃねぇよ!』

「仕方ないんですよ。私みたいに貧乏な子は貴方みたいに美味しい食事が毎回出てきてくれるわけじゃないんですよ?」

『舐めんなよ、俺だってご飯ぐらい自分で調達してる』

「嘘おっしゃい。そんな綺麗な身なりでそんなこと、」

『できるっての。だって俺ガンガンガン!!

ドアをノックする音が外国人の言葉をふさいだ。2人はビクッと肩を上げ、視線はドアの方に向く。

「おい本田、仕事だ。早く向かうぞ」

「あ、はい…」

休めると安心しきった体に仕事の知らせは苦そのものだったが、逆らえるはずもなく刀を腰にさし家を出ようとした時だった。

『待て。俺も行く』

「…え?」

そう言うと外国人は布団から立ち上がり私を横切った。予想もしていなかった事態にまた体が固まるも、早く乗れと言わんばかりにこちらを睨むヤクザに流され何事もなく外国人と一緒に車に乗った。




「で、そいつぁ新入りか?」

「それは…『そうだ』

「…」

事実は彼によって捻じ曲げられ、後部座席で大人しく車に座るだけだった。落ち着かない様子の私に彼はちょいちょい、と手招きをして、それに応えるかのように私も近づく。彼は口を私の耳に近づけ、小声で耳打ちした。

「本田だったか?今更なんだが、お前なんの仕事してんだ?」

「……デビルハンターです」

『強ぇの?』

「雑魚処理程度なら、」

『……ふーん』

聞いてきた癖にいまいちな反応をする彼に唇を尖らすが、そんな事をしていると車が目的地に止まった。

「ついてこい」

既に運転席から降りたヤクザに追いつくよう、自分もシートベルトを外し車から出た。薄暗い倉庫の奥へと入っていき、中盤に差し掛かった所でヤクザは足を止めた。

「……どうかしましたか?」

そう聞くも、返ってくる言葉は何もなかった。

『何も言わねぇな。コイツ』

「うわああぁ!?」

急に横から聞こえてきた声に絶叫した。私のオーバーリアクションに驚いたのか、彼もビクッと体を震わせ「うわ、驚きすぎだっての」なんて笑いながら言った。お前のせいだよと言う前に、さっきまで黙っていたヤクザが口を開いた。

「俺はさ、お前ぇに感謝してんだぜ、本田」

「あ、はい…」

急に語る彼に少々驚いたが、そのまま話に耳を傾ける。

「あの男の借金も返してくれるし、犬みたいに安い賃金で働いてくれる。何より言えば何でもしてくれる従順な犬だ」

褒めてるのか貶してるのか分からないセリフに首を傾げる。横にいた外国人と目を合わせるも、彼もヤクザの言ってることが分からないらしく手を上げ肩をすくめるポーズをとった。

「でもさ、俺ぁ犬は臭くて嫌いだ」

そのセリフが耳に入った瞬間、ザクッと何かが自分に貫通した。痛みが広がる腹部を見ると、血に濡れた長い刀の先端が見えた。後ろから刺されたのだと理解はしているが、体が言う事を聞かなかった。視界が歪み、血が口から溢れ出た。味わったことのない痛みと、突然のことに頭が回らなくなり、その場に倒れ込んだ。

「あ、あ”あ”ぁぁ”ぁ、!!!」

時差で痛みが猛烈に自分の体を襲う。痛い、痛い、怖い、苦しい。横を見れば、さっきまで余裕そうな表情を浮かべていた彼の腹部にも刃物が突き刺さっていた。やばい、殺される。やっと理解が追いついた頭は、痛みが広がる自分の体を起こそうと信号を送った。

「だからさ、俺ぁはもっと稼ぎてぇからよぉ、悪魔と契約することにしたんだ』

何かに持ち上げられる彼を、腹部の傷を抑えながら睨めつけた。

『俺が望むのは悪魔の力』

『僕が望むのはデビルハンターの死』

最奥が見えないほど暗い倉庫の奥から浮かび上がったそれに絶望した。無数の顔が連なった丸い肉の塊、それが腸のようなものを伸ばしながら浮上している。下にはぞろぞろと集うゾンビの大群がこちらに向かって来ていた。

『デビルハンターくぅん、マジこいつらバカだ。めっちゃバカ。悪魔の力あげるって言ったらさぁ、自分達から僕の奴隷になってんのな』

『その力でゾンビになっちゃうんだけどね。僕、ゾンビの悪魔だから』

恐怖で足が竦んで思うように力が入らない。言葉を喋る悪魔ということはそれなりに強い悪魔だろう。今まで相手したことない数と大きさの悪魔に体が小刻みに震えた。悪寒のような小刻みな身ぶるいが絶えず足のほうから頭へと波動のように伝わる。耳には、自分の歯のガクガク鳴っている音と心音しか入ってこなかった。

『でも君らデビルハンターは悪魔殺すから嫌い。だから殺しちゃうんだぁ』

『皆、そいつバラバラにしてゴミ箱にでも捨てちゃってぇ』

無数のゾンビの大群は包丁やバット、刃物を落ち、安定しない体を引きずりながらこちらにゾロゾロと近づいて来る。

『クソっ、本田、動け!!逃げるぞっ!!』

彼は、恐怖と痛みで竦んだ私の腕を引っ張り、肩を組みながら出口の方へ走った。彼のおかげで少し冷静さ取り戻した私は、彼がしているように肩を組み合った。尋常じゃない出血量に耐えながら無我夢中に足を前へ進ませる。

「っが、はっ、」

『おい大丈夫かよ!クソっ、』

咳をする度に出てくる血は、あられが降ったみたいに自分の服と床を汚した。正面からもゾンビの群が道を塞ぎ、横にカーブをかけ曲がった。不規則でいてそれでも2人で支えながら逃げかえり、緑に点滅する非常口の標識が目に入った。

絶望な状況から希望が見え、横に合ったロッカーを倒しゾンビの進行を防いだ。が、それも束の間、自分の肩に置いてあった彼の重心が急に後ろに下がった。何事かと彼の方を見るとゾンビに後ろから服を掴まれ、刃物で背中を裂かれていた。

『い”ッ”!?』

「!?」

「ま、待ってください、今、!」

無駄にある良心で足を止め、倒れ込んだ彼を担ごうとした時、ゾンビが振り下ろした包丁を最後に私は意識を手放した。




雷に打たれたような感覚だった。暗い森の奥でひっそりと孤独に暮らしていた自分にとってあり得ない感覚だと思ってたのに。返り血を浴びた姿なんかも気にさせないほどの綺麗な顔立ちと、まん丸で黒曜石のように光を帯びた輝く瞳。彼の立ち姿や行動、頭上から爪先や指先までも全てが愛おしく思えた。あまりの愛らしさに俺の体は彼に無意識で近づいた。その時、パキッと踏んだ枝の音で我に返る。刀を構えた彼がこちらに気付くと、優しく声をかけてくれた。

「誰ですか…?」

『あ、あーさー…』

目の前で見ると、心臓が高鳴って思い通りに喋れなかった。顔が熱くなり、手をごもごもとイジる。

「アーサーさん……迷子ですか?」

俺は首を横に振った。

この子は俺と違って人間なのだろう。口振りや器用さで、そう察した。もう一生も来ない好機だと勇気を振り絞って俺は口を開いた。

『い、一緒に遊んでくれない、か?』

「…」

あ、これ駄目なやつだ。絶対引かれた。彼が冷徹な目線を俺に向けた時点で、そう思った。さっきまで火ばたっていた顔が、血の気を引くのを感じる。

「……すみません、急いでいるので」

そう言って山を下る彼を追いかける意欲はなかった。嫌われた。嫌だ。嫌だ嫌だ。駄々をこねる子供のように漏れ出す感情は、自分勝手に力を利用した。何が駄目だったんだろう。やっぱり初心だったところ?アイツは堂々としてる人の方が好きなのか?きっと汚い奴は嫌いだよな。ハグできないもんな。……いや、もしかして俺が悪魔だってバレてたんじゃないのか?そうか、こんな子供が山に1人っておかしいもんな。もう少し大きくなってからじゃねぇと。怪しまれる点は改善しねぇとな。

次会う時までに、ちゃんと、お前の理想の”人”なれたら。

どうかアイツが、今の俺を忘れてくれますように____。




「……ここは、」

目覚めた場所は薔薇が一面に咲き誇った園庭だった。花畑の中央には洋風の机と椅子が2脚。美味しそうなデザートと、綺麗に装飾されたティーカップ、ガラス状のティーポットが机に置かれていた。

私は天国にでも来としまったのかと少し安心し足を進めた。すると、さっきまで薔薇達で隠れていたであろうあの外国人が顔を覗かせた。

『……思い出したか?』

あぁ、そうだ。なんで今まで忘れていたのだろう。まだデビルハンターになったばかりの頃に、山で遭遇したあの金髪の子供。思えばあの緑色の瞳も顔立ちも目の前にいる彼にそっくりだ。

「アーサーさん、でしたっけ?」

『…あぁ。良かった』

「ごめんなさい、あの時は…」

『いいって。俺もまだ餓鬼だったしさ、急に遊びに誘うのは紳士じゃなかった。俺からも謝るよ』

『……それに、俺がお前に”俺”を忘れさせたんだ』

「……え、」

『薄々気付いてんだろ?俺が人間じゃないって』

「え、いや、まったく……」

『は!?そ、そんなん記憶無くした意味ねぇじゃねぇか!』

「勘違いしていらした…ということですか?」

『…』

顔を赤くした彼につい笑みが溢れる。それと同時に、今まであまり固執していなかったあの世現世に、未練ができてしまった。

あんな貧乏な生活よりここにいる方がよっぽど幸せだろうに。なんででしょうね。分からないけど、なぜだか、そう自分の本能が言ってるような気がしたんです。

「私、貴方とここではないあの世現世で暮らしたいです。この10年間、勘違いしたまま過ごしていたなんて馬鹿らしいでしょう?」

私が微笑みながらそう言うと、彼もまた私に微笑み返した。

『……あぁ。そうだな』

『今更なんだが、下の名前、何ていうんだ?』

「菊です。本田菊」

『…綺麗な名前だな』

「ふふ、アーサーさんこそ。とても明るくていい名前だと思いますよ」




バラバラにされた2人の肉体が放り込まれているゴミ箱の中で、菊の首筋から流れ落ちる血が、首だけになったアーサーの口に流れ込まれていった。その瞬間、バラバラにされたアーサーの体は、通信ケーブルのように四肢と胴体が繋がる。




「………アーサーさん」

『ん?』

狭く明るいゴミ箱の中で、ゴミに埋もれながら私を見下ろす彼を見上げる。急に距離が近づいて照れくさいが、どこか嫌ではない気持ちに駆られそのまま身を任せた。

「私の体、ちゃんと奪えましたか?」

『いや?まだだな』

「え、…あの会話で復活以外の道あります、?」

『……菊。これは契約だ』

「?」

いまいち話が掴めない私に、彼は話を続けた。

『俺はお前と一緒にいる時の方が1番好きだ』

『俺の心臓を菊にやる。代わりに、










ずっと菊の側にいさせてくれ』




「___アーサーさん、!!」

夢から覚めた私は、ゴミ箱の中だった。夢…だったのでしょうか。咄嗟に伸ばした腕は切断されていた跡も残っておらず、先日負った切り傷すらも無くなっていた。来ていたTシャツはどこかへ行ってしまい、腰辺りに星型の紋章が付いている。

「……アーサーさん」

彼の目尻と同じ紋章だ。彼は私の心臓となったのだと、今まで気にしていなかった心臓の鼓動に神経を働かせた。

が、干渉に浸ってる場合ではない。前を見ればさっきよりも数を増したゾンビとあの悪魔がこっちを見つめていた。

『バラバラにしても生きてんの!?キモッ!僕やっぱりデビルハンター嫌い!!』

『みんなぁ、ソイツ食べちゃって!!』


なんでコイツらは、十分恵まれているのにその先を望んだのだろう。

……きっと俺と同じ理由だな。

もう与えられたものじゃ満足出来なくて、その先の幸せまで夢見ちまう。

俺だって、最初は菊と再会できるだけで良かったんだ。それが今じゃ、菊と抱き合いたいだなんて夢見ちまってる。


なんでこの人達は、十分恵まれているのにその先を望んだのでしょう。

……きっと私と同じ理由ですね。

もう与えられたものじゃ満足出来なくて、その先の幸せまでも夢見てしまうんです。

私だって、最初は今までの暮らしに戻れば、それで良いと思ってました。それが今じゃ、普通の生活を夢見てしまう。


そーか。みんな夢見ちまうんだなぁ


じゃあ、悪い事ではないですね。


悪い事じゃねぇけど、




『「私達の邪魔をするなら、死んでください」』


その瞬間、腰に浮き出た星型の紋章はピカリと白い光を放った。襲いかかってきたゾンビの大群はその光に目を痛ませ、動きを止める。

10年を共にした愛刀はキラキラと煌めきを帯びており、自身の目にも星が宿っているような気がする。今までじゃ考えられない程の力がみなぎり、そっと星の紋章を撫でた。

「アーサーさん。力を貸してください」

あぁ。仰せのままに。

そんな声が聞こえた気がした。

「……参ります」

構えをとると、向かってくるゾンビを切り倒した。首を跳ね、胴体を真っ二つに切り、一撃で一瞬の間に討伐していく。体に羽根がついたように軽い。バレリーナのように空中で軌道を変えながら、腰を捻り、身軽に斬殺していった。時には豪快に上から降りてはゾンビを一層し、時には蹴りで頭を吹っ飛ばした。

『く、来るなああぁぁぁ!!!』

そう叫ぶ元凶の悪魔は腸を伸ばし攻撃してくる。それを見計らい、伸びた腸の上を駆け上がって悪魔との距離を詰めた。

『なんだオマエ…!さっきの雑魚悪魔が体を乗っ取ったのか…!?』

「じゃあお仲間ですね」

ギョロギョロとした目玉に刀を差し込み、うるさい口目掛けて地についた腸まで真っ二つに掻き切った。

溢れ出る血しぶきを浴びながら、前に視線をやる。まだ倒しきっていないゾンビの大群がこちらに向かってきていた。

「貴方がたは…心まで悪魔になってしまったみたいですね」

「デビルハンターとして雇われているからには、仕事を遂行しなくては」

向かってくるゾンビをさっきと同じように掻っ捌いた。返り血なんな気にせず、我を忘れたように、切って、切って、切りまくった。

「これだけ、討伐すれば、!借金もパァですねきっと、!」


倉庫から聞こえてくる残虐な音は朝まで耐えなかった。




「ヴェ〜…先越されちゃったよぉ…」

「お前がチンタラしてたからだろう…」

目の前にある無数の死体から放たれる異臭に、ルートは鼻を摘んだ。薄暗い倉庫で微かに立ち竦んでいる人影に2人は目を丸くする。

「生きてるのがいるな」

「ヴエエェェェ!?悪魔!?怖いよぉ助けてルートおぉぉ!!」

「うぉ、暴れるな!俺が見に行ってやるから離せ、!」

「う、うん、気をつけてねルート、」

死体を避けながら立ち竦んだ彼に近づいたルートは、何かを察したように彼を見つめた。

「お前……悪魔か?…人間か?」

彼は無言でルートを見つめる。ふらっ、と倒れ込む瀬戸際で、菊は精一杯声を振り絞った。

「しゃけ…食べたいです………」

倒れる寸前でルートにキャッチされる。愛刀に纏っていた輝きは消え失せ、目に宿していた光も腰の紋章の光も薄っすら消えていった。

「人間だな」

「ル、ルート、悪魔に乗っ取られてる可能性は、?」

「ないな。乗っ取りは顔を見れば分かる」

そっかぁ。と安心したフェリシアーノは、さっきルートがやったように死体を飛び越え、2人に近づいた。

「ねぇねぇ君、これ君がやったの?」

「…」

「俺達はね!公安のデビルハンターなんだ!」

「おいお前、またペラペラと、」

「大丈夫だよ。人間なんでしょ?こんなに強いなら、俺達の仲間になってもらおうよ!」

「待て。まだ人間と完全に確定した訳じゃ、」

「ルートが言うなら間違いないよ。今まで、俺ルートの観察眼で何回も助けてもらったし!」

「……まったくお前は、」

照れくさくなるルートを他所に、フェリシアーノは話を続けた。

「ってことでさ!君も公安のデビルハンターになるのはどお?きっとココより楽しいよぉ、優しくて賑やかな仲間が沢山いるんだぁ!それにね!美味しいご飯や、ふかふかなベッドで優雅にシエスタもできてー」

「……………朝ご飯って、何が出ますか?」

「ヴェ?」

予想外な質問に彼は、顎に手を近づいて「うーん」と頭を傾げた。ルートはフェリシアーノの言葉に助言を重ねるかのように、口を開いた。

「そうだな。頼めば基本的に何でも作ってくれるぞ。パスタにじゃがバター、ハンバーガーに、……お前が言っていたシャケも」

「……あはは、天国ですね、」

ほくそ笑む私を覗き込みながら、2人は顔を見合わせて笑った。

「はは、そうでしょ!君なんていうの?」

「本田…菊です」

「そっかぁ菊!俺フェリシアーノ!よろしくねぇ」

「ルートヴィッヒだ。ルートでいい。これからよろしく頼む」

チェンソーマンパロ

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