「………”親しき中にも礼儀あり”」
突然ベンチで隣に座る双子の妹の突然の言葉に、僕はびっくりする。
「何故か私達って、妙に他人同士みたいに喋りますよね。」
肉体を持たない瑠璃は、足元に生えてる名前もわからない花を触ろうとして、空振る。
「兄妹のはずですよね、どうしてこうなってしまったんでしょう」
それは、と言おうとして、口を閉じる。
「………別にあなたのせいではありませんよ。」
「ただ、」と瑠璃は続ける。
「不思議なんですよ…死んでも貴方と喋れてることが、ほんと不思議なんです。」
通りすがりの人が、”誰か”と喋っているように見える僕のことを、不思議そうに見て歩いて行く。
瑠璃は僕だけにしか見えない。僕のもう一つの人格だから。
こうして喋れるのは僕だけの特権。
「………お願いがあります。」
そう言う瑠璃の目からは涙が零れ落ちていた。
「また、お兄ちゃんって呼んでも、いいですか…?」
「…………………もちろん」
また、昔みたいな、ただの仲良しな兄妹に、戻れた気がした。