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追憶 夢に見た海底の記憶を胸に、 何を選ぶのか。潮風は、依然として胸の奥の湿り気を残していた。
何故 水は溺れる程心地良いのか。
それは 全てを沈めてくれるからだろうか?痛みも 声も 過去も 抗う力さえも優しく絡め取り、ひとときの 無 へと溶かしてくれるからだろうか。
かつて見た夢の続きを
思い返していたんだ。
海底
朽ちた面影。
消えた声。
名を呼ぶ事すら叶わなかった友の瞳。
彼らの残した 意志 の欠片は波の奥で静かに揺れていた。あの夢は ただの幻では無かった。それは 深く沈めていた問いへの返答だったのだ。
…沈む事は終わりじゃない。
沈んだ先で、光を見つけることこそ、生きる者に与えられた選択なのだ。
夢の中で 沈んでいた。
声にしてみれば 静かな空間に反響するような虚しさ丸ごと現の風が吹き飛ばしてくれた。海が心地良かったのは 何も考えずにいられたからだ。 けれど、僕は考える者で在る事を選んだ。
悲しみが去った訳では無い。憎しみもまた この世界に残っている。
だが、それでも生きて 沈んでは浮かび、また歩く。
赦しとは、生きてそれを繰り返す事なのかもしれないな
海に沈んだ記憶
声無き祈り
全ては またここから始まる。