コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ーー嵐の中の戦いーー
雷鳴が轟き、暗闇に稲妻が光る。荒れ狂う波が船体を揺らし、甲板に激しく叩きつけるように水しぶきが舞い上がった。
「ちっ……!やっぱりとんでもない嵐になりやがった!」
玲央は甲板にしっかりと足を踏ん張りながら、暴風の中で必死に動き回る仲間たちを見渡した。龍水が舵を握りしめ、金狼とコハクがロープを引いて帆を畳もうとしている。ゲンはどこかで「ひゃーっ!せっかく寝ようとしてたのに!」と叫んでいたが、すぐに作業を手伝い始めた。
「玲央!!ロープが切れそうだ!!」
フランソワが叫ぶ。その視線の先、マストに張られたロープが強風に煽られてギシギシと音を立てていた。
「このままじゃ折れる!!誰かロープを押さえろ!!」
「わーった、オレが行く!!」
玲央は嵐の中、船の端へ向かって駆け出した。だが、次の瞬間ーー
「ッ!?しまった!」
突然の突風が玲央を吹き飛ばし、体が宙に浮いた。
「玲央!!」
ゲンの叫びが聞こえる。しかし、玲央は瞬時に手を伸ばし、横の木の支柱にしがみついた。
「はぁっ……!!危なかった……!」
びしょ濡れになりながらも、玲央はなんとか踏みとどまる。そして、そのままマストのロープへと手を伸ばし、全力で掴んだ。
「うぉおおおおお!!」
力を込め、ロープを必死に引く。荒れ狂う風に逆らいながら、少しずつロープを巻き戻していく。
「玲央!!こっちも手伝うぞ!」
コハクが駆け寄り、一緒にロープを引き始めた。金狼も加わり、全員で力を合わせる。
「よし……っ!もう少しだ!」
嵐の音に負けないほどの叫び声が響く。
そしてついにーー
「いけるぞ!!」
龍水が大きく舵を切ると、風向きを利用して帆がうまくたたまれた。
「やったか!?」
その瞬間、強風が船の帆を大きく叩きつける。だが、しっかりと固定されたことで、今度はうまく耐えられた。
「……やった!!」
コハクが叫び、金狼がほっと息をついた。
「フフン、さすがだな。これでなんとか持ちこたえられる!」
龍水が舵を握りながら微笑む。
玲央は荒い息をつきながら、甲板に座り込んだ。
「……はぁっ、マジで死ぬかと思ったぜ……!」
ゲンがへたり込みながら笑う。
「いやぁ、玲央ちゃん、ホントにいいタイミングで頑張ってくれたねぇ。これで沈没しなくて済みそうだよ。」
玲央はゲンの言葉に苦笑しながら、立ち上がる。
だがーーその瞬間。
「……ん?」
玲央(……なんか、ヤバい気がする。)
直感的にそう思った瞬間、背後で巨大な波が盛り上がる。
千空「おい、伏せろ!」
龍水「クソッ!このタイミングでか!!」
玲央が振り向いたときには、すでに遅かった。
――ドォォォン!!
巨大な波が船を直撃し、玲央の身体が宙に投げ出される。
ゲン「玲央!!」
コハク「くっ……手が届かない!」
玲央は必死に手を伸ばすが、濁流に飲み込まれ、仲間たちの叫び声が遠ざかっていった。
玲央「……ったく、やっちまったねぇ。」
意識が遠のいていく中、玲央はただ波に身を任せた――。
⸻
冷たい風が肌を撫でる。
玲央は砂の感触を感じながら、ゆっくりと目を開けた。
玲央「……生きてる?」
視界に映ったのは、どこまでも広がる砂浜と、見知らぬ風景だった。
玲央「……ここ、どこ?」
身体を起こすと、ずぶ濡れの服が肌に張り付き、髪からはポタポタと水が滴っている。
玲央「……まさか、流れ着いちまった?」
周囲を見回していると、遠くから数人の影が近づいてくるのが見えた。
???「……目が覚めたか。君、どこの人間だ?」
玲央は警戒しながらも、その声の主を見上げる。
金髪に白衣を纏った、知的な雰囲気の男。
玲央「……アンタ、誰?」
ゼノ「フッ……私はゼノ。さて、君の話を聞かせてもらおうか?」
玲央は状況を理解しようとしながら、乾いた笑いをこぼす。
玲央「……なんか、面白くなってきたねぇ。」