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ーー嵐の中の戦いーー

雷鳴が轟き、暗闇に稲妻が光る。荒れ狂う波が船体を揺らし、甲板に激しく叩きつけるように水しぶきが舞い上がった。


「ちっ……!やっぱりとんでもない嵐になりやがった!」


玲央は甲板にしっかりと足を踏ん張りながら、暴風の中で必死に動き回る仲間たちを見渡した。龍水が舵を握りしめ、金狼とコハクがロープを引いて帆を畳もうとしている。ゲンはどこかで「ひゃーっ!せっかく寝ようとしてたのに!」と叫んでいたが、すぐに作業を手伝い始めた。


「玲央!!ロープが切れそうだ!!」


フランソワが叫ぶ。その視線の先、マストに張られたロープが強風に煽られてギシギシと音を立てていた。


「このままじゃ折れる!!誰かロープを押さえろ!!」


「わーった、オレが行く!!」


玲央は嵐の中、船の端へ向かって駆け出した。だが、次の瞬間ーー


「ッ!?しまった!」


突然の突風が玲央を吹き飛ばし、体が宙に浮いた。


「玲央!!」


ゲンの叫びが聞こえる。しかし、玲央は瞬時に手を伸ばし、横の木の支柱にしがみついた。


「はぁっ……!!危なかった……!」


びしょ濡れになりながらも、玲央はなんとか踏みとどまる。そして、そのままマストのロープへと手を伸ばし、全力で掴んだ。


「うぉおおおおお!!」


力を込め、ロープを必死に引く。荒れ狂う風に逆らいながら、少しずつロープを巻き戻していく。


「玲央!!こっちも手伝うぞ!」


コハクが駆け寄り、一緒にロープを引き始めた。金狼も加わり、全員で力を合わせる。


「よし……っ!もう少しだ!」


嵐の音に負けないほどの叫び声が響く。


そしてついにーー


「いけるぞ!!」


龍水が大きく舵を切ると、風向きを利用して帆がうまくたたまれた。


「やったか!?」


その瞬間、強風が船の帆を大きく叩きつける。だが、しっかりと固定されたことで、今度はうまく耐えられた。


「……やった!!」


コハクが叫び、金狼がほっと息をついた。


「フフン、さすがだな。これでなんとか持ちこたえられる!」


龍水が舵を握りながら微笑む。


玲央は荒い息をつきながら、甲板に座り込んだ。


「……はぁっ、マジで死ぬかと思ったぜ……!」


ゲンがへたり込みながら笑う。


「いやぁ、玲央ちゃん、ホントにいいタイミングで頑張ってくれたねぇ。これで沈没しなくて済みそうだよ。」


玲央はゲンの言葉に苦笑しながら、立ち上がる。


だがーーその瞬間。


「……ん?」


玲央(……なんか、ヤバい気がする。)

直感的にそう思った瞬間、背後で巨大な波が盛り上がる。


千空「おい、伏せろ!」


龍水「クソッ!このタイミングでか!!」


玲央が振り向いたときには、すでに遅かった。


――ドォォォン!!


巨大な波が船を直撃し、玲央の身体が宙に投げ出される。


ゲン「玲央!!」


コハク「くっ……手が届かない!」


玲央は必死に手を伸ばすが、濁流に飲み込まれ、仲間たちの叫び声が遠ざかっていった。


玲央「……ったく、やっちまったねぇ。」


意識が遠のいていく中、玲央はただ波に身を任せた――。



冷たい風が肌を撫でる。


玲央は砂の感触を感じながら、ゆっくりと目を開けた。


玲央「……生きてる?」


視界に映ったのは、どこまでも広がる砂浜と、見知らぬ風景だった。


玲央「……ここ、どこ?」


身体を起こすと、ずぶ濡れの服が肌に張り付き、髪からはポタポタと水が滴っている。


玲央「……まさか、流れ着いちまった?」


周囲を見回していると、遠くから数人の影が近づいてくるのが見えた。


???「……目が覚めたか。君、どこの人間だ?」


玲央は警戒しながらも、その声の主を見上げる。


金髪に白衣を纏った、知的な雰囲気の男。


玲央「……アンタ、誰?」


ゼノ「フッ……私はゼノ。さて、君の話を聞かせてもらおうか?」


玲央は状況を理解しようとしながら、乾いた笑いをこぼす。


玲央「……なんか、面白くなってきたねぇ。」

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