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雅也の動きがますます大胆になる中、幕府はその反撃に最も力を注ぐべき人物を任命した。それが、山田兵衛であった。山田兵衛はその名を聞くだけで、幕府の兵力を指揮し、数々の戦場でその手腕を発揮してきた猛者である。
山田は、異能部隊に対抗するため、単に軍事力を用いるだけでは不十分だと感じていた。雅也がもたらした異能の力に対抗するには、物理的な戦力だけではなく、精神的、戦略的な力を駆使しなければならないと考えたのだ。
山田の指揮のもと、幕府は新たな部隊を編成する。それが「影部隊」と呼ばれるものであり、雅也の異能部隊と対を成す存在となるべく、最も優れた兵士たちが集められた。これらの兵士たちは、戦場では隠密行動を得意とし、情報戦や潜入活動、そして「異能者」の監視と排除を任務としていた。
山田兵衛はその訓練を率いていたが、彼の方法は過酷であった。部隊の兵士たちは、山田の厳しい指導のもと、徹底した鍛錬を受けていた。夜を徹しての訓練、心身を限界まで追い込む過酷な特訓、そして精神的な試練を受けた者だけが、影部隊の一員として名を挙げることができた。
「お前ら、どんな状況でも自分を信じろ。どんな異能に出会っても、動揺せずに冷静に対処しろ。雅也がどんな力を持っていようとも、お前たちが持っているものには負けることはない。」
山田兵衛は部隊の前に立ち、力強くその言葉を放った。
だが、山田兵衛には他の者には知られていない秘密があった。彼自身、過去に「異能」を持っていたのだ。だがその力を制御しきれず、重大な事故によって異能を失ってしまった。
山田兵衛の異能は「影の操作」。物理的なものに触れることなく、影を操る力を持っていた。だが、その力が暴走し、無差別に周囲を傷つけることとなり、彼はその力を封じ込めることを余儀なくされた。幕府は、山田にその力を封印するように命じ、その後、彼は異能を使わずに戦う道を選んだ。
それでも山田は、異能を持つ者たちに対して強い警戒心を抱いていた。雅也のような異能者が増えることは、幕府にとって大きな脅威であり、山田はその脅威を取り除くために全力を尽くす決意を固めていた。
「雅也、お前のような力を持つ者には絶対に負けるわけにはいかん。」
山田は心の中で誓った。
山田兵衛が指揮する影部隊は、ついに雅也の異能部隊との接触を果たすこととなる。その戦闘は、予想以上に熾烈を極めた。
雅也は「切断」の力を駆使して戦い続け、影部隊の兵士たちはその攻撃をかわすために最大限の能力を引き出さなければならなかった。しかし、山田兵衛は異能を持たないものの、その冷徹な戦術と戦略で対抗していた。彼は、異能に頼らずとも、最も効率的で致命的な攻撃を仕掛ける方法を熟知していた。
山田の影部隊は、雅也の異能部隊の動きを予測し、確実に一歩先を行く。彼らは隠密行動を駆使して雅也の陣地に忍び寄り、情報を奪い取ってはすぐに撤退する。そしてその情報を基に、雅也の次の動きを封じ込めようとしていた。
雅也はその戦術に対して驚愕し、次第に戦況が思うように進まなくなった。だが、彼の反応は冷静だった。自らの異能を駆使して、山田の部隊に反撃を開始する。その一撃が、戦局を一気に変えるかと思われたその時、山田兵衛は、冷徹な眼差しでその一歩先を見越し、計画していた反撃の一手を放った。
「お前の動き、全て読んでいる。」
山田兵衛は、静かな声でそう呟きながら、最後の指示を出す。
雅也と山田の戦いは、まさに死闘となり、どちらが勝つかはわからない状況となった。だが、戦いの中で重要なのは、両者の異能をどのように制御し、どこまで冷静に戦い続けられるかということであった。