彼女はこういった。
「私の心の中で、みんなは生き続ける。私はみんなを忘れたくはない。でも、このままだと前へ進めない。」
そう言って3番を選んだ。
監禁ゲームに参加したものは最後の一人になるまで終わらない。今まで3番を選んだ人間は居なかった。
Aliceは不思議に思った。
[なぜ1番と言わなかったのだろう]
と。するとARIAはこう言った。
「1番は1年しか生きられない。記憶を改竄させれる代わりに監禁ゲームにこれから一生強制参加させられる。救いが無いゲームに希望は無いのだろうね。」
そう言うとARIAは、放送室に入りゲームを開始させるホイッスルを鳴らした。
記憶は全くない。彼女は彼女の親の事も、友人の事も監禁ゲームの事も覚えていない。
芽依はスープをスプーンですくう。口に運ぶが味が薄く、美味しいと言えるような顔が出来なかった。
水をひとくち口に含み、唾と一緒に呑み込んだ。
彼女は3日間部屋で気を失って倒れていた。彼女の同僚が、彼女が無断欠勤を繰り返しているのを見兼ねて、家に行くと玄関の扉に鍵が掛かっていない事に妙な違和感を覚える。部屋で彼女を探している際に、机の横で倒れている所を発見し救急車で病院まで運ばれていた。原因はお酒によるものでは無いかと考えられていたが、彼女は致死量でもない量を呑んでいた。そんな量で昏睡状態になるなどおかしな話だと言われ、結局原因は不明のまま片付いた。仕事もクビになり、職を失った。
彼女の住んでいたアパートは引き払い、街を転々としていた。夜はホテル代を浮かせる為ネカフェに泊まる。そんな日々が続いた。スマホの連絡先にもメッセージアプリにも、誰の連絡先も書かれてなかった。
そんな生活を続けていたお陰で自分はもう死にたいと彼女は何度も思った。
ある日の夜、ネカフェでコーヒーをすすりながらパソコンを弄っている時、急に目が眩む。
「なんだろう…この感じ…。前にもこんな事が……。」
彼女は、目の前がグラグラと歪む。ゆっくり布団に体を落とし、眼を瞑った。
ユサユサ
体が前後に揺さぶられる。身体が重い…。
重い瞼をゆっくり目を覚ます。
「……誰?」
眼鏡をかけた少年が目の前に立っていた。
「お姉さん、大丈夫?」
体をゆっくり起こし、辺りを見渡す。
「ここは?貴方は誰?」
すると男の子は首を横に振る。
「ここはどこかは分からない。僕の名前は有栖川翔太」
聞き覚えがあるような無いような声。この光景…どこか覚えがある…。殺風景な部屋と5つのベッド。ベッドの上のネームプレート。
川橋 心
井上 健太郎
琴葉
なんだろう…名前は違うけれどここには何かが書いていた…。かな……かな……なんだったかな?分からない。何か大切な…忘れては行けない気が……。
だけど何も思い出せない…。思い出そうにも頭が痛くて何も思い出せない。
『あ〜あっあ〜!聞こえるかな?』
聞き覚えのある男の子の声……。
『君達は今日、死んでしまったって事は分かるよね?』
スピーカーから聞こえる男の子がそう訪ねると1人の女性が聞く。
「ここどこ?早く戻らないと店始まっちゃうんだけど?琴葉暇じゃないんだけど?」
その女性の名前が琴葉…高そうなハイブランドの靴とこの季節には寒そうな、露出度の多いワンピースを体にまとい、ゴテゴテのメイクにギラギラしたネイル。
『ここはどこでもない。この世とあの世の境目。君達は今から生死をかけたゲームをするんだ。僕はARIA!よろしくね』
ARIA…聞いた事のある名前。でも全く覚えがない名前。
そう思っていたらこんな言葉が口からポツリと零れた…。
「人狼ゲーム……。ロシアンルーレット…。」
「へ?」
翔太はこちらを向き、キョトンとする。
すると柄の悪そうな男が私を睨む。眉間には常にシワが寄っていたのか、眉間に跡が出来ていた。
「てめぇ、人狼ゲームだのロシアンルーレットだの。どういう事だ?」
私に近付き、胸ぐらを掴む。
「知らない。」
私は咄嗟に言う。
「はぁ〜?知らない事ないでしょ?ちょっと、アリア…だっけ?人狼ゲームとかロシアンルーレットってどゆこと?」
そう琴葉が聞く。
『前のゲームでやった事だった気がするねぇ〜。でも今回は両方とも違うんだよね。』
そう聞いた男は、私に再度睨みを聞かせ私の頬を1発殴りつけた。
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