私は床に倒れ込んだ。唇が切れたのか血が口の中で滲む。頬に手を当てる。痛い…痛いよ…殴られたのか?私が倒れた床には血が数滴飛び散った。
「てめぇもあいつらの仲間か。こっから出さねぇと殺すぞ」
そう男が言うとARIAがこう答えた。
『その子に記憶は無いけど、このゲームに前にも参加していたんだ。』
そう言った途端、周りの空気が濁る。
「ま、前のゲーム…最後はどうなったのです?」
髪の長い綺麗な女性が聞いてくる。
「お、覚えてないんだって…。本当に。」
そう言うと男が私に拳を振り下ろした。
『そろそろ始めていいかな?その子が今死んだら、君達が生き返るチャンス逃しちゃうよ?』
「!!」
男は拳を収め、唾を吐いた。
『今からするのはメッセージルーレット』
そう言うと、天井から大きなモニターが降りたと思ったら画面が明るくなり、映像が流れる。
でもなんだろう…こんな光景…前に何度か拝んだ気がする。でもいつだったのか全く覚えておらず、何かが思い出してはいけないと言っているような気がしていた。
『ルールは簡単、ベッドの上に置かれた各々のスマホにあるメッセージアプリを入れました。』
みんなが一斉に、スマホを開いた。
「え…なにこれ……ここ圏外なの?」
琴葉はスマホの画面をポチポチ触りながら呟いた。
(このアプリ……前にも…)
私は開くとあるアカウントが目に飛び込んでくる。
(天使<公式>)
「ふざけてんのかお前。」
男がスピーカーを睨み付ける。
『そのスマホに夜お題、もしくは質問が流れてくるからそれに答えればいいだけ。』
「簡単じゃない、てか夜って…お店に間に合わないじゃない。」
そう言うとARIAの声のトーンが下がった。
『たかが酒を飲んで臭いおじさん相手するキャバ嬢如きが文句言ってんじゃねーよ糞ビッチ』
「はぁ?!」
(え?)
覚えていない筈なのに…何故か本能的に分かった。
この子誰?ARIAがこんな事言う筈無い。いつかは分からないけど、この子がこんな事は1度も言ったことが無かった。でも何故こんな事…?知らないのに。こんなこと知らないのに。
『たまに命令が来るんだけど、命令に従えなかったら死ぬだけだから。因みに他人のスマホのお題を見る事も良いよ』
そう言い終わると、モニターに注意事項らしき言葉が表記された。
<注意事項>
(1)夜は特別命令以外出入り禁止
(2)お題、質問には必ず答えること。
(3)お題、質問、命令には夜0時までに答える、もしくは従うこと。
(4)お題、質問に答えられなければ罰を、命令に従えなければ処刑。
(5)殺人の場合は、犯人を突き止めARIAに証明すること。
似たような事を見た事あったような気がする。
『読み終わり次第、各自の部屋に入り夜が明けるまで待機するように!以上。』
放送が終わると、男は舌打ちした。
「んなくだらねぇ事やってられねぇ。俺は寝かせて貰うぜ。」
強く扉を閉める男を横目で見送ると琴葉も部屋に入っていく。琴葉はブツブツ愚痴を吐きながら扉を閉めた。
「お姉さん、ひとつ聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
私の服の裾を引っ張り話しかける。
「なに?」
「お姉さん、このゲームに参加した事あるって言ってたよね?」
すると先程の女性が近付いてくる。
「さっきの記憶がないってどういう事何ですの?」
お嬢様のような女性だろうか?高級そうなベージュのワンピースにハイブランドのヒール、とても気品がなっている女性。名前は心だった気がする。
「前にここに来たような気がしていたんだけど、殆ど思い出せないの。」
「このゲームを行った人はみんなどうなったか覚えてる?」
「分からない…ごめんね……。」
ごめんなさい……?なんだろう聞いたことある。誰でも聞いた事が有るのは当たり前なのだけど、とても見ていて悲しい思いをしていた気がしてる。処刑という単語にも引っかかる…。処刑の前に…大切な子に何か頼まれていたような…。
『*私の事は忘れてね。そして、私の分まで幸せになって*』
涙で視界が滲むほど泣いていた記憶がある。
私は疑問に思いながら、みんなと部屋に戻った。
3話に続く
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