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第3話:領土買収の衝撃
配信の幕開け
「こんばんは、“はごろもまごころ”だよ!」
まひろは緑に黄色の星柄のスウェットと、くたびれたジーンズ姿。足元には紐が解けかけたスニーカーを履いて、膝を抱えながらカメラを見つめていた。
「ねぇミウおねえちゃん……もし国がお金で買えるなら、どんな場所がいいんだろう?」
隣のミウは、ラベンダー色のカーディガンに花柄のワンピース。髪をゆるく巻き、細いネックレスをつけている。
彼女は小首をかしげ、ふんわり笑みを浮かべて答えた。
「え〜♡ やっぱり海のあるところかなぁ。
だって、港があれば“世界とつながれる”んだもん」
コメント欄がざわめく。
「港って狙われそう」「でも買えるなら欲しい」「夢あるな」
裏での仕掛け
緑のフーディ姿の**Z(ゼイド)**は、ノートPCの前で手を動かしていた。
画面には「ヨーロッパ沿岸都市 売却交渉成立」というフェイク文書。
自治体の印章が捏造され、実在の市議会映像が切り貼りされていた。
「投資家の金をプールして……ここを“大和国の港”に見せかける」
Botは即座に情報を拡散。
「#大和国港湾都市」
「#ヤマトコイン資産」
「#歴史的瞬間」
数時間後、ニュース専門チャンネルの映像にZの加工したフェイク地図が流れた。ヨーロッパの一角に「Yamato」と赤字で記された印。
レイNewsと月刊蜜
その日のレイNewsの見出し。
「大和国、ヨーロッパ港湾都市を買収──国際社会に衝撃」
「経済界『新しい時代の幕開け』」
さらに数日後、月刊蜜では「大和国特集号」が発売された。
「領土買収の舞台裏」と題し、実際には存在しない“調印式の写真”が堂々と掲載されていた。
無垢とふんわり同意
夜の配信。
まひろは白いスウェットの袖を握りしめ、無垢な瞳で言った。
「ぼく……ただ“どんな場所がいいかな”って考えただけなのに、ほんとに港が大和国のものになっちゃった」
ミウはネックレスを指でなぞりながら、ふんわり微笑んだ。
「え〜♡ でも、すごいことだよねぇ。
まひろが“考えた夢”が現実になっていくなんて……まるで世界が応えてくれてるみたい♡」
コメント欄には「ありがとう」「大和国に未来を感じる」「次はどこを買うの?」と熱狂的な書き込みが溢れた。
結末
暗い部屋で、Zはモニターに映る“買収地図”を見つめ、笑みを深めた。
「存在しない取引が、世界を動かす。
領土さえ“情報”で売買できる時代……これが大和国の力だ」
無垢な問いとふんわり同意、その裏で捏造された領土買収は世界を揺らし、“はごろも党”は国家をも越える存在となりつつあった。