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「そこの可愛いお嬢さん!」???「ん?アタシのこと?」


ここは、あの世にある商店街。ここでは今、福引きをやっており、それに「桃時」は誘われた。


「一回引いていかない?最近商店街でポイント集めてるでしょ?それと引き換えでさ?ね?今は一等が天国の温泉街にある高級宿一泊権、五人分だよ!」


桃時「えぇ、嫌なんだけど……ていうか何でアタシがポイント集めてること知ってんのよ?」

桃時「(正直、こんな運試しにお金かけたくたいけど……当たるわけないし……)


「そりゃあ、君……そんな目立つ服装だもの。誰でも印象に残るよ〜」

桃時「そりゃあ失礼しました。でも……」

「さぁさぁこんな可愛いお嬢さんがこんな寂れた商店街に来てくれたんだ!!みんな見てらっしゃい!!」

桃時「え?」


桃時の格好はゴスロリというとても目立つ服のため、商店街の雰囲気とは合わない。それに目をつけられたのか、人を引き寄せ、桃時が断りにくい状況を作られてしまった。


桃時「(こ、こいつ……中々やるわね。アタシをはめるなんて……後で覚えておきなさいよ……!)」


桃時「……仕方ないわね。ほらポイントカード。」

「ありゃあとございしゃす!」

桃時「はぁ……くだらない……」


桃時は、無造作にくじを引く。

すると……


「お、」


「「大当たり!!!!一等獲得です!!!!」」


桃時「え、」


「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?」」


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「ま、まさか本当に当たるなんて……ただの金ヅルと思ってたが、千分の一の確率で引き当t」

桃時「ちょっとあんた」

「え?……うわっ!な、なぜ殴ろうとしてるんですか?!」


桃時は、福引きのスタッフの胸ぐらを掴み、右ストレートをかまそうとしている。


桃時「申し訳ないけど、最近用心深くなったのよ。あんた海音の母親の仲間?」


説明しよう。この人はただのスタッフである。


桃時「それとも「堕天」の一派?」


繰り返し言おう。この人はただのスタッフである。


桃時「それか死神組に潜るためにアタシに近づいた裏切り者?」


何度でも言おう。この人はただのスタッフである。


「な、何のこと?」

桃時「とりあえず、雨花の元に連れてくわよ。」

「あ、雨花って誰?」

桃時「さぁグズグズしない!」

「そ、そんな……!?ただの福引きのスタッフですよ!!」


こうして、桃時は、そのスタッフを無理やり雨花の元に連れて行った。


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???「桃時ちゃんと……あと誰かな……知らない人が来る。それから……」

???「え?そうなんですか?ていうかまだ高度な神通力も使っちゃダメですよ?怪我が悪化します。」

???「はいはい〜ごめんなさい〜」


ここは、橙の家。「紫雲雨花」は早速、桃時が来る気配を感じ取った。雨花を注意したのは「不山橙」。


どんどんどんどん


橙「今開けまーす!」


橙が扉を開けると……


桃時「はぁはぁ……こいつずっと逃げようとするから疲れた……」

「だから俺はただのスタッフなんだって!」

橙「でも桃時さんだけの力でこの方運んだんですか?」

桃時「あぁ、それは……」

???「オレだよ!オレ!」

橙「あなたは……」


「「瑠璃人さん!」」


桃時「死神組からこいつ借りてきた。丁度暇そうにしてたし」

橙「瑠璃人さん。あなたちゃんと仕事して下さい!」

瑠璃人「すみません〜てへっ!」

橙「あなた全く反省してませんね?こうなったら……」


「「ボディーブロー!!!!」」


瑠璃人「グハッ!」


桃時「橙。冷静じゃないわね。ついでにこいつもよろしく〜」

「え、え!?」


橙「マシンガンパンチ!!!!」

「あぁぁぁぁぁ!?!?」


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橙「ふぅ……スッキリ!」

瑠璃人「俺の顔痣だらけになっちまった」

「どうして俺……まで……」

桃時「ついでに怪しいヤツもボコボコにしたわね。」

橙「あの……私冷静さを忘れて関係ない方までボコボコにしてしまったんですが……」

桃時「こいつ怪しいのよ。」

雨花「失礼。ちょっと心読ませて貰って良い?君が無実ならそれを証明できる。どうかな?」

「わ、分かりました。」


雨花は心を読む。


雨花「神通力・【以心伝心】」

「…………」

桃時「どう?」


雨花は、橙と桃時の方をみると……


雨花「この人の心読んだけど、本当に嘘ついてないよ〜」

桃時「えっ!じゃあこいつもしかして……本当にただのスタッフ?」

「何度も説明しましたよね!?俺は普通の一般人です!!」

桃時「えぇぇ……ごめんなさい」

橙「私もすみません……」

「まぁ疑いが晴れたなら良かったです。」

雨花「桃時ちゃんは一度疑っちゃうと中々信用してくれないんだ。それほどわたしたちのことを考えてくれてるってことなの。でも、関係ないあなたを巻き込んでしまってごめんね。ちゃんと怪我なら治すから。……ほら。元通り。」


スタッフの怪我がみるみるうちに治っていく。


「わぁ!ありがとうございます!色々事情があったんですね。例え怪我が治らなくてもちゃんと許すつもりでしたよ。俺も汚い手を使って桃時さんに無理やり引かせたバチが当たったんだと想います。桃時さん。すみません。」

桃時「もういいわよ。これでおあいこね。」

「そうですね。ははっ」

橙「引かせたって何の話です?」

雨花「福引きで当たったんでしょ?さっき心を読んだ時、知ったんだけど。」

瑠璃人「何が当たったんだ?」

「じゃあ改めまして!」


スタッフは、雨花たち四人に向き直った。


「あなたたちは、一等の天国の温泉街の高級宿一泊権、五人分を見事引き当てました!!おめでとうございます!!」


橙・瑠璃人「え、」


「「えぇぇぇぇぇ!?!?」」


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橙「一等なんてそう当たるものじゃないですよ!!」

瑠璃人「お前すごいやつだったんだな!知らなかった!」

桃時「うふふっ、ありがとう。橙。……それから、ねぇ瑠璃人。それどういう意味?」

雨花「まぁまぁ。一等なんて中々手に入れられないよ!豪運だね!」

「しかも千分の一の確率なんですよ。当たりは一個しかないんです。それを引き当てるなんて……すごいですね。」

桃時「当たりを一個しか入れないのもどうなの……?」

「うちの商店街金ないんで!」

橙「兎白さんも呼んで、行きませんか?五人で!」

桃時「そうね!行きましょう!」

雨花「……まぁいいか。」


この空気を壊すことは

さすがにできないな


「じゃあ俺はこれで!」

桃時「あっちょっと待って。」

「?」


桃時は振り返る。


桃時「……色々ありがとう」

「!、いえ!ではさようなら!」


こうして、スタッフは帰っていき、橙、桃時、瑠璃人は浮き足立っていた。「兎白さんに伝えないといけませんね」「あいつどんな反応するのかしら」「楽しみだな〜ぜってぇ喜ぶぜ!」などと言いながら。それらの言葉を背にして、独り、「できることなら……」と何かを願う者がいたとか。


                                             【続く】

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