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日帝 side
こうして起きるのは何度目だろう。
ここは…俺たちの家?
色々新しくなってたり、柱が少し古くなっていたりしているが…
うん、間違いなくここは俺たちが住んでいた家だ。
海と空は…上の方で物音がするから、おそらく2階にある自分の部屋に行ったんだろうな。
…俺も後で行ってみるか。
「そういえば、ポッピングシャワーあの時全部食べ切れてないんですよねー」
「確かに、じゃあ今度みんなで食べに行く?」
「…我が日本の分奢るアル。」
「えっ、いいんですか?」
「お兄ちゃんだけずるい!私もいいですよね、中国さん?」
「なんでにゃぽんの分まで奢らないといけないアル、嫌アル。」
「しょうがない、にゃぽんの分は僕が奢るよ」
「台湾さん…!」
外から声がする、帰ってきたのか。
あの二人はまだ降りてくる気配はないし…
一回家の探索を中断して、玄関に向かう。
日本達に会える、そう思って自然と早歩きになる。
玄関の戸の先に、記憶よりだいぶ大きくなっている2つの影。
本当なら戸を開けて今すぐ会いたいが、なんとか抑えて待つ。
時間がとても長く感じる。
どんな反応をするんだろう、にゃぽんは一度しか会っていない俺らのことを覚えているのだろうか。
「今日はありがとうございました」
「またね~!」
「…さて、今日の夜ご飯何がいい?」
「そば!今日の昼友達が横でそば食べてるの見てたら食べたくなっちゃって」
「いいね、まだまだ寒いし温かいそばにしようか。」
軽い音を立てて戸が開く。
入ってきた夕日が足元を照らす。
『お帰り。』
目の前の二人は、固まったかのように動かない。
目を大きく開き、ただゆっくり瞬きをしている。
『そばを作るんだろう?早くしないと、食べる時間が遅くなるぞ。』
なんでもない風に装って、俺は台所に向かおうと体の向きを変える。
海と空も呼ばないとな、そばだけだとあれだから…天ぷらも作るか。
エビとかあるかな…かしわ天も作りたいし、なかったらかき揚げにするか。
色々考えながら歩きだしたとき、背中に強めの衝撃が走る。
そのまま腹に手を回され、動けなくなった。
『…どうした、小さい頃より甘えん坊になったんじゃないか?』
「……」
『ほら、一回離れて』
「やだ」
『…帰るのが遅くなって、ごめんな。』
「…ぅ、うわあああああ゛」
「何々どうしたの?」
「…兄さん何日本泣かしてるの?」
『いや俺が悪いのかこれ?』
あれからなんと海と空も泣き始め(空より海の方が泣いてた)
なんとか場をおさめた頃にはもう外が暗くなっていた。
それからみんなでそばをゆで、天ぷらを揚げ…
家族全員で夜ご飯を食べることになった。
日本は、俺たちがいない間に起こったことを色々話してくれた。
たまににゃぽんも付け足すように説明したりしてくれて、ある程度理解はできたと思う。
『なるほどな。随分頑張ったんだな』
「海の過保護卒業だね」
「誰が過保護だ、俺は必要最低限の__」
「…なるほど、双子の兄弟愛と」「こらにゃぽん」
『そういえばにゃぽんは、俺たちのこと覚えていたか?
確か会ったのは一度だけだっただろう』
「まあ、お兄ちゃんがよく話していたので、なんとなく覚えていましたよ。
事あるごとに陸兄海兄空兄って…」
「ちょ、にゃぽん言わないでよ~、恥ずかしいって…」
いつぶりだろう、こんなに賑やかな食卓は。
これからはきっと、これが当たり前になるんだろうな。
もう死ぬのはごめんだ。
今度こそ生きて、この日常を守ってみせる。
俺はそう心の中で誓った。