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ジリリリリッ
けたたましい機械音が鳴り響く。
すまない先生はいつものくせで目覚まし時計を破壊してしまう。
「うわっ!?しまった・・・また買い直さないと・・・あれ・・・?」
すまない先生は辺りを見渡した。
優しい日差し、柔らかい木々の音。そして、漂ってくる食欲を刺激する匂い。
どれもこれも“知らない部屋”だ。
・・・“匂い”?
すまない先生は警戒した。
何故なら、すまない先生は両親が居なくなってからずっと、“一人暮らし”だ。
なのに、
“何故いい匂いが漂ってくるのだ?”
すまない先生は近くにあった木刀を掴んで、下へ降りていく。
✵✵✵✵✵
トン、トン、トン。
包丁でまな板を叩く音が小気味よく部屋に響く。
食欲を唆る味噌の匂いが辺りに漂う。
くぅとなる腹に、知らない所に知らない人がいる恐怖に、すまない先生は無意識に持っていた木刀を強く握りしめていた。
すると、
「すまない?どうした?」
突然声をかけられ、すまない先生は振り返りざまに木刀を振り下ろした。
だが、木刀はあっけなく掴まれた。
すまない先生は頭の中で次の作戦を考えようとした。だが、
「・・・え・・・」
か細い声が、零れた。自分から、こんな声が零れるとは思わないほど。
「どうしたんだ、すまない。まだ朝早くに素振りでもする気か?熱心だな」
そう木刀を受け止めた“男性”は顔をほころばせていた。
「・・・え・・・なんっ・・・え・・・?」
すまない先生は、木刀から手を離す。
カランと音を立て、床へと落ちる。すると、その音に気づき、キッチンに立っていた“女性”が振り返った。
「あら、もう起きたの?すまない。早いわね」
その声は、聞き覚えがあった。いや、女性だけじゃない、男性の方も聞き覚えがあった。
忘れられない、最期の言葉。
もう聞くことは出来ないと思っていた声。
「──父さん、母さん・・・?」
目の前には、“死んだはずの両親”が立っていた。
すまない先生は息を飲んだ。言葉が上手く出てこない。
こんなのは、都合のいい夢だ。
「あら、おかえりなさい。」
「ただいま。」
目の前の2人はいつものように会話していた。それだけで、目頭が熱くなり、胸が込み上げてきた。
「ほら、顔を洗ってきなさい。すまない」
そう笑いかける、母の優しい笑顔。
思わず、すまない先生は、その笑顔で我慢していた糸がプツンと切れた。
視界が滲み、喉から情けない声がこぼれた。
目の前の2人は驚いたように目を丸くした。
それはそうだ。
突然目の前の息子が“大号泣”したら、誰だって驚く。
それでも、すまない先生は、涙が止まらなかった。
そんなすまない先生に、2人は優しく頭を撫で、抱きしめて、微笑み返した。
すまない先生は、恐る恐る2人の背に腕を回し、涙を流した。