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しばらくして、呼吸が落ち着いた。
目の前の両親は不思議そうに、でも、心配そうにこちらを伺っていた。
──生きてる
それだけで、すまない先生はまた泣きそうになった。
「どうしたんだ?すまない。怖い夢でも見たのか?」
「どうしたの?もしかして、英雄になって緊張の糸が切れたのかしら?」
そう両親は不思議そうにこぼした。
すまない先生は何とか誤魔化しつつ、朝食を一緒に食べた。
久しぶりに家族との朝食。
涙がこぼれるのを必死に抑え、家族団欒を過ごした。
✵✵✵✵✵
朝食を食べたあと、すまない先生は、自分の部屋へと戻った。
(・・・にしても、なんで・・・父さんと母さんが生きてるんだ・・・?だって、あの二人は・・・)
すまない先生の脳裏に写った両親は、自分に背を向け、目の前の巨大な敵と敵対した。そして、
『──すまない、我が息子よ』
『──強く、生きるのよ』
そうこぼし、立ち向かった。
そして、帰らぬ人となった。
あの時の止められなかった、悲しかった、苦しかった記憶は、今でも胸に残る。
それなのに、先程の2人は、穏やかに笑っていた。久しぶりに両親の笑顔を見た気がする。
すまない先生は辺りを見渡した。
ベッド、机、クローゼット・・・どの部屋にもあるような物ばかり。
すまない先生は、一度も開けていなかった窓に目線を向けた。
そして、窓を開いた。
羽ばたいていく鳥を眺め、すまない先生は目の前を向いた。
「・・・ここは・・・!」
そこは、英雄の試練を共に受ける親友と出会い、敵対している一族・蛇一族の少女と出会った・・・
“瑞穂の国”だ。
✵✵✵✵✵
すまない先生は、ラフな格好に着替え、瑞穂の国を歩いた。
街は自分が覚えている風景とさほど変わらない。
──よく爆発させていた出店や出店のおっちゃん。
──金色に輝く稲穂畑。
──街の中心に大きな中華風の建物。
どこか懐かしくて、同時に胸の奥が痛くて・・・
すまない先生が歩いていると、ふと、出店のおっちゃんが声をかけてきた。
「お、英雄様じゃねぇか!」
「あ!えっと・・・」
すまない先生は咄嗟に言葉が出なかった。
目の前のおっちゃんは、よく、英雄の試練を受ける前、イタズラばっかして、怒らしていた。
すまない先生は、若気の至りに苦笑していた。
(・・・いや、たまに今も校舎や校庭爆破してるから、さほど変わらないな???)
と考えに耽っていると、おっちゃんが肉串を手渡してきた。
「そうだ。これ焼きあがったばっかだが、食うか?」
「あ、あぁ!貰う!貰う!」
すまない先生は慌てて肉串を受け取り、エメラルドを手渡した。
すまない先生は、肉串を頬張る。
「うまっ!」
もくもく顔をほころばせ、食べていると、
「相変わらず、美味しそうに食うな?すまない」
ふと、声が聞こえ、振り返る。
そこには、1人の青年が立っていた。
真っ白な髪に、水色の瞳を隠すような長い前髪、口元を覆うスカーフ。そして、後ろには弓が覗いていた。
思わずすまない先生は肉を食べ終えた串をポロリと落としてしまった。
「・・・ライ・・・ト・・・?」
「なんだ?その幽霊でも見たかのような顔は」
ライトは不思議そうに首を傾げていた。
幽霊も見たような顔・・・それはそうだ。
だって、ライトは・・・
(・・・蛇一族との戦争で、“死んだ”はずだ・・・)