「お姉さん、結局見つからなかったの?」
「今もまだ行方不明、1番心配していたのは母親でしたよ。」
「それは当たり前なんじゃない?」
「…え?」
「え?」
ピーンポンパーンポーーォォォォォォ
「?!」
奇妙なチャイムに驚き身体を震わせる。
『みなさササアア…ザザザ。つ…ザザザらないでし…ザッザッ』
妙に乱れた放送に戸惑う私達。
嫌な汗が吹き出、背中に冷たい物が伝う。
『……ザザ…早く帰りタタいでしょォォォ?だっタら早ク…集まッッッ……ザザァ…下さササササササササ…。』
「気持ち悪いですね…」
『帰リタえば、犯人コロセ!…ザ帰りタエエえば、犯人コココォォォロォォォセェェェ!!』
声の後ろでは楽しげな曲が今まで流れていたがドンドン音がズレていき、乱れ始める。
曲とともにラジオらしき物からだろうか?機械から子供達の華奢な笑い声が聞こえて来る。
だが、どんな声も気が狂ったかのような笑い方をする。
(なんだろう…前に体験した……時とは全然違う気がする…。初めて聞いた。)
取り敢えず、広間に私達は向かった。
広間には既に川島さんが椅子に座っていた。
冷や汗をかいており、眉間に皺を寄せている。
私と翔太くんも川島さんと同じように席に着く。
生唾を呑み込む翔太くんの音が聞こえる。
それ程緊迫したこの空気は静けさを保ち、私達をピリ付かせていた。
『それでは…1人ずつ証言……お願いシシマス。』
そう聞き私が席を立とうとすると、川島さんが力強く立ち上がる。
「私から証言させて貰います。」
先程よりは落ち着いてはいるが、息は荒い。
川島さんは翔太くんに指を指す。
「この子が犯人なのではないでしょうか!」
「はい?!」
「…。」
翔太くんは目を見開き焦る。
立ち上がり反論する。
「なんで僕が人なんか殺さなければならないんですか!」
「一番意外な人間が犯人なのはミステリーの付き物!だから貴方が2人を殺したんです。」
「それはどうでしょうか。」
私は口を開くと、2人が私に視線を合わせた。
「確かに翔太くんも殺すことは出来るかもしれませんが、それは琴葉さんにだけしか言えません。」
「は?」
川島さんは目を見開き机を叩く。
「大の大人である井上さんを殺す事は出来るでしょうか?」
私は川島さんを観る。
「手足を縛り付ける事はいくら子供の力でも無理です。」
私は立ち上がり、二人の前に出る。
「どんなにきつく縛る事が出来ても子供が石のようにきつく縛る事が出来るでしょうか?」
「体重を掛ければ誰だって…。」
「そう、犯人は体重を掛けて縛り上げたんです。勿論体重を掛けるとしても、10歳の痩せた体型の子供の力ではどうする事も出来ません。のでこの子は犯人ではありません。」
そう言い終わると川島さんが叫ぶ。
「まだ話は終わってません。」
そう言うと川島さんが座る。
「そこでこれを見て下さい。」
私は川島さんのスマホをポケットから取り出し、2人に見せる。
「わ…私のスマホがなんでそこに…?」
「先程落としていましたよ。」
また私は話し出した。
「すみませんね、スマホのトーク内容を拝見してしまい。」
私は彼女のスマホのトーク画面を開きモニターのコードにスマホを繋ぐ。
モニターにはスマホと同じ画面が映し出される。
「これはARIAからのトークですよね?このトークを見るに、ARIAは川島さんに井上さんを殺す様に言われています。ここで私は犯人から除外され、川島さんが犯人だということが分かります。」
川島さんは頭を掻きむしり青ざめる。
「ぁぁ……もう…なんで?……なんで?」
とボソボソと呟く。
「じゃあ琴葉さんを殺したのは誰なのよ。」
私を見直し、そう呟く。
「私は殺してませんよ!」
「分かっています、分かっていますよ。だって」
私は呼吸を整える。
「私が殺したんだから」
18話に続く
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