テラーノベル
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※本編は狭山とあかりちゃんのことやってますが、まあ和泉と千歳にこんな時間もありましたということにしてください
俺はこたつで仕事し、千歳(女子中学生のすがた)は台所でお菓子作りに勤しんでいる。星野さんと緑さんに友チョコをあげるらしい。
『令和はさあ、好きな男相手じゃなくてもただの仲良しにもチョコあげられるからいいなあ』
そう言いながら、千歳は皿になにか乗せてこたつまで持ってきた。
「それ、星野さんと緑さんにあげるの?」
白い皿の上には、小さくてかわいいココアクッキーと丸いトリュフチョコが2つずつ乗っている。おいしそうだけど、プレゼントにしては量が足りないような。
『これは味見用だ。お前も味見していいぞ』
千歳は俺のパソコンの近くに皿を置き、さっそくトリュフチョコを口に放り込んだ。
『うん、うまい! これなら人にあげられる!』
「じゃ、俺ももらうね」
とりあえず、ココアクッキーをかじった。うん、サクサクで、ココアの香りが濃くて、おいしい!
「おいしいよ、これなら星野さんも緑さんも喜ぶよ」
『トリュフチョコも味見しろ、感想言え』
「じゃあ、いただきます」
俺はトリュフチョコも口に放り込んだ。柔らかいチョコが口の中で解けて、ほどよい甘さとほろ苦さが口の中に広がる。
「こっちもすごくおいしい、紅茶にもコーヒーにも合いそう」
『よっしゃ』
千歳はガッツポーズした。
『じゃー、これでラッピングしよっと!』
千歳は自分の物入れの棚に行き、ガサゴソして包装紙や紙の箱を取り出した。
『友チョコっていいな、楽しくて。好きな男にあげるチョコなんて廃れちゃうんじゃないか?』
そう言われて、俺はちょっと前に見たニュースを思い出した。最近はバレンタインチョコ一律廃止の職場もあるそうだ。まあ、用意する方はめんどくさいよな、義理チョコなんて。
「うーん、まあ、義理チョコは廃れてるかな」
そう言うと、千歳は首を傾げた。
『本命チョコは残ってるのか?』
「義理チョコよりは残るんじゃない? まあ、俺本命なんてもらったことないけど」
大体、バレンタインチョコ自体、もらった回数は数えるほどだ。おばあちゃんにもらったの以外は、小学生の時に女子が義理で配り歩いてたのもらったくらいじゃないか? おっくんのついでにもらった感じだったな……。
『お前、バレンタインチョコもらったことあるのか?』
千歳が聞いてきた。
「義理チョコを、小学生の時になら」
『しょぼい……』
千歳は幻滅した顔になった。
『大人になってからは? もらったことないのか?』
「ないねえ、縁がなかった。仲のいい女の子がいるわけでもなかったし、会社員の時は女の人いない部署だったし」
俺は頭をかきながら答えた。いろいろあって、中学からは自分から人と仲良くなろうとしなかったし。自分から働きかけてたら、義理チョコくらいはもらえてたかもしれないけど。
そう言えば、さっきのチョコは千歳からもらったのに数えちゃダメかな。まあ、義理だけどさ。
「さっき味見させてくれたチョコ、もらったことあるのに数えちゃダメ?」
『女にもらったチョコだけカウントしろ、バカ』
「今千歳女の子の格好だから、その辺でなんとか」
『じゃあ、0.5カウントにしとけ』
千歳の性別って、0.5カウントでいいの?
千歳は包装紙や紙箱を台所に持っていき、それからまた何か持ってこっちに戻ってきた。
『あのな、味見以外にもあるんだからな?』
さっきとは別の皿に、ココアをまぶした生チョコレートが並んでいた。
『今日のお前のおやつ。お前用に油控えめだ』
俺は驚いた。
「え、え、わざわざ作ってくれたの!?」
『いつも作ってるだろうが』
「いや、そうだけど!」
いつも手作りおやつだけど!
『牛乳と蜂蜜でココア練って作ったから、油は控えめだけど甘くてうまいぞ。味見もちゃんとしたからな!』
千歳は笑った。
「え、ありがとう、いきなり食べちゃうのもったいないな、写真撮っていい?」
『対した盛り付けじゃないぞ?』
「飲み物も用意してくる、味わって食べる!」
俺はこたつから立ち上がった。
『まあ、好きにしろ』
「千歳もなにか飲む?」
『甘くないカフェオレ!』
「謹んで用意させていただきます」
わー、バレンタインチョコもらえるってこんなに嬉しいのか……。これは、ホワイトデーには、千歳にちゃんとしたものお返ししなきゃなあ。
コメント
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わあ、心がぽかぽかする話でした……! 千歳があかりちゃんたちへの友チョコを楽しそうに作ってる横で、和泉くんには「油控えめ」の生チョコを別に用意してくれてるのが、もう最高に優しい。「0.5カウント」のやり取りも笑えて、最後の「ちゃんとしたものお返ししなきゃ」でニヤニヤが止まらなかったです。二人の関係性がぎゅっと詰まった素敵な閑話でした🤍
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