ある時、青年は死んだ。しかし彼は別の世界で生きていることに気がついた。そして別の世界とはいえ生きるためにその世界の知識を吸収し始めたのだ。 「ゲームみたいだな」という感想を抱くもののその世界に生きるものとして順応するために必死だったせいか違和感や異物感を感じることは少なかった。 だがそれも長く続くものではない。 やがて違和感が大きくなり始める……それはモンスターたちの生態系だ。 動物なのに人を襲い、植物でもないのに人の言葉を理解している個体が現れたり……様々な異常事態が彼を蝕んでいく。 そうして、彼はこの世界に違和感を感じるようになるが――まだその正体には気が付かれていない。 だが……この異常な状態に気がついていたものたちがいて、彼らはそれを世間に伝えるために動く。 とある国の国王はこう言った。『モンスターの知能化』これは一つの生物を操れる技術を確立したことによって起こったことである。 しかし、モンスターたちは知能を獲得してからというもの人類を襲うようになったため人間の間ではその技術を禁忌としたのである。 その技術を手にしてしまったものは消さなくてはならない。そのために生まれた組織があった――それが『クトゥルフ神話研究会』である。 彼らは日々研究を進めることでモンスターの行動パターンを理解し、それに対抗できる人材を育てようとしていたのだが……どうやらモンスターたちはその技術に目を付けたようだ。 そして、クトゥルフ信仰会はとある存在へと辿り着いてしまう。 その存在こそが彼の目的であった。 彼はモンスターたちからその力を奪い取り自らのものにしようとしていたのだ。 しかし――それは失敗してしまう