あの人は、消えない
そう思っていたけれど
最近様子がおかしいのだ。
俺が誰か分からないと言うし、仕事も面倒だと言う
性格も変わった。
前まで意地悪ばかりしてきたくせに
最近だとおかしなくらい優しい。
つい、この前のこと。
「…私、もうここが何処だかわからないや」
そう同僚に口を零した
「これがリアルだか夢だか私の妄想なのか…」
「…どれが”私”なのか、わからない」
しばらくして、彼女は死んだ。
溶けて、いなくなってしまった
誰が彼女の代わりを務めるのだろうか
代わりなんていない。彼女は彼女だ。
彼女のいない世界は
美しかった。
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