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第6話「藤襲山の死闘」
藤の花が狂い咲く、不気味な山――藤襲山。
最終選別の合格条件は、鬼たちが閉じ込められたこの山の中で、七日間生き抜くこと。
(一刻も早く、ここを終わらせる……!)
12歳になった俺は、支給された普通の刀を握り締め、夜の帳が下りた森を疾走していた。髪の後ろでは、あの日からずっと色褪せない蜜流のリボンが、チリンと小さく揺れている。
そんな俺の前に、何人もの人間を喰らい、巨大な肉塊のようになった異形の鬼が姿を現した。
「ひゃははは! 見つけたぞ、美味そうなガキだぁ!!」
その巨体からは想像もつかない速度で、丸太のような腕が俺に向かって振り下ろされる。だが、現役の柱である緋蜜さんの地獄の修行を生き抜いた俺にとって、その動きは止まっているも同然だった。
「遅ぇよ」
フッ、と重力を無視したようなアクロバティックな跳躍で、俺は鬼の腕を軽々と躱す。
――肆ノ型:恋慕の溺泉(れんぼのできせん)!!
上空から甘い泉に溺れさせるように、鬼の巨体を包み込みながら高速で斬り下ろした。
ドバシャァッ!!と激しい音を立てて、鬼の両腕が綺麗に切断される。
「ぎゃあああああ!? なんだこのガキ、ふざけるなァ!!」
狂乱した鬼が、残された巨体で俺を押し潰そうと突進してくる。
俺は一歩も引かず、刀を真っ直ぐに構えた。恋の呼吸の「しなり」と水の「速度」を極限まで一点に集中させる。
――漆ノ型:女王の毒針(じょおうのどくばり)!!
目にも留まらぬ速さで放たれた必殺の刺突が、鬼の強固な胸肉を真っ直ぐに突き抜けた。
凄まじい衝撃波が周囲の木々を揺らす。しかし、その刹那――。
パリィン……ッ!!
鈍い音を立てて、俺の持っていた刀の刃が、根元から粉々にへし折れた。俺自身の放った技の威力としなりに、支給品のヤワな刀が耐えきれなかったのだ。
「あ……」
鬼の心臓を貫いたまま、手元に残ったのは折れた柄だけ。
両腕を再生させ始めた鬼が、ここぞとばかりに勝ち誇った笑みを浮かべる。
「ひゃはは! 刀が折れたなぁ! 一撃でお前を噛み砕いてやる!」
だが、俺は焦るどころか、フッと冷たい笑みを浮かべた。
折れた刀の柄を左手で強く握り直し、腰を落とす。
「勘違いするなよ、化け物」
髪の後ろで、蜜流のリボンの鈴がチリンと冷たく鳴った。
「刀が折れたくらいで、俺の強さは変わらねぇんだよ。……ここからが、本当の本番だ」
今の俺は、あの村でいじめられていた「鬼の子」じゃない。
お前らが一生頭の上がらない、本物の英雄になる男だ。
第6話完
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コメント
7件
うわっ、第6話、めっちゃ熱かった……! 刀が折れる展開、焦ったけど、そこで「折れたくらいで変わらねぇ」って言い切る主人公、カッコよすぎる🥀💥 蜜流さんのリボンの鈴の音がまた戦闘シーンに切なさと強さを添えてて、好きだなあ。恋の呼吸の技名も甘くて美しくて、でも戦いの激しさと合わさってゾクゾクした。続き、早く読みたい🌙🤍