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彼奴を救うために

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彼奴を救うために

4 - 4、異常気象。

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2025年01月03日

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「ロボロ…、」

ゆさゆさと揺さぶられる。

「ロボロぉぉぉ!!?」

耳元で大きな声で叫ばれる。

「ロボロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」

『うるっさいわ!!?起きとるわ!!』

「やったら、返事せぇや!」

プンスカと怒っているが、未成年の女の子がやると可愛いとは思うが…、成人男性がやっている物なので、全く可愛いとは思えない。

『…きっしょww』

「うるさいわ!!」

「…あ、」

あ、…と言う鬱が手を指す方を見ると、雪が降っていた。

「…雪…?」

『……なんで雪降ってんの…?俺の幻想?…なんやねんこれ、…』

俺たちが戸惑うのも無理はなかった。夏のこんなムシムシと暑い日なのに…雪が降っているのだ。

急いでテレビをつける。

「緊急ニュースです。都内某所にて、雪が降っているようです。…異常気象にも程がありますね、…、ここで異常気象専門の××先生に…、」

『…異常気象…って、レベルやないやろ…。やばすぎやろ。…えぇー、…?…怖。』

「………、」

そんな時鬱が虚空を見つめて、寂しげな表情をしていた。何を話す訳でもなく、ただ黙って凛々しい表情で…。

『…うつ?』

「…………ん?…あぁ、ロボロ。ごめん、…ちょっとボーッとしてたみたいやわ。」

そうやってヘラり。笑うお前を見て…俺は何も話しかける事は出来なかった。

『……、それにしても、…雪。綺麗やな』

「…そうやな。」

「……ロボロ」

『ん?』

「…今日さ、…とんちに呼ばれとるんよ。やから、今日は一緒におれへんわ。ごめんよ」

『…いや別に、俺はお前と一緒におりたい訳ちゃうからな!!?』

「えぇ〜?僕の事好きで好きでたまらない癖に?」

『誰が野郎のことなんか好きになるかよ。気持ちわりぃ』

「酷ぉい♡」

『…ほんまに、きもい。』




とあるお寺、…綺麗な雪景色。それはとても、…この猛暑の日に限って、この景色はおかしかった。

『……、だいせんせ。』

「……………なぁに?」

『……、そんなに、空蝉は珠玉か。』

「……あぁ、僕ら。…死者のもの達からとったらね。」

『……、そんなに気泉に行きたないか。』

「…そらそうやろ。避らぬ別れなんて、…誰しもやりたくないわ。」

『……ごめんな、鬱。…俺でも、淡雪が泡沫のように無くなった時。…その時は、お前を…俺は…』

「……ええねん。…それまでに僕は蹴りをつける。」

「…どうにかして、この異常気象を、…1月22日まで続かせるんや。」

『……お前の命日までか。』

「……あぁ、……」

『……………辰星落落とはこの事なんかな。』

「……そんな美しいもんやないわ。」

「…………ぼくも、…もうちょっとだけ皆のとこで生きていたかったなぁ……、」

「……とんち。」

『…ん?』

「……僕が居なくなった時、…そんときは彼奴を宜しく。……きっと、彼奴はあいつやから。」

『………おん。』

「…またな。とんち、」

そう言って彼は、姿を消す。

『…またな。鬱』

その言葉は、虚空に響く。




言葉の意味。

空蝉=この世に現に生きているひと。

珠玉=美しいもの。

気泉=死者の国のこと。

避らぬ別れ=避けられない別れのこと=死別。

淡雪=儚くさらさらと消えていく雪。

泡沫=儚く直ぐに消えてしまうもの。

辰星落落=星々が一つ一つ消えていく様子のこと

彼らがこの言葉たちを使ったのは何故か、考えてみてくださいね。

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