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「ロボロ…、」
ゆさゆさと揺さぶられる。
「ロボロぉぉぉ!!?」
耳元で大きな声で叫ばれる。
「ロボロぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
『うるっさいわ!!?起きとるわ!!』
「やったら、返事せぇや!」
プンスカと怒っているが、未成年の女の子がやると可愛いとは思うが…、成人男性がやっている物なので、全く可愛いとは思えない。
『…きっしょww』
「うるさいわ!!」
「…あ、」
あ、…と言う鬱が手を指す方を見ると、雪が降っていた。
「…雪…?」
『……なんで雪降ってんの…?俺の幻想?…なんやねんこれ、…』
俺たちが戸惑うのも無理はなかった。夏のこんなムシムシと暑い日なのに…雪が降っているのだ。
急いでテレビをつける。
「緊急ニュースです。都内某所にて、雪が降っているようです。…異常気象にも程がありますね、…、ここで異常気象専門の××先生に…、」
『…異常気象…って、レベルやないやろ…。やばすぎやろ。…えぇー、…?…怖。』
「………、」
そんな時鬱が虚空を見つめて、寂しげな表情をしていた。何を話す訳でもなく、ただ黙って凛々しい表情で…。
『…うつ?』
「…………ん?…あぁ、ロボロ。ごめん、…ちょっとボーッとしてたみたいやわ。」
そうやってヘラり。笑うお前を見て…俺は何も話しかける事は出来なかった。
『……、それにしても、…雪。綺麗やな』
「…そうやな。」
「……ロボロ」
『ん?』
「…今日さ、…とんちに呼ばれとるんよ。やから、今日は一緒におれへんわ。ごめんよ」
『…いや別に、俺はお前と一緒におりたい訳ちゃうからな!!?』
「えぇ〜?僕の事好きで好きでたまらない癖に?」
『誰が野郎のことなんか好きになるかよ。気持ちわりぃ』
「酷ぉい♡」
『…ほんまに、きもい。』
とあるお寺、…綺麗な雪景色。それはとても、…この猛暑の日に限って、この景色はおかしかった。
『……、だいせんせ。』
「……………なぁに?」
『……、そんなに、空蝉は珠玉か。』
「……あぁ、僕ら。…死者のもの達からとったらね。」
『……、そんなに気泉に行きたないか。』
「…そらそうやろ。避らぬ別れなんて、…誰しもやりたくないわ。」
『……ごめんな、鬱。…俺でも、淡雪が泡沫のように無くなった時。…その時は、お前を…俺は…』
「……ええねん。…それまでに僕は蹴りをつける。」
「…どうにかして、この異常気象を、…1月22日まで続かせるんや。」
『……お前の命日までか。』
「……あぁ、……」
『……………辰星落落とはこの事なんかな。』
「……そんな美しいもんやないわ。」
「…………ぼくも、…もうちょっとだけ皆のとこで生きていたかったなぁ……、」
「……とんち。」
『…ん?』
「……僕が居なくなった時、…そんときは彼奴を宜しく。……きっと、彼奴はあいつやから。」
『………おん。』
「…またな。とんち、」
そう言って彼は、姿を消す。
『…またな。鬱』
その言葉は、虚空に響く。
言葉の意味。
空蝉=この世に現に生きているひと。
珠玉=美しいもの。
気泉=死者の国のこと。
避らぬ別れ=避けられない別れのこと=死別。
淡雪=儚くさらさらと消えていく雪。
泡沫=儚く直ぐに消えてしまうもの。
辰星落落=星々が一つ一つ消えていく様子のこと
彼らがこの言葉たちを使ったのは何故か、考えてみてくださいね。
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