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第1話 保健室の扉
学校という場所は、不思議だ。
同じ教室で、同じ授業を受けていても、見えている景色は人によって違う。
友達と笑い合うことが楽しい人もいれば、その笑い声が苦しく感じる人もいる。
そして、この学校には教室ではなく、保健室を居場所
キーンコーンカーンコーン。
始業のチャイムが校内に響く。
赤は保健室の前で足を止めた。
廊下を歩く生徒たちは皆、当たり前のように教室へ向かっていく。
楽しそうな話し声。
笑い声。
それらを聞くだけで胸が少し苦しくなった。
「……。」
赤は静かに目を伏せる。
どうせまた裏切られるし。
それが口癖になったのはいつからだっただろう。
考えるのも面倒になっていた。
ガラッ。
保健室の扉を開ける。
「おはよう、赤くん。」
優しい声が聞こえた。
保健室の先生である紫先生だ。
「……おはようございます。」
赤は軽く返事をして窓際の席へ向かった。
窓から見える校庭では、生徒たちが朝練をしている。
眩しいな。
そう思った。
保健室には既に先客がいた。
窓際では青が本を読んでいる。
青は赤に気付くと小さく微笑んだ。
「おはよう。」
「……おはよ。」
短いやり取り。
それでも青は嫌な顔をしない。
ベッドには桃が横になっていた。
午前中は特に体調が悪いらしい。
今日も眠そうに毛布を握っている。
そんな穏やかな空気の中、保健室の扉がそっと開いた。
「し、失礼します……。」
聞き慣れない声。
そこに立っていたのは中学一年生くらいの男の子だった。
不安そうに辺りを見回している。
「黄くんだね。」
紫先生が優しく声をかけた。
「今日からよろしくね。」
黄は小さく頷く。
だが、その表情はどこか固い。
まるで何かを恐れているようだった。
赤はそんな黄をちらりと見る。
新しい子か。
それ以上の興味はなかった。
すると突然――。
ガラッ!!
「おっはよーーー!!!」
勢いよく扉が開いた。
「うるさ……。」
赤が呟く。
「えぇ!?挨拶しただけなのに!?」
現れたのは橙だった。
保健室のムードメーカー。
来るだけで空気が騒がしくなる。
「今日は元気そうだね。」
紫先生が笑う。
「もちろん!」
橙は親指を立てた。
その様子を見て青が少し笑う。
桃も眠そうに目を開けた。
黄も思わず口元を緩める。
だが次の瞬間。
「あ……。」
黄の表情が固まった。
「ご、ごめんなさい……。」
思わず謝る。
誰も怒っていないのに。
誰も責めていないのに。
保健室の空気が一瞬止まった。
紫先生は気付いていた。
この子もまた、何かを抱えていることに。
そして、それはここにいる全員同じだった。
それぞれ違う悩み。
それぞれ違う傷。
けれど今だけは、同じ保健室にいる。
誰もまだ知らない。
この出会いが、自分たちを少しずつ変えていくことを――。
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海翔🖤🧡
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雪(最近サボり気味)
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コメント
1件
うわあ、第2話もすごく良かった……。保健室って、教室とは違う「居場所」があるんだなって感じた。黄くんが入ってきたときの空気の止まり方、すごくリアルで胸がぎゅっとなった。誰も怒ってないのに謝っちゃうの、わかるよ。それぞれ違う傷を抱えてるのに、同じ場所に集まってるのが切なくて温かい。続きが気になる〜!