錆の都の中心地にある市庁舎は、かつての栄光を失った古びた建物だった。建物の至る所が錆び付き、壁のひび割れが異様な模様を描いている。だが、見た目とは裏腹に、都庁内は今もなお強大な権力を保っていた。そして、その頂点に立つ人物こそが「錆の都知事」と呼ばれる存在だった。
鋼谷は初めての都知事訪問に、かすかな苛立ちを抱えていた。これまでゴーストバスターとしていくつもの都市を渡り歩いてきた彼だが、都知事の呼び出しを受けるのは初めてだった。普段から自由に行動するのが好きな鋼谷にとって、政治家との面会など面倒以外の何物でもない。
市庁舎の大広間に入ると、威圧的な雰囲気が漂っていた。天井は高く、シャンデリアの光が薄暗く揺れている。その奥には、一人の男が座っていた。彼こそが錆の都の都知事、鷹津剛造だった。年の割に引き締まった体躯と冷たい眼差しが、彼の非凡さを物語っている。
「鋼谷か。ようこそ、錆の都へ」
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