テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
11話 3層目 ゲーム空間
ヘッドセットを装着すると、
視界が静かに切り替わる。
薄手の長袖に、
柔らかい素材のズボン。
座っても、
動いても、
身体に負担がかからない。
髪は後ろで軽くまとめられ、
額が出ている。
汗を想定している形。
起動音は短く、
派手な演出はない。
ゲーム空間へようこそ
快適な体験を優先します
途中終了も可能です
選択画面は整理され、
区分けが分かりやすい。
一方は、
自由度の高い小さな作品群。
もう一方は、
完成度の高い安定した体験。
説明文は最小限で、
評価欄は目立たない。
始めると、
操作は直感的。
チュートリアルは短く、
失敗しても戻されるだけ。
敗北の演出は控えめで、
叱責も、
過剰な演出もない。
時間の経過が、
正確に管理されている。
長く遊びすぎると、
画面の端に小さく表示が出る。
休憩をおすすめします
日常に戻る準備をしてください
誰かが、
遊びに溺れないように、
先に線を引いている。
終了すると、
現実の部屋に戻る。
めまいはなく、
疲労も残らない。
記録は保存されているが、
順位は表示されない。
勝ち負けより、
続けられることを、
優先した設計。
ヘッドセットを外し、
時計を見る。
予定どおりの時間。
誰かが、
世界を楽しませながら、
壊さないように、
常に調整している。
それが誰なのかは、
分からない。
ただ、
明日も使えると、
自然に思える。
それだけで、
十分だった。
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#ほぼノンフィクション