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「そうなのですか!?」
私の読みは当たっていたようだ。でも、どこでどう繋がるかわかんないもんだわ…!
「はい。彼は僕の会社に広告出稿の相談にきました。新商品を売り出したいとかで、たまたま僕が担当したのですが…いやあ、驚きました。名刺を見て、五代というお名前だったのでもしかしたらと思い、許可をもらって撮影しました。紀美さんに見てもらうつもりで」
「私も驚きました…」
この展開、RPGっぽくなってきた! シナリオが進んでいく感じがいいね。サクサク行こう!
「ご主人、お仕事はどうですか? デキる感じですか?」
「リーダー任されているくらいなので、結構デキると思いますが。本人はかなり自慢しています」
「わかりました。ご主人にとどめを刺す方法は僕がお手伝いしましょう」
「えー! そんなことできるのですか!?」
「はい。最終的に新商品のプレゼンを弊社ですることになると思うので、それまでにエグい映像を用意できればと思います。そのプレゼンで仕掛けをしましょう」
「エグい映像…」
早速このスマートウォッチが役に立つ!!
「わかりました。夫のモラハラ具合、いっぱい撮影してきます! さきほど金さんのお店でこの商品を買ったので!!」
私はスマートウォッチを見せた。「これで家庭内の悪行はバッチリです。隠しカメラ内蔵なのです!」
「へえ。いいですね。僕も欲しいなぁ」
「それはいいお考えです。店からすぐ取ってきます!」
ささーっと金さんは店内から消え、再び物品をいくつか持ってすぐに戻ってきた。「出張なんでも売買屋です。航大さん、さきほどのスマートウォッチ、こちらです」
同じタイプのものを金さんが航大さんに渡していた。
「いいですね」
「はい。5万円になります」
「ごまっ…!?」航大さんが焦った。
同じ商品なのに、私に売ってくれた金額の10倍で売るの!?
「ちょっと待ってください」金さんに向かって文句を言った。「私はこの商品、5000円で買いました。航大さんにも同じ値段にしてください!」
それを聞き、商人特有の愛想笑いをしていた金さんの顔がさっと曇った。「ちょ、ちょっと紀美さん! 値段を言わないでくださいよっ」
「お客を見て値段を変えるなんておかしいです! 私たちは仲間なんですから! ね? 航大さんも同じ値段にしてください!!」
「…わかりました。今回だけ…特別価格でお売りしましょう」
その割にはめちゃくちゃ悔しそうだが。金さんの端正な顔がものすごく残念そうに歪んでいた。
「紀美さん、ありがとうございます。お小遣い少ないので、助かります」
航大さんがお礼を言ってくれた。
「いえっ! 持つべきものは仲間ですから!!」
改めて思うけど、これはいったいなんのパーティーだろ。まあ、私が勇者になって、魔王(おっと)を倒す旅に出ているから、旅仲間ってことでいいかな。
「このウォッチ、なかなかいいですね。ご主人が転落する様はこれでバッチリ撮れますよ」
なんて頼もしいお言葉!!
「航大さん、ありがとうございます! 楽しみにしています!」
建真の転落する姿は今から楽しみでしかない!!
興奮冷めやらぬ状態で航大さんと話していると、彼のスマートフォンにメッセージが入ってきた。航大さんがメッセージをすぐ確認していた。
――実家に萌絵を預けてるから、帰りにお迎えよろしく。
「また…」
眉間にしわを寄せ、航大さんがため息交じりで呟いた。メッセージを閉じると、赤みがかったウェーブの長髪に大きな目、左目にホクロがある綺麗な女性が幼い子供を抱いているホーム画面が見えた。ご家族の写真に設定されているのかな。
「綺麗な方ですね。航大さんの奥様ですか?」
「ええまあ…でも、あまりいい扱いはされていません。この前娘にATMと呼ばれてしまいました…」
「ATM!?」
娘さんって…いったい何歳よ? どう見ても3歳くらいだよね。