何も無いだだっ広い草原に転がる。
青い草花の匂いが鼻腔をくすぐった。
どこまでも続くような快晴の空は、眼中に移る景色に似合わないほど美しかった。
「はぁ、、、」
溜め息も暖かいそよ風に消えていく中、ふと自分の体に影が落ちた。
「ねぇ、どうしてこんな所にいるの?」
自分の顔を覗き込んできた青年の空を切りとったような蒼い瞳は、驚いたように目を瞬いた自分を映していた。
そんなこともあったなぁなんてボッーとしながら考える。
今では懐かしい思い出だ。
「おんりー、そろそろ行くよー!」
あの時と同じ自分を呼ぶ声がする。
「、、うん、今行くよ」
君に気づかれないようにふっと微笑んで駆けていく。
目の前に広がるのは1面の草原と、荒廃した街だったもの。
この世界にただ2人、僕らは今日も旅をする。
どこかにきっとある終わりを目指して。
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