テラーノベル
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「痛い…ってことは…」
顔が赤くなるのを感じた。俺は誰かに告白したことなんてないし、そういう雰囲気にすらなったことがないからこんな緊張感は生まれて初めてだった。
「うん、俺も信じられなかったよ」
キヨくんの表情が、徐々に驚きから嬉しさに変わっていく。
2人の間に流れる甘く幸せな空気。
いつから?なんで?なんて、聞きたいことはたくさんあったけれど、今はそんなことよりも目の前のこの人を独り占めしたい。そんな欲に駆られる。
「レトさん、抱き締めていい?」
そういって俺の背中にそっと手を回す。
静かな部屋にお互いの心臓の音が響きそうで。
「…もう抱き締めてるじゃん」
「はは、我慢できなかったわ 」
照れ隠しなのかそう笑ってみせた。
そして鼻をすする音。
「また泣いてるの?」
「嬉し泣きだよ…」
「かっこいいんだか悪いんだか…」
「…うるせーよ」
腕の力がさらに強く、2人の体が密着する。
「キヨくん俺ね…思ったんだよ」
そのふわふわの髪の毛に軽く触れる。
「俺の隣にキヨくんがいてくれるの、本当に嬉しいんだよ。キヨくんがいない日常なんて考えられない…いることが当たり前になってたから」
「うん」
「俺は家に帰っても一人だし家族ともあんまり接点なかったから、キヨくんの存在が俺のなかでどんどん大きくなってて…」
「…うん」
「でも家族とも違うなって…だって一緒にいるとドキドキして…
我慢できなくなってたのは俺も一緒だよ」
「なにそれ…急にかっこいいこと言うじゃんか」
体を離して涙目の顔を俺に向ける。
「ねぇレトさん…キスしたい。
いい?」
「なんで確認するんだよ?」
「だって… 」
「あの時だって確認しないで勝手にしてきたでしょ?
…したいなら、すればいいじゃん」
俺はそう言って、そっと目を伏せた。
To Be Continued…
コメント
1件
急展開にならないところ、本当に大好きです😭徐々に…って感じで最高