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♡続く嘘と浮遊霊さま
学校について、改めて緊張する。
わ、私馴染めるかな……。
もし、前みたいになったらどうしよう。
急にそんな不安に駆られて足が震えすくむ。
もし、嫌われたらどうしよう。
もし、友達出来なかったら……もし、もし……。
どんどん悪い方向に考えて抜け出せなくなっていた時に、ポンッと頭を誰かに頭を撫でられた。
「大丈夫。」
その声に、その一言にハッとする。
しゅごれいさん……。
慌てて振り返りそうになった自分を落ち着かせる。
うん、大丈夫。
守護霊さんに心の中でお礼を言いつつ、校内へと足を踏み入れた。
ザワザワ……。
や、やっぱり、視線がすごいっ……。
周りからジロジロ見られている気がして、歩き方も忘れるほど怖くなる。
ご、ごめんなさい、こんな地味な私が堂々と廊下を歩いて……。
心の中で謝罪しながら、できるだけ壁に引っ付くように歩いた。
S教室……。
自分の教室を探しつつ校内を見て回る。
教室分けは単純で、成績の低い順から E・D・C・B・A・S・SS・SSSクラスがあり、私はトップスリーのSクラスに選ばれた。
そしてこのトップスリーは常に狙われる。
その理由は、この学校の規則で、3カ月に一度テストが行われる。
そのテストで、トップスリーの成績を抜いた人が、抜かされた人と交代する形で教室に入ってこれるようになっていた。
つまり、Sクラスである私は、トップスリーの3番目のクラスであるため、トップスリーでいられなくなる可能性があるのだ。
私がこの学校に来たのには理由がある。
その理由は、病にかかったお母さんを助けるために、成績トップを3年間維持し、特待生給付金を手に掴むこと。
成績トップを3年間維持した者は、特待生給付金を給付される他、学費免除となる。
そのため、私は成績トップを3年間維持するつもりだ。
また、この学校はそうした制度と8クラス分けの他、寮が5つに分かれている。
寮は、一般寮、特別寮、主席寮、最上位寮、VIP寮に分かれており、
一般寮は、一般生徒が使用可能な寮。
特別寮は、Bクラスから上の人が使用可能な寮。
主席寮は、トップ10の者のみが使用可能な寮。
最上位寮は、S、SS、SSSクラスの主席、次席のみが使用可能な寮。と、なる。
VIP寮は、特権を持ったもののみ使用可能であり、特権を持ったものが下の者に指名して、一緒に寮生活を送るのも可能である。
そして、私は最上位寮に選ばれた。
お父さんがお母さんを看病する中、私が寮に入ってしまえば一人で看病も家事も仕事も大変だと思い、最上位寮をあきらめようとしたが、お父さんが背中を押してくれて、寮に入ることになった。
そういうこともあり、私は頑張らないといけないし、頑張りたい。
でも一番はやっぱり……Sクラスに早く慣れて友達を作りたい……!
丁度Sクラスのドアの前で深呼吸をする。
こ、怖い……。
だ、だいじょうぶ……大丈夫……。
額に汗がぶわっと滲んで手が震える。
そんな時に、
「……大丈夫。」
頭をふわっと撫でられた感覚がした後、守護霊さんの声が聞こえた。
う、うん……大丈夫。
守護霊さんの言葉を心の中で復唱した後、ドアに手をかけた。
―――――ガラガラ……。
ドアを開けるなり、教室中から視線が飛び交う。
ザワザワ……。
「ねえ、あの子……見た目的に頭よさそうなの納得じゃない?ふふっ……。」
「ええ、あんな地味女……。」
「俺、あいつに近づかないようにするわ……。」
なんか言われてる気がする……。
私になんかついてるかな……。
どんどん視線が集まるに不安にかられて足がすくむ。
そんな私を、
……ふわっ。
後ろから誰かが包みこんだ。
「かわいい。俺だけの、俺だけの千鈴。」
耳元で聞こえた声は守護霊さんのもの。
かわい……い?俺だけの、ち、すず……?
わ、わたし?
「かわいい。」
も、もし、私のことなら……か、勘違いしてる気がする……。
あわわと慌てる私をよそに、
「あ、あそこの猫可愛い。」
そう言った守護霊さんが、猫のところにふらっと行ってしまった。
猫のこと言ってたんだ!そうだよね。
私のことをかわいいって言うのは両親だけだもん。
恥ずかしい……。
パタパタと顔の熱を取っていると、私の隣をナニカがよぎった。
………?
そっちを見れば、真っ赤で奇麗な薔薇の刺繍のされた着物を着た赤髪の長髪お兄さんがいた。
だ、だれっ!
よく見れば、頭に角も生えている。
美形だし、その人の近くからかすかにリン……と鈴の音がしてくる。
髪飾りかもしれない。
リィン……と、ひときわ大きな鈴の音が鳴ったと思えば、
「ふふっ……人間界も大変そうだ……。」
と、言ってふわっと不気味に笑ったその人。
そんな姿を見つめ過ぎていたせいかもしれない。
そのと人目が合った。
わわっ……め、目合わせちゃったっ!
「君、今僕のこと見てたでしょ。」
ふわっと近づいてきたその人が、私の顔を覗き込んでくる。
私は必死に見えてないふりをする。
「聞こえないふりしても無駄だよ。ね、君、名前は?」
どどどど、どうしようっ……!
手に汗がにじんでくる。
「ねえ。僕のこと見えてるんでしょ。」
追い打ちをかけるようにそう聞いてきた後、今度は、すっと私の目の前にきて、机に肘をついている。
「僕、浮遊霊の薇鬼。君は?」
やっぱり、も、もう、隠せないのかな……。
なら、もう……―――――。
「俺の千鈴に近づくな。殺すぞ。」
え?
守護霊さん!?
「だってこの子、僕が見えて―――。」
「千鈴は霊視力を持ってない。見えない。知った口を利くな。」
「いや、でもさ―――。」
「だまれ。消えろ。浮遊霊ごときが俺に勝てると思うなよ。」
そう言った守護霊さんの周りの空気が、サァッと冷たくなるような感覚がした。
「もう一度言う。消えろ。俺の千鈴に近づくな。」
その言葉を聞いたさんは、はぁ……。と諦めたようにため息をついた後、スウッと霧のように消えて行ってしまった。
よ、よかったぁ~…。
「でも……。」
フラッと揺れながら近づいてきた守護霊さんが何かつぶやくが、聞こえない。
……?
「本当に……本当に千鈴が俺のこと見えているなら……。」
守護霊さん……?
やっと守護霊さんの声が聞こえるくらいになった時、
「………嬉しい。」
顔をあげた守護霊さんが、悲しそうに微笑みながら私の頬を包んだ。
その笑顔を見て胸がきゅっと苦しくなる。
「千鈴は俺の。」
……ぎゅっ。
悲しそうな顔で、優しく、でも力強く抱きしめられて、さらにきゅっと胸が痛んだ。
そんな私は、手で自分の胸を静かに抑えることしかできなかった。
……ごめんなさい。
そう心で謝罪しながらも、また、守護霊様に嘘をつく1日が始まった―――――。
コメント
1件
めっちゃ切ない回だった……!😭💔 千鈴ちゃんの緊張とか不安がすごく伝わってきて、入学式の日ってこんなに怖いものなんだなって感じたよ。でもそこを守護霊さんが「大丈夫」って撫でてくれたの、もう尊すぎて胸がきゅうってなった…。 あの赤髪の浮遊霊・薇鬼さんの登場もびっくりしたし、守護霊さんが「♡♡♡ぞ」って一瞬で鬼っぽくなるギャップがヤバい🥺 「嬉しい」って悲しそうに微笑むシーン、涙出そうになったよ…。 千鈴ちゃんが霊視力あるのに隠してるのも気になるし、守護霊さんの正体もめっちゃ知りたい!続きが気になりすぎる〜〜!✨ ふる003さん、このエモさ沼らせてくるのずるすぎます😭💕 次の話も楽しみにしてますっ!