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そこにはドルミーレ地方に住んでいたヴィータ人のみが集まっていて、ドルミーレから追い出された人達でもある。セレーノは食べ物を買いに商店街へ向かった。レガーメ地方はドルミーレ地方よりも少し暖かく、住民も皆優しい。大好物のリンゴが目に入り、売り手のおばさんに二つくれと頼んだ。買ったリンゴをかじりながら歩いていると、誰かと肩がぶつかった。
-???-
「どこ見て歩いてんだよこのヤロォ!
あぁ?」
金髪の、セレーノと同じくらいかちょっと上かの年齢の少年がセレーノに喧嘩を売った。
少年のせいで住民から目線がこちらへ向けられ、みんな心配そうにこちらを見ている。
セレーノは適当に謝った。
-セレーノ-
「ごめんなさぁい」
少年は脳の血管が浮き出てくっきり見えるくらいに顔を赤らめて強く怒鳴った。
-???-
「テメェ、ナメてんのか?」
セレーノは残っていたリンゴ丸々一個を少年にあげた。すると少年は黙った。
セレーノはまた少年が怒鳴ってくると覚悟していたが、少年は静かにその場を去った。
住宅街の路地裏でリンゴを食べながら休憩をしていると、さっきの少年がやってきた。
少年は申し訳なさそうにセレーノを見つめ、リンゴを返してきた。
セレーノは優しく微笑みながら、少年に言った。
「ほら、食えよ」
少年はリンゴを受け取り、ポケットの中に入れた。少年はセレーノに質問した。
-少年-
「あ、あなたってヴィータ王国の王子、、ですよね、?」
-セレーノ-
「王子と呼ぶのはやめてくれ。
僕はもう王子なんかじゃないんだ。」
セレーノは強い口調で、王子ではないことを主張する。
少年はセレーノの隣に座り、坂から海を眺めらながら言う。
-少年-
「俺の名前はアンドレア。
この国で一番偉くて一番最強だ。
俺は帝国が嫌いだ
異論は認めない」
セレーノは、少年の自信と心強さに感心した。セレーノも共感するように言った。
-セレーノ-
「僕も帝国が嫌いだよ
今から面白いこと教えてあげる」
セレーノは地下神殿パラディーゾの本を取り出し、地面に置いて本を開いた。
アンドレアは亀のように首を伸ばし、目を光らせて本を眺める。
-アンドレア-
「これって、あの地下神殿の場所?
俺、ドルミーレ行ったことないから気になる!あとパンテオンの書ってなんだ?」
アンドレアは興味津々だった。
セレーノは優しく説明した。
-セレーノ-
「パンテオンの書を読んで、アルカンジェロを起こすんだって。
ねぇ、アンドレア」
-アンドレア-
「ん?」
-セレーノ-
「一緒に世界を変えてみない?
僕たちならきっと、パンテオンの書も見つけれるし、地下神殿にも行けるよ。」
-アンドレア-
「本気なの?」
-セレーノ-
「お互い帝国が嫌いなら
一層のこと国を変えようよ。
僕は父を失ってから本気で国家転覆を目論んでいるんだ。」
-アンドレア-
「いいね。お前となら、変えられる気がするぜ」
アンドレアは納得し、2人で夕日を眺めた。
街の街灯もつき始め、カレーの良い香りがする。そろそろ夕飯の時間だ。
-アンドレア-
「お前、来いよ
俺ん俺。
家、ないと思うし外寒いからさ。」
-セレーノ-
「じゃあ、1日だけ泊まらせて。」
-アンドレア-
「1日だけ?明日どっか行くんか?」
-セレーノ-
「明日、地下神殿に行く」
-アンドレア-
「え!俺も行く!」
-セレーノ-
「今日の夜、一緒に作戦を立てよう」
アンドレアは大きくうなずいて、セレーノの手を引っ張って家に向かってた。
ここにいると、なんだか心が落ち着く。懐かしいというか、そんな感じがした。さっそく、2人のアンドレアの家族が家の前で手を振って待っていた。
-アンドレア-
「新しい友達できたよ!母さん!」
-アンドレアの母-
「あらぁ。こんにちは。
今日はゆっくりしていってね!」
-セレーノ-
「はい、ありがとうございます。」
-アンドレアの母-
「さあ、中に入りましょ!」
お母さんの美味しいスパゲッティをご馳走して、アンドレアの部屋に入った。
アンドレアはコップにお茶を入れ、セレーノに差し出した。
早速島の地図を茶色い革のバッグから取り出して、広げた。
-セレーノ-
「ネーヴェ地方を通ってドルミーレ地方の西から入ろう。
そこからまっすぐ進めば、地下神殿に着くはず。」
-アンドレア-
「もし兵士や誰かに見つかったら?」
-セレーノ-
「ネーヴェに兵士はいないはず。
とりあえず、明日の準備をしよう」
セレーノは地図を折りたたんで、バッグの中から単眼鏡、パン、地下神殿の本、水筒、万年筆、ノートを出した。持ち物の確認をして、またバッグの中に詰め込んだ。
アンドレアは剣術の経験があった。引き出しの中から剣を取り出してふるった。
外から犬の鳴き声がする。アンドレアは布団を敷いて、寝る準備を始めた。
2人はすぐに眠りについた。
朝、アンドレアはセレーノより先に起きた。
1階のリビングではすでに朝食の準備が整えられていた。セレーノは目を擦りながら階段を降りて、アンドレアの母におはようございますと一声かけて、椅子に座る。
机には美味しそうなサラダがズラッと置いて並んでいた。
2人は何も話さずに黙々と食べている。
母にご馳走様と告げ、2階から荷物をもって外へ出た。
-アンドレアの母-
「あら、どっか出かけるの?」
-アンドレア-
「うん、ちょっとね!
行ってきます!」
セレーノは地図を開き、確認しながらネーヴェへ向かった。
-セレーノ-
「ここらへんは来たことないなぁ」
-アンドレア-
「ああ、ここ?
ここはねぇ、自然がたくさんで綺麗なところなんだよねぇ。あそこにある山には、神が祀られてるらしい」
アンドレアは、奥の山に指を刺した。
明らかにボコッと不自然に山ができていた。
-セレーノ-
「人がつくったように見えるけど」
-アンドレア-
「それはわかんないなぁ
あの山、昔っからあそこにあったんだよね」
いずれ森に入り、山も見えなくなった。緑がたくさんで、綺麗だった。
そして、レガーメとネーヴェの国境に来た。
かつてあっただろう門も、朽ちていて雑草で生い茂っている。
2人は国境をまたぎ、ネーヴェに入った。
森から抜けて、丘からマルティの街が見てた。よく見ると、雪が積もっている。
住民は皆しっかりとした防寒着を着ていた。街を横切って、さらに北へ向かった。