日帝「…ふぅ」
戦争を終えた私は実家に帰り、平凡な日々を暮らしている
今は縁側に座って茶を飲んでいる
今日は天気がいい、空が青いな…
戦争中はそんな事気にする余裕もなかったな……
戦争が終わってすぐ、私はここに引きこもってしまっている
此処には情報が流れて来なくて、先輩やイタ王、米国…等が何をしているかは分からない
まぁ…この平凡な日常を壊したくないから知りたいとは思わないが
何だか暗い気持ちになってしまったな………茶も冷めた
江戸「どうしたんじゃ、そんな暗い顔をして」
日帝「…父上」
父上は私の隣に座って、微笑みながらこちらを見た
いつも微笑みを絶やさない父上には関心…いや、尊敬すら覚える
江戸「暗い事でも考えておったのか?」
なぜ分かるのだろうか……親の感というやつか…
日帝「…はい」
江戸「何を考えていたかは聞かないが」
江戸「あまり深く考えてはいけない」
江戸「考えたらキリがないし、何より楽しくないじゃろ?」
考えたくて考えているわけではないのだが…
思考ってのは勝手にしてしまうものだからな…
江戸「難しいか?」
江戸「なら気分転換にわしと羽付きでもするか!」
日帝「正月じゃないんですから…ふふっ」
江戸「ほれ!」
父上は私に羽付きの道具を渡すと、早速こちらに羽を飛ばしてきた
日帝「卑怯です父上!!」
私は培ってきた反射神経で何とか打ち返し
そのまましばらく羽を打ち返しあった
江戸「わしの5連勝じゃな!」
日帝「はっ…父上…まだまだ現役ですねっ…」
私はもう息が切れているのに、父上はまだまだ元気そうだ
もう私の顔は墨だらけで、描く場所がない
江戸「さぁ、もう1戦じゃ!」
父上がそう言って羽を打とうとした時、私の頭に雫が落ちた
日帝「…ん?」
気づいた瞬間、ザーザーと突然降り始めた
こんなに天気が良くて空が青いのに
江戸「天気雨か!」
父上は屋根のある所まで走って行った
江戸「ほれ、陸も早く来るんじゃ、風邪を引いてしまう」
私は足を動かそうとは思わなかった
雨は嫌いだ
あの時、黒い雨が降ってからというもの、私は雨が嫌いになった
なのに動こうと思わない
何故だかまだ雨に打たれていたい
私の顔の墨は雨に濡れて、黒い涙の様に私の頬を伝った
江戸「…陸?」
何だか雨がぬるいな
江戸「……」
返答がない私を心配したのか、父上は傘を持って私の近くへ歩いてきた
江戸「どうしたんじゃ…?」
日帝「…」
江戸「…陸」
呼ばれて顔を上げると、眉を下げ、心配そうな顔をした父上が私の顔を覗き込んでいた
江戸「…わしは陸の安心できる居場所にはなれないのか?」
江戸「さっきは聞かないなんて言ったが…本当はなんでも話してほしいと思っとる」
江戸「もちろん嫌なら無理には聞かない、それでもわしは傍におる」
父上は傘を置いて私を抱擁した
父上まで濡れてしまうのに
江戸「きっとあの時の事を考えておるんじゃろ…」
江戸「わしはあの時お前の傍には居てやれなかった」
江戸「だから陸がどれだけ辛い思いをしたかは想像でしか分からない」
江戸「わしはこれからずっと…陸にそんな事を考えて生きて欲しくはない」
江戸「なのに…気を紛らわせてあげる事も出来ない」
江戸「ごめんな……」
謝って欲しいわけじゃないのに…
なんで謝るんだ…
貴方は何も悪くないのに…
日帝「こっちこそ…ごめんなさい」
日帝「沢山心配をかけて…」
江戸「いいんじゃよ」
江戸「そろそろ本当に風邪を引いてしまう、中に入ろう」
私は父上に手を引かれて、少しその場を惜しみながら中へ入った
江戸「今風呂を沸かすからの」
日帝「ち、父上!」
私は薪を焚べに行こうとする父上を呼び止めた
日帝「…ありがとうございます…いつも」
父上はいつもの笑顔を取り戻すと、薪を焚べに行った
風呂が湧いた頃、ガラガラと音がして、びしょ濡れの奴が立っていた
日本「びしょ濡れですー(泣)」
いいタイミングで帰ってきた
今日は3人、3世代で風呂に入ろう
雨は嫌いだが、日照雨は好きだ
コメント
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雨が嫌いだけど日照雨は好きなのか……日帝である事に関係があるのか……?
†┏┛墓┗┓†