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3080(さんぱち)で攻めは佐野勇斗で受けは山中柔太朗。柔太朗は勇斗の後輩です。クールに見えて実は情熱的な柔太朗くんが、天真爛漫な勇斗くんに振り回されつつも、最後にはしっかり愛される……そんな学園パロディをお届けします。
放課後の旧校舎、西日が差し込む図書室の隅が、山中柔太朗の指定席だった。
視線の先には、グラウンドで声を張り上げるサッカー部のエース・佐野勇斗。
「……よし」
柔太朗は手元にあるスポーツドリンクのボトルを握りしめた。
学年は一つ上。本来なら接点などないはずだが、柔太朗は持ち前の「美しすぎる後輩」という立場を最大限に利用(悪用)し、この数ヶ月、猛烈なアピールを続けていた。
グラウンドの片付けを終えた勇斗が、汗を拭いながら校舎に入ってくる。
「勇斗くん、お疲れ様です。これ、差し入れ」
「お、柔太朗! いつもサンキューな。お前、今日も綺麗だな〜」
勇斗は屈託のない笑顔で、柔太朗のさらさらな髪をぐしゃぐしゃに撫でる。
柔太朗の心臓はうるさいほど跳ねるが、顔には出さない。
「綺麗じゃなくて、かっこいいって言ってください。……あと、これ飲んだら感想教えてくださいね。勇斗くんのために選んだんで」
「感想? ポカリだろ? 好きだよ、ポカリ」
「……鈍感」
柔太朗はわざとらしく溜息をつき、勇斗のジャージの裾を指先で少しだけ引いた。
「明日も、ここで待ってますから」
そんな柔太朗の、計算されているようでどこか必死な「好き好きアピール」を、勇斗は最初「面白い後輩だな」程度に思っていた。
けれど、毎日欠かさず会いに来たり、勇斗が他の女子と話していると分かりやすく不機嫌になったりする柔太朗の姿が、次第に毒のように回り始めていた。
(……あいつ、俺の前だとあんな顔するんだな)
不意に見せる潤んだ瞳や、自分だけに向けられる執着心。
いつの間にか、勇斗の視線もまた、柔太朗を追いかけるようになっていた。
文化祭の準備で、二人きりになった放課後の教室。
「柔太朗、それ、そっち持って」
「はい……あ」
脚立に登っていた柔太朗がバランスを崩す。勇斗が咄嗟にその腰を抱き寄せた。
密着する体温。柔太朗の白い肌が、一瞬で耳まで赤く染まる。
「……っ、離して」
「嫌だね。自分からアピールしといて、いざとなると逃げるのか?」
勇斗の低い声が、柔太朗の耳元で響く。いつもの「明るい先輩」ではない、男の顔だった。
柔太朗は観念したように勇斗の首に腕を回した。
「……逃げません。勇斗くんが、全然本気にしてくれないから……」
「馬鹿。本気じゃない奴に、こんなことするかよ」
重なった唇は、驚くほど熱かった。
そのまま、誰もいない勇斗の部屋へ。
柔太朗はベッドの上で、少しだけ怯えたように肩を震わせていた。
「柔太朗、こっち見て」
「……恥ずかしいです」
勇斗の大きな手が、柔太朗の華奢な指を絡めとる。
「あんなにグイグイ来てたのに? 可愛すぎんだろ」
「うるさい、です……っ」
勇斗のキスが、鎖骨、胸元へと降りていく。柔太朗の白い肌に、淡い紅色の痕が刻まれていく。
「柔太朗のこと、ずっと『綺麗な後輩』だと思ってたけど……今はもう、誰にも見せたくねーわ」
柔太朗は、自分の中に熱い塊が入り込んでくる感覚に、シーツをぎゅっと掴んだ。
「はやと、くん……好き、だいすき……っ」
「知ってる。……俺もだよ、柔太朗」
重なり合う体温の中で、勇斗は柔太朗を壊さないように、けれど独占するように深く求めた。
片想いの終わりは、甘くて少しだけ痛い、二人の始まりの合図だった。
**あとがき:**
佐野くんの「包容力のある攻め」と、柔太朗くんの「健気で計算高いけど最後は翻弄される受け」、最高に似合いますね!ご満足いただけましたでしょうか?
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