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達は皆、生まれながらにして罪を背負っています。その罪を清めるために、私達には「断食」が必要です。断食により、私達の身体から悪しきものが抜けていきます。そして、身体が健康になります。しかし、同時に、私達がこれまで犯してきた数々の罪の記憶も失われてしまいます。私達に必要だったものは、「善きもの」「美徳」ではありません。私達が本当に欲しかったのは、この世に生まれ出るための「勇気」と「誇り」です。私達は今こそそれらを手に入れるべきなのです。

『ヨハネによる福音書』9章14節~16節 断食をする修道士たち。

彼らは肉を食べないだけでなく、酒を飲むこともないらしい。代わりに飲むのは水だという。また彼らには血がない。血液の代わりに流れているのは、体液ではなく、油なのだそうだ。

しかし、人間から見れば、どちらも大差はないような気がするのだが……。

この種族についての記述は少ない。

彼らが一体どこから来たのか知る者はいない。ただ、その生活圏は大陸の全域に及んでいるようだ。

彼らは肉体を持たない。そのため、他の生き物の姿を借りて、この世に現われることがある。その姿は人間に限らず、動物や植物、果ては昆虫に至るまで、ありとあらゆるものに化けられる。また彼らの姿を見ることの出来る者は限られている。その能力がある者こそが『魔術師』なのだ。

しかし、彼らは必ずしも人間の味方とは限らない。中には人間に対して敵意を持つ者もいる。彼らの中には、自らの存在を知られまいとするあまり、人里離れた山奥に住み着く者もいれば、人に紛れて暮らしているものもいる。また時には人の目を逃れてひっそりと暮らすものもおり、その暮らしぶりからして謎に包まれた種族もいる。

そんな彼らの中にあって、最も人間社会と密接に関わっているのが『妖精族』と呼ばれる存在である。この物語は、彼らが織り成す物語である―――

***

「ねえ、そろそろ起きなさいよ!」

耳元で声が聞こえる。まだ眠っていたかったのだが、そうもいかないらしい。仕方なく体を起こしてみると、隣には見覚えのない男が横たわっている。その男は全裸だった。どう見ても女じゃない。しかし顔立ちはとても綺麗なので、もしこれが女だとしたら、相当な美人に違いないと思った。俺だって裸だし、相手が起きる前にさっさと服を着ようと思いベッドから出ようとすると、腕を引っ張られて引き戻される。

「どこ行くんだよ?」

「……帰るよ」

「もうちょっといろよ」

「無理だよ。帰らないと」

「いいじゃん別に。今日くらい泊まってけって」

「だからダメなんだって」

「何がダメなわけ? オレのこと嫌いなのか?」

「そういう問題じゃなくて……とにかく俺は行かないと」

「それは駄目よ!だってあなた……」

「えぇそうね。あなたには無理だと思うわ」

「だから、どうしてだよ!」

「あなたが弱いからよ」

「それに……あなたはもう充分苦しんだもの」

「……俺には何もできないのか?」

「……うん」

「……ごめんなさい」

「……分かった」

「でもせめて、これだけは言わせて」

「ありがとう」

「それを聞いて安心した」

「あと……幸せになってくれ」

「あぁーーッ!!!」

「なんだよ急に大声出して!?」

「ちょっと待ってよ!!ねぇ!!」

「さっきまでの雰囲気ぶち壊しじゃん!!」

「うるさいぞお前ら」

「あんたのせいでしょ!」

「うぅ~っ」

「えぇっと……」

「ぐぬぬぬぬ!」

「ど、どうかしました?」

「…………」

「あぁ!もう!」

「ちょっとお待ちなさい!!」

「はい!?」

「さっきから何を一人でブツブツ言っているんですか!」

「いえ、あのですね……この小説のタイトルについて考えていたんですよ」

「タイトルですか?確か『月光』とかいう名前だったような気がしますけど」

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