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洗濯物を取り込んで、晩ご飯の準備をする。何もメニューが思い浮かばなくて、ぼんやりと冷凍庫を見ていた。せっかくスーパーに寄ったのに武子のせいで、買いたいものが何だったのか忘れて中途半端な買い物しかしていない。


___ハンバーグでいいか


伊織も陽菜も煮込みハンバーグなら文句は言わない。夫は子どもじみてると言ってあまり食べないけれど、どうせ食べるかどうかもわからないし。


解凍した合い挽き肉に、生の玉ねぎのみじん切りと塩胡椒、片栗粉を少し。パン粉や卵は使わずできるだけ肉ニクした感じに仕上げるのが我が家流だ。あとはひじきの煮物と、サラダとお味噌汁。


「伊織、陽菜、ご飯できたわよ、冷めないうちに食べて」


二人とも部屋にいる気配はあるのに、返事もない。


___もう、勝手にして!


私は洗濯物を畳み始めた。その時、バッグの中からLINEを受信した音がした。友達も少ない私には、LINEもほとんど届かない。学校からか身内くらいだ。


___誰?あ…


澪梨。ため息をつきながらLINEを開いた。


“こんばんは。ブログ更新したから見てね!それからいいねをお忘れなく”


___え?いいねって強制されるもの?


“わかりました”


返事はしておいた。まだ登録もしてないのだけど、それを言うとしつこい気がするから。ブログなんて、何が楽しいのだろう?わざわざ自分の生活の一部を写真に撮って不特定多数の人に見せるなんて。


続けてLINEが届いた。


“打ち合わせで遅くなるから、晩飯は食べて帰る”


夫からだった。誰と何を打ち合わせるというのだろう?このところ、毎日のように遅い。既読はつけたけど、返事はしなかった。


「お母さん、ごはん!早く!」


「え?なに、呼んだ時は来ないくせに、ホント勝手なんだから!自分でやれば?」


いつもよりキツく答えてしまう。


「なに、イライラしてんの?いいから早く!」


伊織に言われて気づいた、私はイライラしているんだと。武子のLINEも夫のLINEも私を苛立たせていた。伊織に対しては、八つ当たりだ。かと言って謝ろうという気は起きなかった。

ハンバーグを温めて、ご飯とお味噌汁も出す。


「お母さん、最近ずっと怒ってるよね?いつもムスッとしてるし」


「私もご飯!ん?お母さん?更年期なんじやないの?もうおばさんだから」


伊織も陽菜も、辛辣なことを言う。だけど、言われなくてもわかっている、私はずっと笑えなくなっている。毎日繰り返す何の変化もないありふれた暮らしに、自分の居場所さえも見失っているようだ。

楽しみもやる気も目標も、私を動かす何か?が全く見当たらない。


___これから先、まだ半分残ってる人生をどうやって過ごそうか?


更年期にはまだ早いと思いながらも、このイライラが更年期のせいなら、その方が家族も自分も納得がいく。

明日、いい漢方薬でも探してみることにした。









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