コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「用意するから、半刻後に転送門の前でっ」
と八丁くんが言い残し去っていくの尻目に、早足で執務室へと戻った。
障子をすぱーんと開け、予想通り茶と羊羹を楽しむ鶯丸に大きな声で言う。
「ごめん正直ちょっと疑ってた!めっちゃ八丁くんの笑顔キラキラしてるんだけど何あれ!?」
「っ、はははっ」
あんまりな私の言い方に鶯丸は弾けるように笑った。
今日一日で普段使われない鶯丸の表情筋はどれほど酷使されたことだろうか。このままだと過重労働で死ぬかもしれない。ナンマイダ。茶を墓前に供えよう。
「何あれ……かわいい……えっずっとあんな笑顔だったっけ…」
語彙力は完全に死んでいた。鶯丸の表情筋よりこちらの方が早かったようだ。机にぐでりと上半身を預けブツブツ呟いている私に鶯丸が声をかける。
「俺の言った通りだろう?」
あーーーそうですよ本当にっ!胸中は嬉しさやら気恥ずかしさやら戸惑いやらでいっぱいだ。でも困り事が一つだけ。
待ち合わせ時間までに、この頬の熱は引いてくれるだろうか。