テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ーー全てを終わらせて疼くまる彼。もうじき、この世界から消えようとしている愛しき者を、彼女は決して離さぬよう抱き締めた。
そして彼女は意を決して妹へ、今生の別れを告げる。
『ごめんねーー』
私も彼と一緒に逝くからーーと。
そう。これは決して避けられない、止められない事。それを痛感しているからこそ、彼女は遺憾ながらも引き止める事が出来ず、二人を見送る事しか出来なかった。
愛しき人を抱き締める彼女は彼と、最初で最後となる口付けを交わす。
“愛してるーー”
『……今までありがとう。そして、ごめんね。あなた一人に全てを背負わせる事になって。でも、あなたをこのまま独りで逝かせたりしない。私はこれからも……ずっと側にいるわ』
彼女に抱かれたまま、その瞳に大粒の涙を浮かべ彼は思う。それも良いかもしれないーーと。
此処から先は二人で歩む、悠久なる黄泉への旅路。もう二度と、これから先も離れる事は無い。
『……ありがとう。でも、まだーー』
“まだ終わりじゃない”
しかしそれは、彼が本当に望む事では無かった。だからこそ戸惑う彼女を押し退け、もう“立てる筈もない”のに立ち上がった。
“私が……消えて無くなる、その前にーー”
そしてーー
…
*
“序”破急
それは愛する者の為だけに闘い生き抜いた、悠久なる愛の物語ーー
…