テラーノベル
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『喫茶猫又亭~本日もまったり営業中~』
リメイク版です
ストーリーや設定、文章などを
見直し一から改めて書き直しております
特別編や番外編、新しいストーリーも
追加しています。
旧猫又亭はそのまま公開しておりますので
良ければ比較してお読み下さい。
ではプロローグどぞ
プロローグ リメイク版
町外れの小さな路地裏。
賑やかな商店街を少し外れ、石畳の細い道を進んだ先に、一軒だけ静かに佇む喫茶店がある。
古民家を改装したような外観。
黒く艶のある瓦屋根に、季節の風を知らせる風鈴が涼やかな音を鳴らし、木製の引き戸には小さな丸文字で書かれた看板が掛けられている。
──喫茶猫又亭。
「営業中」と書かれた札が、風に揺れて小さく揺らめく。
道行く人は思わず足を止める。
「こんな所に喫茶店なんてあったっけ?」
そう不思議そうに眺める人もいる。
けれど、なぜだか訪れる人はほとんどいない。
まるで、本当に必要としている人だけが
この店へ 足を運べるように
今日も猫又亭は、ゆっくりと、そして穏やかに
営業を続けていた。
カラン……
扉に付けられた小さなベルが鳴る。
店の中へ一歩足を踏み入れると、ふわりと木の香りが鼻をくすぐった。
奥ではコーヒー豆を挽く音。
香ばしい珈琲の香りに、焼きたてのスコーンやクッキーの甘い匂いが混ざり合い、自然と肩の力が抜けていく。
窓辺からは柔らかな陽の光が差し込み、風に揺れるレースカーテンが静かに踊っていた。
棚には色とりどりのティーカップ。
壁には古い時計や季節の花。
まるで時間だけが、この店では少しゆっくり流れているようだった。
そんな穏やかな空間の奥から、一人の女性が笑顔で姿を現す。
「いらっしゃいませ。お好きなお席へどうぞ。」
ふわりと揺れる猫耳。
腰の後ろでは、二股に分かれた尻尾が機嫌よさそうに左右へ揺れている。
この店の店主。
猫又の妖──たまさん。
見た目は二十代ほどの若い女性。
優しく微笑む姿は普通の人間と何も変わらない。
……耳と尻尾さえ見なければ、である。
実際の年齢は百年以上とも二百年以上とも言われているが、本人に尋ねても、
「乙女に年齢を聞くなんて野暮ねぇ。」
と、にやりと笑って誤魔化されるだけだった。
だから誰も、本当の年齢は知らない。
この店には、人間だけが訪れるわけではない。
河童。
妖狐。
座敷童。
雪女。
天狗。
時には人知れず神様までも。
人には見えない”お客様”が、当たり前のように扉を開けてやって来る。
もちろん、人間にはその姿が見えないことも多い。
同じ席に座っているはずなのに、人間には誰もいない席に見えていたり。
逆に妖怪たちは、人間の姿を不思議そうに眺めていたり。
この店では、そんな光景も日常だった。
彼らが抱えている悩みは、大事件なんかじゃない。
誰にも言えない後悔。
柘榴とAI

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#妖怪パロ
黒音
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꒰ঌソラ໒꒱
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もう会えない誰かへの想い。
謝れなかった言葉。
忘れたい思い出。
忘れたくない記憶。
人も妖も、心の悩みは案外よく似ている。
「どうにもならないことだって、話すだけで少しは軽くなるものよ。」
そう言って、たまさんは今日も一杯ずつ丁寧にコーヒーを淹れる。
カフェラテには、ふわふわのミルクフォーム。
紅茶には季節の花びらを一枚。
その人、その妖に合わせた一杯を。
温かな湯気と一緒に、優しく差し出してくれる。
「ありがとう。」
「また来るね。」
そんな言葉を残して帰っていくお客様の背中を、たまさんはいつも同じ笑顔で見送る。
悩みが全部なくなるわけじゃない。
魔法のように願いを叶える店でもない。
それでも、この店を出る頃には、ほんの少しだけ前を向ける。
そんな不思議な喫茶店。
それが──
喫茶猫又亭。
カラン……
その日の午後。
静かな店内に、ベルの音が優しく響いた。
たまさんはカップを磨く手を止め、ゆっくりと顔を上げる。
「いらっしゃいませ。」
扉の向こうに立っていたのは、一人の見慣れないお客様だった。
少しだけ疲れた表情。
何かを抱え込んだような瞳。
今日もまた、この店で一つの物語が始まる。
――ようこそ、喫茶猫又亭へ。
コメント
3件
読ませていただきました、黒音さん。 プロローグからもう、ふわりと優しい空気に包まれるような喫茶店の佇まいが目に浮かびました。猫又のたまさんの「いらっしゃいませ」という一声に、木の香りや珈琲の香り、風鈴の音まで一緒に届いてくるようで…。特に「本当に必要としている人だけが足を運べる」という一文が、物語全体の優しい距離感を象徴しているようで、とても好きです。 リメイク版とのこと、丁寧に世界を紡ぎ直されているのが伝わってきました。これからどんなお客様が訪れるのか、楽しみにしています🌷