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何をされても嘘のように敏感に反応する。
私の体、本当におかしくなった?
胸から下に向かい、舌が這う。それを私は待ち侘びてる。早く、早くって。
嘘でしょ?
自分がこんなにも淫らな女だったなんて――
理仁さんの色気漂う顔の美しさ、プールでは触れられなかった魅力溢れる肉体に、私はこれでもかというくらい魅せられている。
「ああっ……んんっ、はぁぁ……理仁さん、そこは……」
「何? 嫌なの?」
「……い、嫌じゃない……です」
「どれくらい感じるのか、たっぷり可愛がってやる」
身も心も深く酔いしれ、悦ぶ体。
いよいよ私の秘部に到達した理仁さんは、舌を使って徹底的に愛撫した。そして、指がスルッと入り込んだかと思ったら、ぐちょぐちょといやらしい水音が漏れ出した。中指が壁に激しく擦れる度、呆れる程に淫靡な喘ぎ声が放たれ、部屋中に響き渡った。
お互い、全てを脱ぎ捨て絡み合う。
理仁さんの胸板に薄らとにじむ汗。
何度もキスを繰り返し、決して離れないと密着させる体と体。
私達は、何時間も果てしない快楽を味わい、最高の瞬間を2人で迎えた。
「綺麗だ。双葉は、体まで俺をとりこにした。この素晴らしい体……一生俺だけのものにしたい」
「嬉しいです、本当に……。私、理仁さんに抱かれて幸せでした。だけど、結婚は……できません」
「なぜ? なぜそんなに結婚を嫌がる? 俺には君しかいない」
ベッドの上で、私に迫る理仁さん。
その瞳は、切なく潤んでいた。
「もし、それが本当ならどれだけ有り難いか。私も……もちろん幸せな家庭を築けたらって思います。でも、私は理仁さんには似合わない。どう頑張っても釣り合わないんです」
「双葉への想いは本物だ。この気持ちは絶対に揺るがない。俺は、君と一緒に未来を歩みたいんだ」
「……すごく嬉しいです。本当に……嬉しい。でも、よく考えて下さい。私はあなたが住んでいる華やかな世界の人間じゃないんです。私は、男に騙されて詐欺にあって、お金に困ってるような人間です。いつか、理仁さんは、こんな私と結婚したことを後悔する時が必ずきます」
「俺は、今の君を選んだ。君の過去なんて、何一つ関係ない」
理仁さんの言葉は、私の心に優しい光を落とす。
それを、すぐに暗い闇が打ち消す。
「私は……もう傷つきたくない」
雅人が私にしたこと。
それがトラウマになって、今でもまだ私の心を鎖でがんじがらめにして支配してる。
捨てられて傷つくのは、やっぱりつら過ぎる。ましてや、常磐さんとの別れなど、想像もできない程怖くて恐ろしい。きっと、もう二度と立ち直れないだろう。
「この命に変えても双葉を傷つけることはしない。俺にとって君はそれほど特別なんだ。このまま一生誰も好きになれず、独身を貫く覚悟をしていた。なのに、君が女神のように現れて、俺の冷えきっていた恋愛観を変えてくれた。だから、君との結婚は諦めない」
「常磐さん……」
「俺は近々、海外に行く。向こうの経営に数年関わるためだ。その時、君を婚約者として連れていきたい」
「そんな大切な時に、私が何かの役に立てるとは思えません。ごめんなさい……」
この人と一緒にいれば幸せになれるかも知れない。
理仁さんにすれば、私の借金なんて何の痛みもなく一瞬で返済できる。私の夢だって簡単に叶えられる。
だけど、常磐グループの御曹司との結婚なんて、やっぱり……もみじちゃんの小説と同じで、現実には有り得ないんだ。
私は、決して、甘い夢を見てはいけない。
だって、この私が『女神』のわけないんだから。
今日1日が、人生で1番素敵な日だったことは間違いない。まるでお姫様みたいな時間だった。
でも、魔法は必ず解ける――
それが、今、この瞬間。
理仁さんの温もりが残るこの体。
情熱的なセックスはただの思い出。
私は明日からまた……
いつもと同じ日常を送る。