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─なんやかんや1日学校を過ごした後、私は学生時代の家を思い出しながら、帰り道を歩いていた。
(お母さんとお父さんに会うの、久しぶりだなぁ……弟の桃(とう)とも、あんまり話してなかったし……)
そう考えながら歩いていると、
「にゃぁ…、」
近くで猫の鳴き声が聞こえた。
声のしたところを見ると、白い子猫がダンボールに入れられていた。
(捨て猫かな…)
近くに行って頭を撫でようと近づくと、向こうから1人の男の子がやって来た。
(同じ制服だ……)
その男の子の髪はサラサラで、背が高くて、ほのかに石鹸の香りがして…恋愛漫画のヒロインみたいな人だ。
「こんにちは」
「…ぇ!?」
急に声を掛けられたから、変な声が出た。
「…この子、捨てられてるんですよね」
男の子は悲しそうに目を伏せると、子猫の前でしゃがんだ。
「もしよかったらこの猫、僕が飼ってもいいですか?」
「え、い、いいんですか…?」
「はい。僕、猫が大好きなので」
よかった、よさそうな人に拾われて。
……よく見たらこの子猫、ミルクに似てるかも。
…な~んて、気のせい、気のせい。
高校生時代にいるわけないじゃん。
「あの」
男の子が子猫を抱き抱えながら、私の方を向いた。
「同じ…学校の制服ですよね?」
「は、はい」
「もしよかったら、名前聞いてもいいですか?」
!!
(えっと…結婚する前の名字がいいのかな)
「く、呉田(くれた) 美兎です」
「美兎さんですか。僕は神楽 宝石(だいやもんど)です」
『神楽』…? 琉斗と同じ名字だ。
でも名前が違うし、偶然一緒なだけだよね。
っていうか………
「宝石(だいやもんど)…?」
「……あぁ、そうです。僕の名前、宝石と書いてダイヤモンドって読むんです。変な名前ですよね…笑」
「い、いえ!変じゃないです…!」
「優しいんですね…両親が宝石好きで、こんなキラキラネーム付けられちゃいました。」
「わ、私は素敵だと思います!」
「!」
なぜか自然に口から言葉が出た。
「……ありがとうございます。実は僕、この前転校してきたばっかなんですよね。」
(…あ、だから私が高校生の時に会わなかったんだ。こんな子がいたら、印象に残ってるはずだから)
「じゃあ美兎さん、さようなら」
「さ、さよなら…!」