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第11話
まばゆい光で黒い雲が消え去った。
魔物も灰となって消えてしまった。
僕はアニカの方を向いた。アニカも訳が分からずに首を傾げている。
「何が起こったの……? 文献には、王女と光の家以外にあの魔法は使えないと書いてあったはず……」
そう呟きながら胸の高さで手を握りしめている。
異常な魔物も消えて、黒い雲も消えた。それは、きっと『光の家』の人が収めたんだろう。
「ロルフ。大丈夫?」
「うん……なんとっ……」
僕は立ち上がろうとすると傷が傷んでしまい動けなかった。
駄目。立ち上がらないと……
「ちょっとじっとして。魔力はまだ残ってるから」
アニカは僕に手をかざすと傷を癒した。
やっぱり凄いや……アニカは魔法も凄い。
「ありがとう。様子を見に行くから僕から離れないで」
僕がそう言うとアニカは顔を強張らせながら頷いた。
洞窟から外に出ると魔物の気配は全くしなくて、さっきとは一変して晴れていた。
「これは、一体……」
分からない……何が起こったの?
僕たちが王城に戻るとホルム王が僕たちの帰りを待っていた。
「アニカ。これはお前がやったのか?」
「いいえ。きっと光の家の人がやったんですよ……とりあえず、私ではありません」
二人が話し合っている間、片膝をつきながらソフィーが無事だったのか気になった。
大丈夫かな? 家は魔物に襲われてないかな?
「――ルフ。ロルフ。聞こえているのか?」
僕は我に返って顔を上げた。
ホルム王は少し考えてから「お前の家の事情は把握している。今日は帰っていい。他の聖騎士で他の仕事も回す」と僕に背を向けて言った。
え? 今日は帰らないくらいの覚悟だったけど……
そう考えている内にホルム王はどこか行ってしまった。
「ソフィーのためにも帰ってあげて。一人だったら心細いじゃないかな」
アニカにも笑顔で言われたので僕は家に帰える準備を整えてから帰路を歩いた。
嫌な予感がずっと心の底で留まっている。
ソフィー……お願いだから無事でいて……
家に帰って扉を開けてもいつものように「ただいま」という声が聞こえない。
嘘……嘘って誰か言って……
「ソフィー? いるなら、返事して!」
僕が腹の底からいっても返事が帰ってくる事は無かった。
森の方にも行ったけど全くソフィーの姿は見えなかった。
お願いだから……元気な姿でも……
僕は一生懸命に探した。ソフィーはこんな事をする人では無い。
僕は放心状態で家に帰ると置き手紙に気がついた。多分、焦りすぎて置き手紙にも気がつかなかったのだろう。
お兄ちゃん、さようなら。
そう書かれた紙切れが机の上に置かれていた。急いで書いたように見えて何があったのか分からなかった。
ソフィー……何で……
僕は『何もできないただの攻撃するだけの兵器』となった。
僕は王城へ『休暇願』を出して家にこもった。
✡
あれから、ある事以外いつも通りの日常になった。
ロルフがいないという事以外。
あれから、ロルフは一ヶ月の休暇願を出したのだ。
そんな事は一度も無かったからもしかしたらソフィーに何かあったのかもと頭を過ったけど、理由には『心の療養のため』としか書かれていなかった。
今日、あの日から二週間が経った。心配なのでロルフの家に向かう事にした。
ロルフがいないのでロザンナが付くことになった。
#切ない
104
「ロルフの家に行くんでしょ? 知ってるの?」
「うん。ロルフの妹のソフィーと仲良くしていたんだけど……大丈夫かな……」
「え? なにそれ? ロルフって妹がいたんだ……」
ロザンナはびっくりして口に手を当てている。
ロルフって人付き合いに殆ど興味が無いと思ってたけど、そこまで……
そんな話をしながらロルフの家に付いた。
私は少し嫌な予感が過ったけど、扉をノックした。
「ロルフ。休暇中に押しかけちゃって申し訳無いけど……大丈夫?」
少しの間、沈黙に包まれたけど扉が開いた。
「私も付いてきたんだけど……急にごめんね」
「二人とも、中に入って。体、冷やしたらいけないし……」
そう言ってロルフは扉を大きく開けた。
部屋の中は相変わらず綺麗に整理整頓されていて、剣や槍もちゃんと棚にしまわれている。
ただ違うのはソフィーがいないという事と、ロルフのまとうオーラが暗いという事。
ロルフはお茶を私たちに出してから椅子に案内した。
私はまた嫌な予感が頭の中に過った。
何だか押し潰されそうな空気に生唾を飲んだ。
「僕は、ただの戦うだけの兵器だったんだ……」
そうロルフはポツリと言った。