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「ボクと契約して魔法少女になろうヨ」
突然言われた言葉に動揺を隠せないでいた。
だって目の前にいるのは漫画やアニメで見るような可愛らしい姿をした猫だったから。
背中に小さな羽が生えていて言葉を喋る、普通現実世界ではありえない事だ。
「ねぇ聞いてる?ボクと一緒に魔法少女になって世界を救おうヨ」
再び話しかけてきた猫は意味の分からない事を言っていた。
魔法少女? 世界を救う? 何を言っているの?
動揺を隠せないでいると遠くから爆発音と悲鳴が聞こえた。
「!?」
爆発音がした方を見ると大きな怪物が手当たり次第に建物を壊している。
建物からガラスやコンクリートが落ちてきて周りにいた人はほとんど助からないだろう。
私も今から逃げても多分逃げれない。
死を覚悟する瞬間だった。
そんな中私の目の前にいた猫がまた話しかけてきた。
「ねぇ君まだこの世界で生きたイ?」
「君は今日このままだと死んじゃうヨ?」
「それでもいいノ?」
その言葉を聞いて「生きたい」と本能で感じてしまった。
いつも学校でいじめを受けていていつ死んでもいいと心から思っていたのに。
「生きたい。」
私がそう呟くと猫が微笑んだ。
「なら、これを君にあげル」
そういうと首に何かを付け始めた。
「チョーカー?」
チョーカーには大きな鈴が付いていた。チョーカーって言うよりただの人間用の首輪みたいだ。
「そうだヨ、これは契約した者が付ける物なんダ。」
「それを付けてるものは僕みたいな者と契約した証。」
「さぁ目の前のカイブツをやっつけよウ!」
そういうと猫は私の後ろに下がった。なにをすればいいのか考えていると激痛と共にセーラー服が赤く血で滲み始めていた。
胸からは刃物が私の体を貫通して見えていた。
あまりの痛さに私は地面に座り込んだ。
「何をッしたのッ…?」
あまりの痛さに私は目の前が歪んでいくのがわかる。
「契約だヨ。ボクと契約するには1度死ぬ事が条件なんダ」
「1度死ななきゃ本当に魔法少女にはなれない。これは血の契約だヨ。」
「ッ……」
(何を言っているの?)
(死にたくなくて契約するって言ったのに結局死ぬんじゃん)
(騙されたなぁ)
その言葉を最後に私の視界は真っ暗になっていった。
………
……
…
「ガサッ」
行き良いよく起き上がる。
「あれ?生きてる?」
いつの間にか通学路にいたはずがビルの屋上にいた。
私が起き上がるとさっきまで話していた猫が近寄ってっきて
「良かった。無事契約は成功したみたいだネ☆」
私は意識が無くなる前の事を思い出して胸元を見てみたが血で染まっていたはずのセーラー服は新品のように綺麗になっていた。
貫通していたはずの胸の傷も無くなっていた。
「なんで生きてるの?」
「それは魔法少女になってる最中に死んだらいけないから契約終了まで魂と肉体を分離させる必要があったノ」
「大丈夫契約終了すれば元の人間に戻れるし生活に問題は無いヨ」
「……」
意味が分からずにいた。契約のために私は殺されたの??
「え、私死んだの?」
「うーん……死んではいないかナ。」
「でも契約中君が本当に死ぬ時はボクを裏切った時ぐらいだヨ。」
裏切る?どゆうことなの?
朝から意味の分からないとこばかり起きていて頭がパンクしそうだ。
そういえば怪物はどうなったんだ?
そう思って周りを見渡すと大きな爆発音がまたした。
「!?」
「さぁ君の出番だヨ。魔法少女になって世界を救おウ☆」
そういうと猫は小さなブローチを渡してきた。ブローチは四角形の星の形をしていた。宝石はカイヤナイトに似ている。
「それを持って変身したいと強く願っテ」
「ボクと契約した君なら魔法少女になれるヨ」
そう言われ私は胸にブローチを当てて魔法少女になりたいと願ってみた。
するとブローチから光がでてきた。その光は私を包み込んでいった
着ていたセーラー服が一瞬で可愛らしいフリルの服に変わっていく
ブローチは胸元のリボンに付けられ、髪型は可愛く結ばれていた。
手には可愛らしいステッキを握っていた。
(これで倒すのかな?)
そう思いながらふと前を見ると怪物と目が合ってしまった。
(あ、やばい死んだ。)
怪物は私を見るや否や手で私を掴んで強く投げ飛ばした
地面に叩きつけられ道路が凹むほどの威力、普通なら死んでるんであろう。でも私は生きていた
すごい力で投げつけられたのに傷がひとつもない。
驚いていると猫が近ずいてきて
「今だよ、走ってあいつをやっつけよウ☆」
震える足を無理やり動かして、握っていたステッキを強く握りしめ怪物に向かって走り出す。
大きくジャンプして怪物の目をステッキでつく。
怪物の血が飛び散って私の服や顔を汚す。
(こんなのが魔法少女がする事なのか。)
怪物が怯んだ隙にステッキで何度も攻撃する。その音は生々しくて聞くに耐えないものだった。
………
……
…
「ッ!?」
気付いた時には怪物は体の原型を留めてはいなかった。
真っ赤に染った私の手を見て私がやった事を確信する。この手で殺った思うと吐き気がする。
周りを見ると私をカメラやスマホで撮影する人や怪我をして動けない人達が沢山いた。
そのカメラにはどう写っているのだろうか。
怪物を倒す正義のヒーロー??
でもこんな殺し方正義のヒーローならしないだろう。
そんな事を考えながら怪物の死体の上に立っているとあの猫がまた話しかけてきた。
「やったネ☆初めてカイブツを倒したにしてはいい方だヨ」
「これからも魔法少女として頑張ろうネ」
「……」
ニコニコ笑う猫私は無視する。私は怪物よりも猫の方が恐ろしく感じだ。
なんでこんな状況で笑えるのだろう。
周りには血や肉片が飛び散っていて悲鳴や鳴き声が尽きないのに。
私は怪物に刺さったステッキを手に取って大きくジャンプしてその場から離れた。
投稿日2023-01-29
文章追加 2023-02-02