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帰ってからの事はあまり覚えていない。怪物を倒してからその場を離れて変身が解けてから家に帰ったのは覚えてる。
もし変身したままで帰ったら血の匂いで家族や近所に迷惑がかかりそうだったから
顔や手についた血は近くの公園のトイレで洗い流した。
「はぁ」
さっきの事を思い出すとため息がさっきから何度も出る。
帰りが遅くなったことで両親に心配され、遅くなった理由を聞かれたが魔法少女になりましたって言えるわけがなく黙るしか無いし…。
ふと見ると私の隣には本棚から取った本をニコニコ笑いながら読んでいる猫が居る。
(そういえばこの猫名前なんて言うんだろう…)
「ねぇ猫」
私が猫と呼ぶと耳がピクっと動いた。こっちに顔を向いたけど何も言わず私が喋るのを待っている感じだ。
「……」
「猫って名前なんて言うの?」
「ボクの名前?」
「猫って言われるの嫌でしょ。」
「そうだネ」
「ボクの名前は▽▲◇§∀―●◆◎だヨ」
「え…??」
「あっ、この世界じゃ上手く発音できないヤ……」
「しょうがないしボクの名前は好きに呼んでいいヨ」
そう言われても動物に名前を付けたことがないからネーミングセンスが無いと思うんだよな……。
友達にあだ名を付けるのも苦手だしペットももちろん飼ったことがない。
よく聞くペットの名前とかでも良いだろうか……。
「ならポチで…」
「いヤ。」
「それは何か嫌ダ。」
「えぇ……」
そんなこと言われても……
(何でもいいって言ってたのに。)
名前を考えるために猫の姿をよく見てみると
この猫、真っ白な毛並みに宝石を閉じ込めたような青色瞳をしている。
(あ、「るり(瑠璃)」って名前なら良いかも。)
「ねぇ、『るり』っていうのはどう?」
「るりか……いい名前だネ☆」
「これからはるりって呼んでいいヨ☆」
「はいはい。」
名前が決まってからは何事も無くご飯を食べてお風呂に入って普通に寝た。死んだのになんにもいつもの生活に変わりはなかった。
変わった事と言えばるりが居るのと首のチョーカーが外れないぐらいだ。
るりは私以外の人には見えないらしく、それをいい事に私の夜ご飯をつまみ食いしていた。
………
……
…
目覚ましの鳴る前に目が覚める。今日はあまり寝付けなかった。
当たり前だ、
あんな怪物を1人で倒して周りの人に見られたんだ。きっと魔法少女は私だってバレるだろう。
学校に行きたくない。
そう思っても体は動いている。
制服を着てタイツを履いて髪を結ぶ。
髪を結び終わった頃にるりが起きて話しかけてくる
「早起きだねェ早く起きていい事あるノ?」
不思議そうに聞くが私だって早く起きる意味を知りたい。
「早起きするといい事あるってこの世界では言われてるんだよ。」
そう言うと「ふーン」と言ってまた私のベットに寝転んだ
(いいなぁ呑気に寝れて)
私は猫をベッドの上に置いて1階のキッチンに向かった。今日は親が早くに仕事があり私より早く出ていった。
ご飯は自分で作るのが我が家のルールだからいつものように目玉焼きとベーコンと食パンで済ましている。
朝ごはんを机に運んで食パンを食べているとるりが2階から降りてきた。
私の目の前の席にちょこんと座ると私の朝ごはんのベーコンを手で掴んで食べていた。
(モグモグ)
「ちょっと、私の朝ごはん食べないでよ。」
「いいじゃないか、ベーコン2枚あるんだシ☆」
「……」
そういうとるりはまたベーコンを食べ始めた。
るりよりも早く食べ終わり机の上に置いてあったカバンを手に取ると私は家を出る準備を始めた。
少しあとに食べ終わったるりは私にブローチを『肌に話さず持ってろ』と言われた。
私は無くし物が激しいから制服にブローチを付けることにした。
家を出るといつもの通学路を通る。私の通る通学路は人通りが少なく静かなとこだ。
登校中何度もるりは話しかけてきたが外でるりと話していると、るりを見えない人からして私は変な人と思われるからあまり返事を返さないでいた。
30分程歩いていたら学校の門が見えてきた
私は靴箱でボロボロに刻まれたスリッパを履いて教室まで行く。
教室に着くと私をいじめているいじめっ子がケラケラと席で笑っている。私はバレないようにそっと席に着いて机で本を読んでいた。
するといじめっ子達がテレビで見たニュースを話し始めた。
「ねぇ見た?昨日の怪物のやつwww」
「見た見たw」
「あれでしょ魔法少女みたいなのが出たんでしょ?」
「そうそう、すごくねwww」
「動画とかめっちゃ出回ってるもんw」
「誰なんだろうね、見る限り若くねww」
「しかも怪物出だ場所意外と近くねw」
「それなwww」
「~~~www」
「~w」
いじめっ子達は昨日の事を話して盛り上がっていた。
でも魔法少女が私ということはバレていなそうで少しホッとした。
………
……
…
その後はお昼にいじめっ子にパシられてパンを買った事と、宿題を押し付けられたぐらいでその日は特になかった。
いつも通りに帰っていると、突然チョーカーの鈴がチリンチリンと鳴り始めた。学校では体育でバスケをしても音がならなかったのに…なぜ?
鈴の音が鳴ると静かにしていたるりが急に騒ぎだした。
「わぁ鈴がなってる!!近くに怪物が出たっぽいネ!」
「嘘…。」
周りを見ると昨日より少し小さな怪物が車を投げ飛ばしたりしていた。
るりと契約してから目が良くなった気がする。メガネ無しで遠くにいる怪物が見えるのだから
「今日も魔法少女として世界を救おウ☆」
「……」
私は昨日やったようにブローチを握りしめて魔法少女になれるように願った。
昨日のようにブローチから出た光が私の体を包み込んでいく。
段々と服が変わっていく、
地味なセーラー服が可愛いフリルの服に
地味な髪型が可愛らしくくくられた髪型に
手元には可愛らしいステッキがあった
昨日血まみれになったはずのステッキが綺麗な状態で出てくる。
光が消え変身し終わるとるりは私の肩に乗ると
「2人で世界を救おウ☆」
そう言ってるりは羽をパタパタさせていた。
私は足に力を入れて怪物の前まで走り出した。
投稿日 2023-02-01