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「ぐちつぼ次あれ取ってー」
「え、いやあれムズいやつじゃん」
「金出すからさ〜」
「いやその金ゲーセンのもんになるから俺の利益ないよ?」
「バレたか」
「バレるわ。つか後輩にそんなこと言うな」
「俺らの仲ですやーん」
「出会ったばっかなんよ」
「クッソ⋯」
今俺は、今日顔見知ったばかりの先輩ことらっだぁにUFOキャッチャーをやらされている。
らっだぁとは本当にさっき知り合っただけなんだが。
まあ俺はらっだぁよりUFOキャッチャー上手いんで?別にいいんですけどね?
金も無いし。
それに、この先輩を置いていく気にはなれなかった。
「はいこれ」
「えやった〜!やっぱお前天才?」
「当たり前?」
「それは知らん?」
「知らんのかい」
「知らんわ。てかそろそろ帰るか」
「確かに」
騒がしいゲーセンの外へ出れば、ひんやりとした風が心地良い。
らっだぁの羽織が、時々はためいて俺の足をくすぐる。
「あー楽しかった〜」
「送ってくよ」
「サンキュ。お前身長分けろ」
「今言うこと??あげないし」
「えぇ〜」
「何が『えぇ〜』だよ。お前にあげるほどの身長はないから」
「あ今お前って言った!先輩にお前って言ったー」
「タメ口で良いって言ったじゃんっ⋯」
たくさんの景品を抱えてくしゃっと笑うらっだぁ。
真っ白な腕は折れそうに細くて、こっちが不安になる。
「それ半分持つよ」
「ん、ありがと。いやー大漁すぎて困りますわ〜」
「誰が取ってやったと思ってるんだよ」
「ン?僕ですよ☆」
「違うよ???」
「あこれ持ってー」
「流れるようにスルーしてくじゃん」
「あとこれとこれとこれと」
「おい多いって」
「あとこれ」
「全部じゃねえか」
まぁまぁ、とそのまま押し付けられた荷物を持ち直す。
ふと、さっきの屋上の光景が蘇る。
鮮血が滴る腕。
止まない笑い声。
カッターが肌を切り裂く。
それでも”言われるがまま”立ち続けるらっだぁ。
それを見て知った。
俺はこのひとを、たぶん一生救えない。
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