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「…どんな方法でもよかったッ」
「なんでもいいから…大好きな人とキスがしたかった…ッ 」
「でも紫は憶えてないからッ…」
「…傷つけたならごめんねニコッ」
「ぁ、桃々!?走ったらッ!! 」
「…言い訳してんじゃねぇよ…」
俺は手で顔を隠してため息と同時にそういった
謝るなよ、お前はいつもそうだ。
昔から何も変わらなくて、
何かあったらいつも自己犠牲。
「…追いかけてくる」
そう言って立ち上がって赫、翠瑞ことを見るとニコニコしながら手を振っていた。
俺はそれに少し苛立ちながら外へ出た。
「桃ッ!!」
桃と黈の姿が見えて、俺は思わず桃を呼んだ。
振り返る桃の顔は泣いていた。
「…ごめん…」
俺が息を切らしながらそう謝ると、桃が驚いた顔をして言った。
「紫が謝ることなんて…」
「だったらそれはッ!!」
「…桃も一緒のはずだ…ッ、」
俺は桃の言葉を遮りそう言った。
事実、これは誰のせいでもないはずだから。
そう言うと桃が微笑んで、乾いた涙を手で拭っていた。
「…ありがとう。」
なぁ桃、お前は本当に居なくなるのか?
桃、本当に、それでいいのか?
そんなこと聞いてもきっと桃を傷つけてしまうかもしれない。なら…、
人の目なんて気にしなかった、
他人の意見なんて気にせず、現実を見ろ。
桃が俺にとって1番大事な存在だったと。
夜空が輝く街で2人の距離が縮まった。
微かなリップ音が聞こえた。
「…うぇ…~破廉恥やぁ~…」
「うっせぇな…ッ」
黈の言葉にそう返すと桃は頬を赤らめながらも、嬉しそうだった。
「…これはどういう意味…?」
そう嬉しそうに桃が聞くので、
「…好きだよ。」
そう言い返した。
桃が満面の笑顔で言った。
「俺もッ!」
その笑顔に嘘も悲しみも苦しみも感じなかった
でもそれで桃を救えたわけではない。
「…俺、桃を失うことは嫌だ、」
そう言うと桃が変わらない笑顔で、
「失わないよ、離れたりしないし。」
そう言うがその変わらない笑顔は、
いつもの得意の演技だと俺にはわかる。
桃といた時間も、桃を想っていた時間も、全部、他の誰よりも強いものである。
「…なぁ桃、消えていなくなったりしない?」
「だから…。」
紫がもう一度聞くと桃が呆れたように言おうとしたが桃が吹き出して笑った。
「心配しすぎ~ッ!!」
桃がケラケラと笑いながら話す、
その笑顔に黈も俺も戸惑ったが釣られて笑いだした。そんな時間が好きだった。
桃。
お前はやっぱり凄いやつだ。
周りをここまで笑顔にする才能があるから。