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耀聖(ようせい)
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耀聖(ようせい)
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ルナ帝国、中部街の東側を守護するイーヴェル家の屋敷で、女公爵のエルミナは執事長を連れて廊下を歩いていた。
「うちの馬鹿息子は、また姿を消したようだな。今回はオスカーを無断で連れてきおって。本来なら、私の仕事を補佐しなければならない立場なのだが」
「ギルベルト様達と行動を共にしていたようですが…、申し訳ございません」
「お前が謝る必要はどこにもないだろ、ヴィオレットの専属執事なのだからな。ヴィオレットは占いの部屋か」
「はい、どうやら水晶に何か写ったらしくて」
「ふむ」
エルミナはオスカーと話をしながら黒色の扉の前で足を止め、コンコンッと数回ノックをしてから扉を開ける。
部屋の中は数本の蠟燭の火で灯され、薬草の匂いが漂う中で黒いローブを頭から被ったヴィオレットがテーブルの上にタロットカードを並べていく。
大アルカナである恋人の正位置、ワンドの5の正位置、運命の輪の正位置が並べられており、恋人と運命の輪はタロットカードで【出会い】の意味を強く持つ代表的なカードである。
「あら、お母様。いらしてたんですね」
「誰の運命が動き出したんだ?ヴィオレット」
「バンビちゃんの運命が再び動き出しましたわ、こちらの世界に数人の男達が来たとカードが言っております」
「お前が言っていた近い未来に起きる出来事の1つか、私はもう1つの方を聞きに来た。私とお前の占いの結果が出たのか確かめたい」
「分かりました」
エルミナの言葉を聞いたヴィオレットは、テーブルに並べてあったカードを回収し、全てのカードを手元に集めてシャッフルをすると3枚のカードが飛び出した。
飛び出して来たカードはソードの騎士の逆位置、ソードのキングの逆位置、ソードの7の正位置。
ソードの騎士のキーワードは【果敢】、逆位置では一方的な主張で喧嘩になる、他人とぶつかるなど無用なトラブルを意味し。
ソードのキングのキーワードは【厳格さ】、逆位置では独裁者、残酷な言動、戦いを仕掛けるなどのを意味し、キングは王を意味し。
ソードの7のキーワードは【裏切り】、正位置では胡散臭い人、悪事に手を出す、悪い評判が立つなどを意味し、この3つのカードを合わせ読むとこうなる。
【近い未来、皇帝は更に悪事に手を出し、悪い評判がさらに立つ事になる上に、独裁者となった彼に誰かが果敢に戦いを仕掛けて来る。それは、皇帝にとって足をすくわれる出来事となると】
ヴィオレットは占いの結果をエルミナに話すと、エルミナは悪い顔をしながら口を開く。
「ほう、内容は同じだが面白いな。占い手によって飛び出してくるカードも解釈の仕方も違う。だが、ランスロットも同じような結果が出て、どこかに行ったのだろう」
「皇帝に勝負を仕掛けて来る者は、皇帝にとって脅威になる相手。お母様は、その相手が誰なのかも分かっているのでしょう?」
「お前にも話しておきたい所だが、それはランスロットが戻ってからにしよう。奴が何を調べているのか想像がつく」
「お兄様は面白うそうな事にしか興味を引きませんが、今回は少し違いますね。もっと、大きな事に手を出し始めているとような」
タロットカードを片付けながらヴィオレットが呟くと、コンコンッと窓が叩かれる音がし、執事長がカーテンを開けると宮廷の連絡鳥が止まっていた。
執事長はすぐに窓を開け、首から下げられた紐付きの手紙を受け取りエルミナに渡す。
ペーパーナイフで手紙を開封し、内容を一通り読んだ
エルミナは「ほう、こう来たか」と呟いてヴィオレットに渡した。
「どうやら、お前宛てのようだ」
「宮廷が私に?お母様じゃなくって?」
ヴィオレットは不思議に思いながら渡された手紙に目を通し、母エルミナと同じような笑みを浮かべる。
「お母様、現皇帝達は光の姫の存在をお披露目する気ですわね。光の姫の為のお披露目会の招待状を、私に送って来た…。きっと、皇太子の策略ですわね」
「バンビへの執着心は誠に恐ろしい、皇帝に叱られるだけでは奴は止まらなかったか。ヴィオレット、バンビの所に行くのだろう?恐らく、そこにギルベルトも居るだろう。お披露目会の事を奴の耳にいれておけ」
「幼少期から彼の事を近くで見てきましたけど。バンビちゃんと出会ってから、一瞬でバンビちゃんの色に染まって、変貌っぷりが面白くて仕方ないですわ。馬車の用意を出来るかしら」
「かしこまりました、お嬢様」
執事長はエルミナとヴィオレットの2人に頭を下げから部屋を出て行き、ヴィオレットはエルミナの方を向いて話し出す。
「お母様、今日はどこかに出掛ける予定はあります?」
「珍しいな、お前が私の予定を聞いてくるとは。今日は久しぶりの休暇を楽しむところだ」
「あら、それなら好都合です。今日、男4人を連れて帰ってきますわ。お母様も興味を引く男達ですよ」
そう言って、ヴィオレットはエルミナに向かって微笑んだ。
***
甘野芣婭 (17歳)
ドサドサドサッ!!!
「「グヘッ⁉」」
目の前に現れたのは翔ちゃんだけじゃなくて、透雅君も喜一君も浩平君も現れて、コンラットとニック、レヴァさんは床に転がった3人に剣を向ける。
「お前達、何者だ。空間魔法を使って、ここに来たのか」
「はぁ⁉ちょっ、ちょっと待てよ!!!この状況は何⁉どうなってんの⁉つか、ここどこだよ!!!」
「うるせーって!!!耳元で騒ぐなよ、喜一!!!」
コンラットの言葉が聞こえていないのか、喜一君と浩平君の2人は騒ぎ、透雅君は状況を把握したのか冷静に両手を上げた。
「俺達もこんな事になって、混乱してます。さっきまで芣婭ちゃんと通話してたのに、いきなりスマホが光って、気付いたらここに居たんですよ」
「おい!あそこにいるの芣婭ちゃんじゃないか⁉」
「マジかよ⁉ほんとにいんじゃん!!!異世界に来たって、マジだったんだな!」
「お前等、少し黙ってろ…」
芣婭の姿を見た喜一君と浩平君がまた騒ぎ出し、透雅君は溜息交じり言葉を吐く。
「「…」」
ギル君と翔ちゃんの間に重苦しい空気が流れ、芣婭の手首を掴んでいる翔ちゃんの手をギル君が掴み、むちゃくちゃゆっくり手を下ろす。
ちょっと待って、マジで待って!!!
この状況、マジでなに。
は、え、は、え、は、え、はえ?
まさか、このスマホの中から翔ちゃん達が出て来たって事だよねぇ?
だって、ピカーッと光った後に、目の前に翔ちゃん達が目の前に現れて、普通に言っちゃったけど異世界トリップしてきた事だよね。
はー、ちょっと待ってよぉ。
そんな簡単に異世界に行けるもんなんですか⁉それですぐに帰れるものなんですか⁉
「お前が芣婭の元カレか」
「そうだけど、アンタが今カレか」
「芣婭に気安く触るな、元カレとやら」
「あ?テメェ、今なんつった」
「「「ひええええっ!!!」」」
ギル君と翔ちゃんの2人は短い会話を交わしただけで、ニックと喜一君と浩平君の3人の声が重なる。
視界が急にぐにゃと歪み始め、ジェットコースターに乗ってる時みたいに頭の中が揺れ、背中からベットに倒れ込んでしまった。
ドサッ。
「芣婭⁉って鼻血が⁉」
「ミラ!!!」
「すぐに診察しますっ!」
慌てて側に寄ったベロちゃんが顔を真っ青にして叫ぶと、ギル君はミー君の方に視線を向けて大声で呼び、ミー君が慌てて飛んでくる。
どうやら、芣婭の頭がキャパオーバーしてしまったようです。
ミー君の診察を受けてから15分程が立ち、芣婭の額に氷嚢が置かれ、ベットに横になるとミー君が声をかけてきた。
「体温38℃、高めですね。魔力消費による疲労ですが、様子見で1週間は安静にして下さい。解熱剤と疲労回復の薬も出しておきますね」
「ありがとぉ、ミー君」
猫の姿になったケロちゃんとベロちゃんの頭を撫でていると、ミー君が聞きずらそうな顔をして口を開く。
「芣婭様、今はギルベルト様達は席を外しているので聞きたい事があるのですが…、宜しいですか?」
「ん?なぁに?」
「背中を気にしている素振りがあったのですか、傷があるのではないかと思いまして」
「ミー君はお医者さんだから、よく見てるなぁ。うん、火傷の傷があるよ」
「宜しければ、その傷のも診察させていただけませんか?回復魔法で治せるものかもしれなせんから」
そうか、魔法で治せるかもしれないんだよね。
ミー君に言われてるまで、魔法の存在を忘れてたよ。
「じゃあ、診てもらった方がいいよね」
「体を起こしますね」
額に乗せられた氷嚢をテーブルの上に置くと、ミー君が優しく体を抱き起してくれた後に丸眼鏡をかける。
「背中を僕の方に向けてもらって…、はい、このままで、カーディガンを脱がさせていただきますね」
「おい、変な事すんなよ」
「変な事しないで下さいよ」
「なっ⁉変な事なんかしませんよ⁉」
「ふふっ」
ベロちゃんとケロちゃん、ミー君の3人の会話を聞いていたら、思わず笑いが零れてしまう。
「本当に気持ち悪いからね?引かないでね?」
「僕は医者ですから、もっと酷い傷を診てきましたよ?内臓が傷口から出てしまってる者もいましたから」
「へ⁉な、内臓⁉内臓って、そんな簡単に出てくるものなの?」
「鋭利な刃物で切られれば、出てきますよ」
「ひええ…」
そんなのグロ漫画とかグロ映画でしか見た事ないよぉ、異世界って恐ろし。
「…」
ミー君が静かになったな、背中の火傷の傷の診察が始まったのかな。
「すみませんが、少し触れても?」
「うん、大丈夫だよ」
「ありがとうございます、痛みを感じたらすぐに言ってくださいね」
「はーい」
芣婭の返事を聞いたから触ってるのかなって思ったけど、触られてる感覚がしないので不思議に思ったので聞いてみた。
「あれ?ミー君、触ってる?」
「…」
「おーい、ミー君?」
何回もミー君の名前を呼んだけど、返事がない。
あ、診察してるんだから大人しくてないといけないよね。
病院でも診察中に患者さんって、べらべら喋ってないと思うし、ここは大人しく待ってようかな。
***
ミラが甘野芣婭の診察をしている中、廊下ではギルベルトと三浦翔太朗が睨み合っていた。
重苦しい空気が2人の間に流れ、ニックと木下喜一と水島浩平の3人は額から冷汗が溢れ出る。
「この空気の中いるの、しんどいんだけど…」
「それは俺も同感だけど、ここってマジで異世界なんだよな?俺等、どうやって帰れんの?」
木下喜一と水島浩平の会話を聞いた曾田透雅は、近くにいたコンラットに視線を向けて声をけた。
「あの、ここは日本ではないんですよね?」
「あぁ、前達がいるのはルナ帝国だ。先に行っておくと、日本とやらに帰る方法は今は見つかってない。だから調子の悪い芣婭の前で、大声を出して騒ぐな」
カチャッ。
コンラットはそう言って、木下喜一と水島浩平に腰に下げた剣に触れながら視線を向けると、2人は慌てて口を押さえる。
三浦翔太朗と曾田透雅は、ギルベルトや騎士服を着ているコンラット達の腰に下げられている剣に視線を落とす。
ギルベルトは改めて、甘野芣婭と同じ世界から来た住人達の顔を見つめ、三浦翔太朗と曾田透雅の2人は自然と目が行き、こんな事を考えていた。
【この2人は、騎士になれる素質がある。コンラットの達の中で誰が1番強く、誰がリーダーなのかを視線だけで探している。本能か直感のどちらかで、2人の視線はコンラットに向けられた】
カーディアック家専属騎士団【黒騎士団】に騎士達は、オルタニアとギルベルトが自ら声を掛けた者も複数人おり、今の隊の隊長達がまさにそうだ。
騎士団を結成した者としては、見込みのある者は騎士団に迎え入れ、鍛えあげたいと思ってしまう。
「帰る方法がないって、じゃあ俺達はこれからどうしたら良いわけ?」
「お前等が帰れるように方法は探してやる」
「さがしてやるって、翔太朗は帰らないって聞こえるんだけど…。まさか帰らない気なのか⁉」
「喜一や浩平はよ、普通に親と仲が良いだろ。俺は疎遠になってるし、日本に帰っても帰らなくても誰も困らないしな。透雅は事故で親をなくしてる、けどお前の事も日本に帰す」
三浦翔太朗の言葉を聞いた木下喜一は、何て言って良いのか分からなくなり、言葉が中々出てこない。
「何故、貴方はこちらに残る気なんですか?この国で何かしたい事があるのなら分かりますが、何もないでしょう?」
「甘野冬馬を探し出す、それが俺のやりたい事だ」
「甘野冬馬?甘野って、まさか芣婭様の兄上の事ですか?」
「俺と芣婭が別れる原因を作った甘野冬馬は、日本では河邉菜穂と行方不明になってる。異世界に来た時、ピンッと来たんだよ。その2人も異世界に来てるかもしれないって」
「おいおい、別れた原因の兄貴を捕まえて何をする気だ?悪いけど、芣婭ちゃんはこちらのギルベルト様と交際してる」
レヴァリオと三浦翔太朗の会話を聞いていたニックは、ギルベルトに視線を向けながら言葉を吐く。
【甘野冬馬】と言うワードを聞いたコンラットの表情が一瞬,険しくなったのをシエサは見逃さなかった。
「アンタ、ギルベルトって言うのか。申し訳ないが、俺は今でも芣婭の事を好きだ、諦めきれてねぇ」
「お前っ、命知らずにも程があるぞ⁉」
「ニックス、下がってろ。名前はなんて言うんだ?元カレとやら」
自分の前に出たニックスを後ろに下がらせ、ギルベルトは三浦翔太朗の前に出てると、曾田透雅も三浦翔太朗の事を庇うように立つ。
その姿を見たギルベルトとコンラットは、やはりこの2人は騎士の素質があると心の中で思っていた。
「三浦翔太朗だ、俺の前にいるのは曾田透雅。喧嘩なら俺1人で買うぜ」
「翔太朗、お前は後悔してんだろ?お前達が別れたのには、他に理由がなかったと言い切れるのか」
「…」
「翔太朗…」
ギルベルトの言葉を聞いて口籠る三浦翔太朗を見た曾田透雅の表情が曇る中、診察中のミラに甘野芣婭の言葉が耳に入っていなかった、何故なら背中の傷は単なる火傷の傷ではなかったからだ。
赤く腫れあがった皮膚に憎悪に満ちた女の顔が浮き上がり、女の顔を囲うように赤色の見た事のない文字が描かれ、心臓の鼓動のように動いていた。
これが呪いだと言う事はすぐに分かったが、なんの呪いなのか分からない。
謎の痣の部分にミラは触れているのに、甘野芣婭は触れられている感覚がしていないのは、痣の部分が感覚麻痺を起こしているから。
【命を奪う呪いだったら、早急にギルベルト様に報告しなければならない。この呪いはどの医学書にも載ってはいない、載っていないと言う事は治療方法を載っていないと言う事】
この事を甘野芣婭本人に言わなければならない、魔法医師として。
ケロちゃんとベロちゃんの目が合い、ケルベロスの2匹にもこの謎の呪いの事を話さければならないと決心し、ミラは甘野芣婭の名前を呼んだ。
「芣婭様」
「あ、喋って良い感じ?傷触ってないんだね?触られた感覚がしないからさ」
「いえ、今も傷に触れています。傷の部分が感覚麻痺を起こしているからでしょう」
「感覚麻痺?」
「魔法医師として、診察結果をお伝え致します。これは呪いでございます、しかも医療書には載っていない呪いです」
ミラの言葉を聞いた甘野芣婭とケルベロスの2匹は、驚きのあまり固まってしまう。
まさか、この火傷の傷が呪いだとは、流石の3人も思ってもいなかったからだ。
「呪いって、あの呪い?」
「芣婭様が想像している呪いで合っています、普通の回復魔法では治療は出来ません」
「おい、お前は医者だろ⁉何、淡々と語ってんだ⁉」
ベロちゃんは強い口調でミラの事を責め立て時、騒ぎを聞きつけたギルベルト達が部屋の中に入って来た。
***
甘野芣婭 (17歳)
バンッと少し乱暴に扉が開かれ、中に入って来たギル君がベロちゃんに声をかける。
「ケルベロスの大声が聞こえたが、何かあったのか」
「ギルベルト!お前の所の医者はどうなってんだ⁉」
「何だ、いきなり」
「コイツ、芣婭の背中を見て呪いだって言いやがってよ。しかも、その呪いを治せねーってさ」
「呪い?」
ベロちゃんの話を聞いたギル君は、芣婭に視線を向けた後にミー君に視線を向けた。
ミー君は芣婭に説明したように、ギル君達の顔を見ながら診察結果をみんなに伝える。
「え⁉芣婭ちゃんが呪いにかかってる⁉それって、命に関わる呪いじゃないんだよな?お前の魔法で治せねーのか」
「ちょっと待てよ」
ニックがミー君に詰め寄る中、翔ちゃんの口から言葉が零れ落ちた。
「芣婭が呪いにかかってる?背中の傷は火傷のだろ?それがどうして呪いになってるんだ」
「火傷?」
「あっ、悪い芣婭」
ギル君に声をかけられて、ハッとした翔ちゃんは芣婭の顔を見てばつの悪そうな顔をする。
翔ちゃんに見られた時も中々言いづらくって、説明するのに時間がかかったけど、今は違う。
傷じゃなくて、これが呪いだって言うなら気味悪がられないし。
なによりギル君達は絶対に芣婭の事を嫌ったりしないって、そう思えるようになったのはギル君が芣婭の事を愛してくれるから。
「あのね、ギル君。みんなにも聞いてくれる?」
芣婭がそう言うとギル君とコンラット達は軽く頷き、それは透雅君達も同じように芣婭が話し出すのを待ってくれている。
ケロちゃんとベロちゃんの2人も、芣婭の事を安心させるように近くに来て寄り添ってくれた。
「背中にね、芣婭が小さい頃にね?お母さんに熱湯をかけられて出来た火傷の傷があるの。その傷が結構、酷くてさ?今でも時々、思い出す事があって…。でも、まさか火傷の傷が呪いだったとは…、聞いて驚きなんだけど」
「あの時の傷が」
「え?コンラット、なんて言った?うまく聞き取れなかったんだけど」
「い、いやっ、何でもない」
コンラットが何か言ったような気がして聞き返したんだけど、教えてくれなかった。
だけど、これ以上は聞いたらいけないような気がして、コンラットがすっごく悲しそうな顔をしているから。
「ギルベルト様、芣婭様の呪いを一度、エスポワールの魔法医師機関で働いている医者達に見せるべきです」
「魔法医師機関?」
「えぇ、様々な呪いや病気などの研究をしている機関です。隣国のエスポワールは医療に力を入れている国です。芣婭様がいらっしゃる前ですが、ギルベルト様の呪いを魔法医師機関の中でも、名医であるシュシュ様に診てもらった事があります」
「シュシュ?可愛い名前のお医者さんなんだね」
「その医者に診せたら、芣婭呪いは解けるのか」
ミー君と話していると、翔ちゃんが食い気味に話しに割って入ってくる。
「今は断定的に言えませんが、呪いを解く手がかりは見つかると思います」
「そのエスポワールって所に行くぞ」
「え?ちょっと待って下さい、芣婭様は熱があります。それに、1週間は安静にしていただかないと」
「チッ」
「ちょっと待って?翔ちゃん達は帰らないの?あ、帰る方法がないんだった」
なんか、翔ちゃんも参加するみたいな流れになってるんですけど⁉
異世界に来ちゃった以上、帰る方法を早く見つけないといけなくなってきたんじゃないの?これ。
「翔太朗は芣婭の兄貴と友人を見つけるまで、帰るつもりはないらしい」
ギルベルト君が翔ちゃんの事を翔太朗って呼んだ事も驚きだけど…。
「え?お兄ちゃんと菜穂が異世界に来てるって事?えええ⁉」
「芣婭が診察を受けている間、コイツと話していたんだよ。芣婭がいなくなったあの日、殺人事件が起きた
日に河邉菜穂は芣婭の家に行っていたんだ」
「へ?」
「浩平の先輩の現場が芣婭の家の近くで、河邉菜穂が芣婭の家に行った後に甘野斗真と一緒に行方不明になってる。俺は芣婭の無実を証明したい、その為に俺は帰るつもりはない」
お兄ちゃんと菜穂が、お母さんとお父さんの事を殺した事に関係してるって事だよね?この流れは。
でも、事件の真相も知らないといけないし、菜穂とも
ちゃんと話をした方が良いよね。
ずっと、菜穂に言えなかった事も言いたい。
「俺も翔太朗と一緒で帰る気はないよ、相棒だからね。もちろん、俺も芣婭ちゃんの無実を証明したいから」
「透雅君…」
「おいおい、俺達も解決するまで残るっての!な?喜一」
「そうそう、浩平の言う通り。異世界に来れるなんて滅多にないだろ?この状況をたのしまねーとな!」
「あらあら、やっぱり来て正解だったわね」
声のした方に視線を向けると、部屋の入り口に立っていたのは、ゴージャスな格好をしたヴィちゃんだった。
コメント
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うわああ今回も激アツ展開すぎた😭💕!翔ちゃん達がまさかスマホから飛び出して異世界トリップしてくるとは思わなかったし、ギル君との睨み合いがもうヤバすぎてドキドキが止まらん…!!そしてまさか背中の火傷の傷が呪いだったなんて衝撃すぎるよ…😱💦コンラットの反応も気になるし、お兄ちゃんの真相も明らかになりそうで続きが待ちきれない!!次話も楽しみにしてるね⋆♡