テラーノベル
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Latteは、自室のベッドでぼうっとしていた。
物があまりにもない部屋は、Latteに渦巻く嫌な感情をなるべく思い出せまいとしてくれるからだ。
_精神を病む者は、部屋も汚れているという_Latteはそれ信じ、鉛見たく、酷く重い身体を起こし _自室を10日ほどかけて片付けたのだ。
「…」
声を発する訳でもなく、ただ小さな息の音がLatteの脳に響く。
_もう慣れたことだ。
ずっとぼうっとして、コンビニで買った適当な飯を食べ、ぼうっとして、眠る。
「…んぅ、」
Latteは眠ろうとしていた。
現実から、逃げるためだろうか。
どこにも安寧のない、そんな世界から離れたいとLatteは考えたことが_何度もある。
_眠っている間だけは、楽しそうな夢を見れる。
_幼い子供と、草の上で寝転んで、無限に広がる青空をただ眺め、ただ話す_。
そんな、平和でやさしい夢だ。
(…こうしているうちだけは……全部忘れたっていいんだから…)
Latteはゆっくりと、闇に包まれるみたいに目を閉じ、意識をゆっくり、ゆっくりと落としていった…。
_目を覚ますと、綺麗すぎる 青空が広がっているのだから、なんとも面白く幸せなのだろう。
揺れる草木があまりにもやわらかくて、少し冷たい。
隣で眠る少女の声もはっきりと聞き取れるが、誰の声なのか全くと言っていいほど分からない。
きっと見知らぬ誰かなのだろう_Latteはそう考える。
ずっとこのままがいいな、なんて何度も思った、だがいつの間にか意識は現実に引き戻されるのだ。
_嗚呼、どうしてこんなにも現実は苦しいのだろう。
どこにも逃げ場はなくて、短時間しか見れない夢という角砂糖に縋るしかなかったのだ。
なんて皮肉だ…?
ラテは甘いものだ、それなのにLatteを襲う現実は、ブラックコーヒーのように甘くはなく、苦くて苦くてしょうがないものだ。
探し求めている記憶も、現実の逃げ場も、どこにだってない。
整頓された部屋に陽が当たるが、それは篭もりっきりのLatteを癒すものではなかった。
ただ残酷に、静寂に1つの色を与えただけだ。
_夢だって、そこまでいいものではない。
少女を指す名を口にしようとしたら、隣に眠る少女に雷が当たって、何もかも聞こえなくなって、最後には空へ引っ張られて目が覚める。
いつからか、名前を言おうとするのはやめてしまった。
そうしたら、幸せに目を覚ますことができる。
_そうしたら、何も思い出せないけれど。
でもきっと、見知らぬ人だからいいのだ。
思い出さなくったって、きっといいのだ。
_何度もそう言い聞かせた。
眠れもしないのに、縛り付けられたみたいにベッドから出られない自分が、あまりにも惨めだった。
(…どうしたらいいんだろ)
Latteは、ずっと考え続けた。
安寧も何も無い腐った世界で、それを得る方法を_
____
「……」
無駄だ、だが無駄だ。
考えたってなにも出やしない。
底のないコップに水が入らないのと同じように、今のLatteにそれを考える術はない。
どうしてだろう、どうして考えても出てこないのだろう。
「…」
ゆっくり、目を閉じる。
___それが救いだから。
神がいれば、どれほど良かっただろう?
(…神はいないよ。)
(居たとして、とうの昔にタヒんだ。)
(もし生きているなら、こんな私を…救うか、殺すかくらいしてくれるはずだから…。)
_いつからだっけ、神を信じるということが罪という風潮ができたのは。
_いつからだっけ
____
「…椎名から?」
レイマリは呟くと、ゆっくりと文字を目でなぞる。
『…レイラーさんと会ってみたいんです、なにかツテはありませんか?』
「…レイラー…か。」
レイマリは思い出したかのように、窓に目をやる。
遠くで微かに光る星を眺め呟いた。
「…そういえば、イロニアだっけ?」
「先代の人とは昔…少し話したけど…第2戦争が始まってからは、全く関わってないかも。」
レイマリはため息をついた。
「…あーいや、当たり前か。」
「私はタヒんだんだよ、そうだ。」
自分に言い聞かせるように、呟いた。
当たり前のことすら少し抜けそうなことに嫌気がさす。
__椎名の身体を借りているとはいえ、何年もそうやって生きることが当たり前になっていたのだ、無理もないのかもしれない。
「…まぁ…探してみるか、ちょっとくらい。」
「…書いておこうかな。」
「椎名にはずっと苦しませてしまった、何年かけてでも私がここから抜け出さないといけない、そして償わないと…。」
レイマリはそう言って、筆を走らせた。
もう、声はあまり気にならなくなった。
_自分に、向き合ったからだろうか?
椎名に、謝れたからだろうか?
__もう気にならないのなら、人を助ける必要もないと、睡眠だけをとにかく取ろうとした。
_苦しんできた椎名のためにだ。
「…今日は…久しぶりに体張るかぁ。」
伸びをして、立ち上がる。
そして、”椎名の部屋“を出ていった。
___
「…んぅ…」
椎名は、最近よりか重い身体をゆっくりと起こす。
今日は休日だ。
椎名はノートに目を通した。
『椎名へ』
『まず、レイラーって人とは関わったことがない。』
『けど、レイラーが属してる財閥の先代の人と関わったことがあるから、その人を探してみる。』
『けど、椎名の身体の負担を考えて、休日とその1日前しかできないことはわかって欲しい』
「…!良かったぁ…。」
_椎名は、それを見て目を輝かせた。
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