テラーノベル
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大介は多忙が続いてる
俺も人のことは言えないけど、ここ数日は少し落ち着いていた
そんな状況でも、まぁなんとか連絡を取り合って、スキマ時間で会う日々が続いていた
昨夜、一通りの仕事を終えてやってきた彼は、珍しく俺の隣でウトウトしていた
「佐久間くん、もう泊まってくよね? この状態でちゃんと帰れないでしょ」
『んぅ・・・』
半分、夢うつつ状態になっている彼を、愛犬も不安そうに見ている
いつもならウザいほどにかまってくれるのに、手が止まっているのが不思議なんだろう
「ほら寝る前に、お風呂いれてるから入って」
『う・・・ん・・・』
ノロノロと立ち上がった彼を支えて、バスルームに連れて行った
さすがに家のバスタブじゃ、風呂友をするわけにはいかない
おぼつかない手つきでも、なんとか服を脱いでるから、まぁ大丈夫かと思って扉を閉めた
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大介が風呂に行ってから、30分以上経ってる
最初はシャワーの音とかしてたけど、今は物音がしない
まさか、沈んでないよね!?
「佐久間くん!!」
急いで扉を開けると、バスタブに浸かったまま、フチにもたれかかった状態で寝ていた
肩が動いてて、ちゃんと息をしているのがわかったから、ホッとした
でも、このままにはできない
「起きて、佐久間くん。風邪ひくから」
『・・・う・・・んぅ・・・』
濡れたピンクの髪から、ポタポタと冷めたお湯の滴が落ちる
自分も濡れるけど、そんなことはかまってられない
どうにかバスタブから彼を引き上げて、バスタオルで包み込む
「もうちょっとだけ、頑張って・・・」
自分より体格が小さいとはいえ、体に力が入ってない成人男性を抱えるのはキツい
ベッドルームがバスルームに近いのが、まだ救いだった
身体にタオルを巻いた彼をベッドに傾れ込むように運び込み、うつ伏せにして俺の太ももに頭を預けた状態で、濡れた髪をドライヤーで乾かす
なんか子供みたい
普段、かまって屋さんではあるけれど、こんな風に人に世話を焼かせるような行動はない
どちらかというと世話を焼いてもらってるのは俺だ
そこは先輩だとか、年上というプライドなのかもしれない
こんな状態の大介を見るのは、初めてだった
なんだか甘えてくれてるようで、可愛い
今日は、相当お疲れだったんだな・・・
瞼はもう閉じられたまま、やがて規則正しい寝息も聞こえてきて、もう彼は夢の中に行ってしまった
明日は大介もオフだって言ってたから、ゆっくり休ませてあげよう
「・・・おやすみ、大介」
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朝が来て、目を開けたら、大介がぼーっと俺を見つめていた
目が覚めたら、最初に見るのが好きな人って、いいな
そう思いながら、手を伸ばして、昨夜のことを思い出して髪を撫でてみた
「すごく可愛かった」
大介は困惑した顔で俯いた
昨日のこと、覚えてないかな?
まぁ、覚えてたらちょっとマズイこともあるから、それ以上は言わないでおこう
大介は無言のまま身支度をして、家に帰って行った
やっぱり下敷きになったまま一晩過ごすのは、ちょっとしんどかったな・・・
背中が変に筋肉痛を起こし始めているようだから、久々のオフは家でのんびり過ごすことに決めた
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愛犬と戯れていると、スマホが鳴った
“ もう一回そっちに行ってもいい? ”
大介からのメッセージ
忘れ物でもあったのだろうか?
断る理由はないので、「OK」のスタンプを1つ送る
空がほぼ暗くなってから、彼はやってきた
『・・・聞きたいことと、言いたいことがあって』
何かを決めたような目で、こちらを見る
一瞬、戸惑ったが、玄関先で話す雰囲気ではないので、上がってもらうことにした
聞きたいことは、なんとなくわかる
でも、言いたいことってなんだろう・・・?
『あのさ・・・、オレ、昨日って・・・』
そうだよね、まずはあの状態になっていたこと、聞きたいよね
でも覚えてなくて、ちょっとホッとしてる
「あ、やっぱり覚えてない?」
どこまで教えようかな、と、ちょっとイタズラなことも言いたくなって、苦笑いをしながら話してあげた
「昨夜の佐久間くん、すごく疲れてて、お風呂で寝ちゃったんだよ」
『え・・・・・・』
「なんとかベッドには運んだんだけど、服とか着せれないから、タオルだけ巻いたんだ」
『おぉ・・・ぉ・・・?』
「それからベッドで髪乾かしてる時、いつのまにか俺のシャツ握ってるから、動けなかったの」
『そ、それで、オレはお前の上に・・・?』
「そう」
そこまで言うと、大介は真っ赤な顔でジャンピング土下座をしそうな勢いで謝ってきた
『ごごごごごごごっ、ごめん!!!!!!!!!!』
「今日、オフじゃなかったら、たぶん蹴り飛ばして逃げてたかも」
それは嘘だけど
仕事だったとしても、きっと大介を乗せたまま寝てたと思う
『いや、そうしてくれよ!!!』
「大介にそんなことできるわけないじゃん・・・、ってか、なに想像してた?」
俺の心の片隅から、悪戯な天使が顔を覗かせてると思う
まぁ、たぶん想像してたことなんて、一つしかないだろうけど
『え・・・・・・』
大介の顔が真っ赤から真っ青へと忙しい
その様子が面白くて、ニヤッとしながら大介に近づいてみた
「やらしいね、大介」
『ちちちちちちち、ちがっ、違う!!!!!!!!』
顔がちぎれるんじゃないかと思うくらい、首を振って否定する
わかりやすい嘘だなぁ、と思って、さらに畳み掛けてみた
「普通は思うよね。タオルあったとはいえ、起きたら俺の上で裸だし。どう考えても、ヤっ・・・」
『うがーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』
あ、ちょっとイジメ過ぎた
少し涙目っぽく、懇願するような顔で、全力で俺の口を塞ぎにきた
『蓮、もう勘弁して!!!お願い!!!!』
「あははは」
なんでこんなに可愛いんだろう、この人
やっぱり欲しい、大介が
俺の口を塞いだ手を掴んで、身体を引き寄せた
『あっ・・・』
「で、聞きたいことは終わった? 次に言いたいことは?」
そろそろ本当に大介の気持ちが知りたい
もうこのまま、カナダなんて行けないよ
好きでも、嫌いでも、なんでも言って欲しい
口ごもって背けた大介の顔を、優しく手を添えて自分に向ける
「こっち見てよ、大介」
言いたいこと、ちゃんと俺を見て言ってよ
俺はずっと待ってるんだから
「さすがに、寝込みを襲ったりするようなことはしないよ。でもそろそろ、俺の理性は崩れそうなんだけど」
そう告げると、大介は小さくハッとした表情になった
昨夜は本当にヤバかった
というか、もう崩れかかってる
「大介としたいっていう気持ちは、ずっとあるから」
失いたくなくて、あれから優しく大切に触れてきたけど
本当の俺のこと、知ってほしい
幻滅してくれてもいいよ
「でも大介がその気にならないと、俺もイヤだからね」
これが俺の一番の望み
でも大介にその気がなくても、今、無理矢理にでも抱きたい
湧き上がってくる欲望を押さえ込みすぎて、苦しくて、痛い
目の前に獲物がいて、捕まえて食べたくなる気持ちがわかる
『オレは・・・蓮が・・・』
それでも大介の言葉の続きを聞くのが怖くて、思わず目を瞑りたくなる
俺を見てと言いながら、自分が一番怖くて仕方ない
『蓮が好きだよ』
『好きだから、蓮と一緒に先に進みたい』
・・・・・・・・・・あ
大介の言葉が、最後まで聞こえなかった
無意識に手が出て、大介を潰す勢いで抱きしめた
やっと、やっと捕まえた
思わず涙が出そうになるけれど、これは見られたくない
だからこの涙が乾くまで、少しだけ待ってて
身動きを許さないように抱きしめ続けても、大介は受けとめてくれた
答えはわかってるけど、言っておこう
「この先いったら、もう戻れないからね」
あの時、大介が点けた導火線は爆発寸前
明日は仕事なんだけどなぁ・・・と、ちょっと頭によぎったけど、たぶんすぐに忘れる
抱きしめた腕を少し緩めて、大介の顔を見たら「望むところだ」といった視線が返ってきた
昨夜できなかったこと、全部やろう
一分一秒でも今は惜しい
大介の身体を抱えて、リビングを後にした
#めめさく
ゆんしょ
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