【音色視点】
俺には、気になるヤツがいる。
同じ委員会の、藤乃美優(ふじの みゆう)というヤツ。
藤乃は、知れば知るほど不思議なやつだった。
「まったく、またお前は」
あぁ、うるせぇ、どいつもこいつも、
通知表を見て、俺に文句を言ってくる親父。
…別に、悪くねぇだろ、
でも、そう言ったら必ず「下を見るな上を見ろ」なんか言ってくるんだろうな。
俺は嫌気がして家を出た。
俺は、比較的兄弟の中で1番出来の悪いヤツだって言われている。
3つ子のはずなのにな…
二卵性双生児だから、しょうがねぇのかな、
考え事してるうちに図書館に着いた。
たまには寄ろうかな、
図書館に入ると、人は少ないけれど驚くほどの本があった。
すげぇ、
俺は男子ながらも恋愛系の小説が好き。逆ハーとかではなくて、感動系の。
俺は心を動かされた気がするんだ。
良さそげな本あるかな、
カウンターを見ると、女の人が2人、男の人が1人だ。
借りるのはやめよ。
恋愛系の小説が好きだと思われたくないからな、
恋愛系の本が置いてある場所に着いた。
ふーん、結構面白そ…
2冊ほど気になる本をとって近くの席に座る。
そういえば、人少ないな、
周りを見渡すと、利用者は子連れの親子と、近くに女子中学生…らしき人、そして俺。
人が少なくて助かる…
1時間くらい経った頃、中学生の人がこちらへ歩いてきた。
マズイっ
俺はずぐに本を閉じ隠した。
「あっ、すみませんっ、ぶつかりましたか?」
「あ、いや、」
俺はできるだけ目を合わせないようにした。
だって、相手は女だから。
俺は女が嫌いだ。
どうやって俺に気に入られようとするか、気持ち悪い声で媚びを売ってくるから、
どうせこの女だって……
「じゃあ、失礼しました。」
ぺこりとお辞儀をしてその場から去っていった。
それだけ…?
変なやつ、
自意識過剰かもだけど、俺は顔はいいと思う。
初めて会うヤツだって、俺の事は分かるはずだ。
だから、俺に気に入られようと、女は俺に媚びを売って来る。
本当に気持ち悪い…
だから、アイツが気になった。
まぁ、別に関係無いけど、
本はどこを読んだかもう分からなくなっていた。
また来るか。
明日は学校だし、しばらく来れなさそうだけど、またいつか来たい。
俺は本を元の位置に戻し図書館を後にした。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!